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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
転職を考えるとき、お金の不安はつきものです。収入が一時的に変わるかもしれない時期だからこそ、資産形成のしくみを整理しておくと落ち着いて判断できます。その中心になるのが、運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)です。
この記事では、NISAの仕組み、転職しても手続きが要らない理由、iDeCoとの違い、知っておきたい注意点、転職期に気をつけたいことを、金融庁が公表している情報をもとに整理します。
この記事でわかること
- NISAの仕組みと、投資枠・非課税保有限度額の実際の数字
- 転職してもNISAの手続きが原則不要な理由
- NISAとiDeCoの違いと、目的別の考え方
- 損益通算ができないなど、知っておきたい注意点
- 収入が変わる転職期に気をつけること
NISAとは|基本の仕組み
30秒でわかる要点
NISAは、運用で得た利益が非課税になる制度です。通常なら約20%かかる税金がかからず、非課税で保有できる期間に期限はありません。口座は金融機関で自分名義で開くため、転職しても手続きは原則不要です。ただし投資である以上、元本割れの可能性があり、他の口座との損益通算もできません。転職期は生活費を確保したうえで、無理のない範囲で考えるのが前提になります。
通常、株式や投資信託に投資して得た売却益や配当・分配金には、約20%の税金がかかります(税率20.315%の内訳は所得税15%、地方税5%、復興特別所得税0.315%)。NISAの口座で購入した商品から得られる利益は、この税金がかかりません。2024年からの制度では、2つの投資枠が用意されています。
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」(金融庁)、同「制度説明資料」(金融庁)
2つの枠は併用でき、合わせて年間360万円まで投資できます。非課税で保有できる期間に期限はありません。また、保有していた商品を売却した場合は、その商品を買ったときの金額の分だけ非課税保有限度額が復活し、翌年以降に再び使えます。値上がり益や損失は、この枠の計算に影響しません。
必要になれば売却して引き出せる点も、後述するiDeCoとの大きな違いです。教育費や住宅資金など、老後より前に使う可能性のあるお金にも対応できます。積み立てに回せる余裕がどの程度あるかを考えるときは、まず自分の収入の全体像を把握しておくと計画が立てやすくなります。
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薬剤師の職場別年収ランキングNISAの特徴は、必要になったときに売却して引き出せることです。老後まで動かせないiDeCoと違い、転職や子どもの進学といった出来事に合わせて対応できます。まずは無理のない金額から、というのが続けるコツです。
収入の見通しが立てば、家計の計画も立てやすい
転職後の条件が見えると、積み立てに回せる金額も決めやすくなります。無料で使えるエージェントの比較は次の記事にまとめています。
薬剤師転職エージェントおすすめランキングを見る転職してもNISAの手続きは原則不要
転職を控えて「NISAの手続きが面倒では」と心配する人がいますが、その必要はほとんどありません。NISAの口座は自分で選んだ金融機関に自分名義で開くもので、勤務先とは関係がないからです。そのため、転職しても口座はそのまま使い続けられ、特別な手続きは原則いりません。
ここが、勤務先の制度と関わるiDeCoとの違いです。iDeCoは加入者の区分が変わるため、転職の際に届け出が必要になります。NISAは口座が自分のものなので、転職の影響を受けません。収入が変わる時期でも、積み立てを止めたり再開したりを自分のペースで決められます。
なお、NISAの口座を開く金融機関は変更できます。非課税保有限度額は国税庁で一括して管理されているため、金融機関を変えても限度額の管理に影響はありません。変更する場合は、口座を開いている金融機関に所定の届出書を提出する手続きが必要です。
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト よくある質問」(金融庁)
転職のときに手続きを忘れがちなのはiDeCoのほうで、NISAは基本的に何もしなくて大丈夫です。ただ、勤務先が変わって収入の見通しが変わるなら、積み立てる金額の見直しはしておきたいところ。手続きは不要でも、金額の点検はしておきましょう。
NISAとiDeCoの違い
資産形成では、NISAとiDeCoの両方がよく取り上げられます。目的も性質も異なる制度なので、違いを押さえておきましょう。
考え方の目安としては、近い将来に使う可能性があるお金は引き出せるNISA、老後まで使う予定がなく所得控除も踏まえたいお金はiDeCo、という整理になります。ただし、どちらが適しているかは収入や家族の状況、他の資産によって変わります。iDeCoの掛金の上限や手続きは加入者の区分によって異なるため、詳細は運営管理機関や国民年金基金連合会の案内をご確認ください。
始める前に知っておきたい注意点
非課税という利点だけでなく、制度上の制約も理解しておく必要があります。
押さえておきたい制約
- 投資である以上、元本が保証されているわけではない
- NISA口座の損益は、一般口座や特定口座と損益通算できない
- 損失が出ても、翌年以降に繰り越すことはできない
- 年間の投資枠は翌年に繰り越せない
- 売却で復活した枠が使えるのは翌年以降で、その年のうちには使えない
とくに損益通算ができない点は見落とされがちです。課税される口座であれば、利益と損失を相殺して税負担を抑えられますが、NISA口座の損失はその対象になりません。非課税である裏返しとして、こうした扱いになっています。
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」制度説明資料(金融庁)
転職期の資産形成で気をつけること
まず生活費を確保する
転職で収入が一時的に途切れる可能性を考え、当面の生活費は現金で手元に残しておきましょう。離職期間ができる場合は、国民年金や健康保険の保険料も発生します。参考までに、国民年金保険料は令和8年度で月額17,920円です。健康保険も、任意継続を選ぶ場合は保険料が全額自己負担になります。投資に回すのは、こうした支出を見込んだうえでの余裕資金です。生活費まで充てると、値下がりしている時期に売却せざるを得なくなることがあります。
出典:日本年金機構「国民年金保険料」(日本年金機構)、全国健康保険協会「任意継続」(協会けんぽ)
収入の変化に合わせて積立額を見直す
NISAは積み立てる金額をいつでも変えられます。収入が下がる時期は無理に続けず、金額を減らすか一時的に止めても構いません。収入が戻ってから再開すれば問題ありません。転職で条件が変わったときは、家計全体を見直すよい機会でもあります。
転職の判断とお金の判断を混ぜない
転職という変化の時期は、気持ちが揺れて判断を急ぎがちです。転職先を決める判断と、資産の運用に関する判断は、それぞれ別に考えたほうが冷静でいられます。焦って大きく動かす必要はありません。
転職活動中は、つい「今のうちに増やさなきゃ」と力が入りがちですが、いちばん大事なのは生活の安定です。制度はいつ始めても、いつ金額を変えても構いません。まずは目の前の転職を落ち着いて進めることを優先しましょう。
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まとめ
- 通常は運用益に約20%の税金がかかるが、NISAの口座では非課税になる
- 年間360万円まで、非課税保有限度額は1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
- 口座は自分名義で開くため、転職しても手続きは原則不要
- 売却した分の枠は、取得金額ベースで翌年以降に復活する
- 元本保証はなく、他の口座との損益通算や損失の繰越もできない
- 転職期は生活費と保険料を確保したうえで、積立額を調整する
制度の仕組みを知っておくと、転職で収入が動く時期でも慌てずに判断できます。手続きの心配がいらないぶん、まずは生活の安定を優先し、無理のない範囲で考えていきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。制度の内容は法改正により変わります。本記事は制度の一般的な説明であり、特定の金融商品や投資手法を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。運用の判断は、金融機関の案内や金融庁の公表情報をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。個別の事情に応じた判断が必要な場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家にご相談ください。

