薬剤師の転職先ランキング|人気の理由と後悔しない選び方

薬剤師の転職先ランキング|人気の理由と後悔しない選び方

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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

薬剤師の転職先は、調剤薬局から病院、企業までさまざまです。「みんなはどこを選んでいるのか」「人気の転職先はどこか」が気になる人も多いでしょう。

ただ、先に正直にお伝えしておきます。「薬剤師に人気の転職先ランキング」に、公的な根拠はありません。順位は調査主体と評価軸によっていくらでも入れ替わります。年収で並べるか、求人数で並べるか、やりがいで並べるかで、1位は変わってしまうからです。

一方で、実際に薬剤師が何人、どこで働いているかは公的統計で分かります。この記事では、まずその数字で現在地を示したうえで、人気の転職先とそれぞれの特徴を整理します。

先に結論だけ知りたい方へ

1. 人気ランキングに公的な根拠はない。順位は評価軸で入れ替わる
2. 公的統計で分かるのは就業者数。薬局60.0パーセント、病院17.5パーセント、医薬品関係企業10.4パーセントという分布
3. 業態別の平均年収を示す公的統計は存在しない。相場表ではなく求人ごとの年収総額で判断する

📌 この記事でわかること

  • 人気ランキングをどう読むべきか
  • 公的統計で見る、薬剤師が実際に働いている場所
  • 薬剤師に人気の転職先と、それぞれの特徴・向いている人
  • 重視するポイント別の選び方と、年収の考え方
  • 人気の転職先を選ぶときの注意点
目次

人気ランキングは「何を重視するか」で変わる

最初に押さえておきたいのが、人気の順位は調査や視点によって入れ替わるということです。求人数で見れば調剤薬局が上位に来ますし、やりがいで見れば病院が上がります。働きやすさなら調剤薬局や企業が選ばれやすくなります。

ネット上で見かける「薬剤師人気転職先ランキング」の多くは、転職サイトの利用者アンケートや求人掲載数をもとにしたものです。調査対象がそのサイトの利用者に限られるため、母集団が偏ります。順位そのものを鵜呑みにする必要はありません。

この記事でも順位を示しますが、それは選択肢を一覧するための入口としてです。絶対的な優劣ではないという前提で読んでください。

💬 くらげのひとこと

ランキング記事を10本読むと、たいてい順位が違います。それは調べ方が違うからで、どれかが嘘というわけではありません。だからこそ、順位を追いかけるより「自分は何を大事にしたいか」を先に決めるほうが早いんです。

気になる転職先の実態を確かめたい方へ

ランキングでは分からない、個々の職場の残業・人員体制・年収の内訳は、担当者に確認してもらうのが確実です。まずは相談先の特徴を比べてみてください。

数字で見る、薬剤師が実際に働いている場所

人気は測りにくくても、実際の就業先の分布は厚生労働省の統計で確認できます。これが、この分野で唯一の客観的な土台です。

主に従事している施設・業務
薬剤師数
構成割合
薬局の従事者
197,437人
60.0パーセント
医療施設の従事者(うち病院57,595人)
63,290人
19.2パーセント
医薬品関係企業の従事者
34,184人
10.4パーセント
(再掲)製造販売業・製造業に従事する者
24,102人
7.3パーセント
衛生行政機関又は保健衛生施設の従事者
6,906人
2.1パーセント
大学の従事者
5,011人
1.5パーセント

届出薬剤師数の総数は329,045人(2024年12月31日現在)。上記のほか、介護保険施設の従事者などが含まれます。出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(2025年12月23日公表)

ドラッグストアは、この統計に単独では出てきません

ここで注意したい点があります。調剤を行うドラッグストアは薬局として届け出るため、統計上は「薬局の従事者」に含まれます。そのため、ドラッグストアで働く薬剤師の人数を、この統計から単独で取り出すことはできません。

つまり、薬局の197,437人という数字には、いわゆる調剤薬局とドラッグストアの調剤部門の両方が入っています。薬剤師の6割が「薬局」で働いているというのは、この2つを合わせた数字だと理解しておいてください。

平均年齢にも差がある

同じ統計から、就業先ごとの平均年齢も分かります。医薬品関係企業が49.1歳、薬局が46.8歳、病院が42.5歳です。企業は経験を積んだ層が中心、病院は若手が多いという構造が読み取れます。年齢層は、転職先を考えるうえで意外に重要な情報です。

💬 くらげのひとこと

病院の平均年齢が42.5歳と若いのは、若手が集まるからだけではなく、一定の年齢で他業態へ移る人がいるからでもあります。数字の裏側を想像すると、その職場の人の流れが見えてきます。

薬剤師に人気の転職先ランキング

薬剤師に人気の主な転職先を、特徴と向いている人とあわせて紹介します。以下は求人の多さと一般的な人気度をもとにした目安の順位で、繰り返しになりますが、重視する軸によって入れ替わります。

第1位 調剤薬局

薬剤師の就業先として最も多く、求人も豊富で転職しやすいのが調剤薬局です。統計上も薬剤師の6割が薬局に従事しています(ドラッグストアの調剤部門を含む)。仕事のルーティンが比較的決まっており、残業も少なめで働きやすいことから、安定して長く働きたい人に根強い人気があります。

向いている人:働きやすさ重視・未経験や復職・安定志向

第2位 ドラッグストア

調剤併設店では調剤と市販薬の両方の経験を積めるのがドラッグストアの魅力です。求人も多く、店長やエリアマネージャーへの昇進といったキャリアの道もあります。一方で接客や品出しなど幅広い業務があり、土日祝が稼働日になりやすい点は押さえておきましょう。

向いている人:接客が好き・キャリアアップ志向・幅広い業務に前向き

第3位 病院

幅広い症例に触れ、医師や看護師とチーム医療に関われる病院は、やりがいと専門性を求める人に人気です。認定・専門薬剤師などのキャリアにもつながります。統計上の平均年齢は42.5歳と、就業先のなかで最も若い層が中心です。当直や夜勤がある施設もあります。

向いている人:やりがい・専門性重視・臨床を深めたい

第4位 製薬会社

土日休みの働き方と専門性を生かせる点から、製薬会社は人気が高い転職先です。営業や開発、学術、品質管理などの職種があります。ただし製造販売業・製造業に従事する薬剤師は24,102人と全体の7.3パーセントにとどまり、しかも前回調査から7.8パーセント減少しています。人気のわりに狭き門です。

向いている人:企業で専門性を生かしたい・暦どおりに休みたい

第5位 企業(医薬品卸・医療機器・治験など)

医薬品卸の学術、医療機器メーカー、治験に関わる仕事など、調剤以外で薬学知識を生かせる企業も人気が高まっています。土日休みでプライベートを確保しやすく、キャリアアップを目指せるのが魅力です。患者対応の機会は少なくなります。

向いている人:調剤以外に挑戦したい・ワークライフバランス重視

第6位 公務員・在宅医療など

安定を重視する人には、行政や公的病院で働く公務員薬剤師が人気です。ただし衛生行政機関等の従事者は6,906人と全体の2.1パーセントで、枠は小さい世界です。高齢化を背景に需要が伸びている在宅医療や在宅対応の薬局も、地域医療に貢献したい人から注目を集めています。

向いている人:安定志向・地域医療や在宅に関わりたい

💬 くらげのひとこと

この順位はあくまで一般的な目安です。「人気だから」で選ぶより、自分が何を大事にしたいかで選ぶほうが、転職後の満足度はずっと高くなります。ランキングは入口として使い、最後は自分の軸で決めてくださいね。

重視するポイント別の選び方

何を重視するかで、選ぶべき転職先は変わります。代表的な軸ごとに整理しました。

重視するポイント
向いている転職先
引き換えに受け入れること
働きやすさ
調剤薬局・企業
残業が少ないぶん、残業代を含む手取りは控えめになりやすい
収入
ドラッグストア・企業
土日勤務、業務量の多さ、転勤などが伴うことがある
やりがい・専門性
病院
当直や夜勤、学び続ける負担
キャリアアップ
企業・大手チェーン
異動や転勤、成果を求められる評価制度
安定
公務員
配属や異動を選べない。副業も原則できない

右端の列がこの表の要点です。どの選択にも、必ず引き換えがあります。メリットだけを並べたランキングでは見えない部分なので、ここを見比べてから決めてください。

▶ あわせて読みたい
職場別の薬剤師の年収

年収で選ぶときに知っておくこと

「年収ランキング」は最も注目されやすい切り口ですが、ここにも前提があります。業態別の平均年収を示した公的統計は存在しません。国の賃金統計は「薬剤師」という職種単位の集計で、調剤薬局・病院・企業といった勤務先別の内訳が公表されていないためです。

公的に確認できるのは、薬剤師全体の平均年収566万7,900円(令和7年賃金構造基本統計調査、平均年齢40.1歳)という数字までです。「ドラッグストアは◯◯万円、病院は◯◯万円」という比較表は、いずれも求人情報や民間調査にもとづくもので、出典によって数字が変わります。

当サイトでは、根拠を確認できない相場表は掲載していません。代わりに確実なのは、応募先の求人票を年収総額で読むことです。

求人票で確認したい項目
  • 基本給と固定残業代の内訳。超過分を追加支給する旨の明示があるか
  • 賞与の直近数年の支給実績(規定上の「◯か月分」ではなく実績)
  • 管理薬剤師手当・在宅手当・資格手当の額と支給条件
  • 土日祝の勤務頻度と、年間休日数
  • 就業の場所と業務の変更の範囲(2024年4月から労働条件の明示事項に追加)
💬 くらげのひとこと

相場表を眺めて一喜一憂するより、目の前の求人1件の内訳を潰していくほうが、結果的に納得できる転職になります。とくに固定残業代の有無は、額面の意味を大きく変えるので必ず確認してください。

人気の転職先を選ぶときの注意点

人気の転職先が、自分にとって最良の職場とは限りません。人気が高い職場は応募者も多く、求人によっては競争が激しくなります。

そして、同じ業態でも職場ごとの差のほうが、業態間の差より大きいことがあります。忙しい調剤薬局と落ち着いた調剤薬局では、残業も雰囲気もまるで違います。業態で絞り込んだあとに、個々の職場を確かめる工程が必要です。

大切なのは、ランキングをきっかけに自分の希望を整理することです。働きやすさ、収入、やりがい、キャリアのうち何を優先したいかをはっきりさせたうえで、気になる転職先の実態を、薬剤師に強い転職エージェントに確認してもらうとよいでしょう。

💬 くらげのひとこと

「調剤薬局は残業が少ない」と言われますが、私が見てきたなかには、毎日1時間以上残っている薬局もありました。業態の平均より、その1店舗の実態です。見学できるなら、必ず行ってみてください。

よくある質問

一番人気の転職先はどこですか▼

何を重視するかによって変わり、人気を測る公的な統計もありません。ただし実際の就業者数では薬局が197,437人(60.0パーセント)と最も多く、次いで医療施設が63,290人(19.2パーセント)、医薬品関係企業が34,184人(10.4パーセント)です。人気ではなく実態として、多くの薬剤師が薬局で働いています。

年収が高い転職先はどこですか▼

業態別の平均年収を示した公的統計は存在しないため、順位を示せる公式な数字はありません。国の賃金統計で確認できるのは、薬剤師全体の平均566万7,900円(令和7年賃金構造基本統計調査)までです。ネット上の年収ランキングは求人情報や民間調査にもとづくもので、出典によって数字が変わります。求人ごとに年収総額で比べてください。

ドラッグストアの薬剤師は何人いますか▼

公的統計から単独で取り出すことはできません。調剤を行うドラッグストアは薬局として届け出るため、統計上は「薬局の従事者」に含まれるからです。薬局の197,437人という数字には、いわゆる調剤薬局とドラッグストアの調剤部門の両方が入っています。

未経験でも人気の転職先に移れますか▼

調剤薬局やドラッグストアは未経験でも移りやすい傾向があります。一方、製薬会社は製造販売業・製造業に従事する薬剤師が24,102人と全体の7.3パーセントにとどまり、前回調査から7.8パーセント減少しているため、狭き門です。ただし製薬会社のなかでも職種によって入りやすさは違います。希望する転職先の難易度を、エージェントに確認してみましょう。

人気の転職先を選べば後悔しませんか▼

人気が自分に合うとは限りません。どの選択にも引き換えがあり、収入を取れば土日勤務や転勤が伴い、働きやすさを取れば手取りは控えめになりやすい、といった関係があります。さらに、同じ業態でも職場ごとの差のほうが業態間の差より大きいこともあります。ランキングは入口として使い、最後は個々の職場の実態を確認して選んでください。

ネットのランキングは信じてよいですか▼

参考程度にとどめるのが安全です。多くは転職サイトの利用者アンケートや求人掲載数をもとにしたもので、調査対象がそのサイトの利用者に限られるため母集団が偏ります。順位が記事によって違うのはそのためです。公的統計で確認できるのは就業者数までで、人気度や業態別年収の公的なデータはありません。

まとめ

✅ この記事のポイント
  • 人気ランキングに公的な根拠はない。順位は調査主体と評価軸で入れ替わる
  • 公的統計で分かるのは就業者数。薬局197,437人(60.0パーセント)、医療施設63,290人(19.2パーセント)、医薬品関係企業34,184人(10.4パーセント)
  • 調剤を行うドラッグストアは薬局として届け出るため、統計上は薬局に含まれる
  • 業態別の平均年収を示す公的統計も存在しない。薬剤師全体の566万7,900円までが確認できる範囲
  • どの選択にも引き換えがある。収入を取れば土日勤務や転勤、働きやすさを取れば手取りは控えめ
  • 同じ業態でも職場ごとの差が大きい。ランキングは入口にして、最後は個々の職場を確認する

人気の転職先を知ることは、選択肢を広げる第一歩です。そのうえで、数字で確かめられることと確かめられないことを切り分け、自分が何を大事にしたいかを軸に、納得のいく転職先を選んでいきましょう。

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。薬剤師数は厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(2025年12月23日公表)、平均年収は同「令和7年賃金構造基本統計調査」にもとづきます。人気の順位は当サイトが求人の多さと一般的な人気度をもとに整理した目安であり、公的な調査によるものではありません。年収・求人の状況は職場や時期によって異なります。

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