群馬の薬剤師転職ガイド|都市部でも高年収を狙える理由と選び方を解説

群馬の薬剤師転職ガイド|都市部でも高年収を狙える理由と選び方を解説

この記事を書いた人

くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

「群馬で薬剤師として働きたい」「地元で年収アップを狙いたい」と考える人は少なくありません。群馬は薬剤師が少なめの県として知られ、「都市部でも年収が高い」と紹介されることもあります。ただし公的統計を市ごとに見ると、前橋と高崎ではまったく状況が違います。この2つを一括りにすると判断を誤ります。

この記事では、厚生労働省の統計をもとにした群馬の薬剤師事情、前橋と高崎の本当の差、年収データの読み方、エリア別の傾向と職場の選び方を、現役薬剤師の目線で整理します。群馬での転職を考えるときの判断材料にしてください。

✅ この記事の結論
  • 群馬の薬剤師は人口10万人あたり187.0で、全国平均210.6を1割以上下回ります
  • ただし前橋市241.9と高崎市187.2で1.29倍の開き。都市部を一括りにはできません
  • 前橋は医師密度472.3が全国平均の1.8倍という医療の集積地。薬剤師も集まります
  • 条件を狙うなら高崎と、前橋・高崎以外の地域。薬局密度53.1は関東で最多です
目次

群馬の薬剤師事情を数字で見る

まず、群馬の基本データを公的統計で確認します。厚生労働省の令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計によると、群馬県で働く届出薬剤師は4,173人。このうち薬局と医療施設で働くのは3,535人で、人口10万人あたりに直すと187.0です。全国平均210.6を1割以上下回り、関東1都6県のなかで最も低い水準です。

指標
群馬県
全国平均
届出薬剤師数
4,173人
329,045人
薬剤師数(人口10万対・総数)
220.8
265.8
うち薬局・医療施設で働く人(人口10万対)
187.0(関東で最少)
210.6
薬局数
1,003施設
63,203施設
薬局数(人口10万対)
53.1(関東で最多)
51.1
医師数(人口10万対・医療施設)
249.9
267.4
県内の薬学部
高崎健康福祉大学薬学部(高崎市)の1校
—

出典:薬剤師数・医師数は厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」(従業地ベース・令和6年12月31日現在)、薬局数は厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」(令和6年度末現在)。

注目したいのは、薬局密度53.1が関東1都6県で最も高いのに、薬剤師密度187.0は関東で最も低いという組み合わせです。薬局の数は人口比で多く、そこで働く薬剤師が足りていない。1店舗あたりの人員が薄くなりやすい構造で、これが群馬で薬剤師の求人が絶えない理由です。

県内の薬学部は高崎健康福祉大学薬学部の1校のみ。首都圏に近く、卒業生が県外へ流れやすいことも、供給が細い一因と考えられます。

💬 くらげのひとこと

「薬局が関東で最も多く、薬剤師が関東で最も少ない」というのは、転職を考える側にはかなり有利な条件です。ただしその裏返しで、1店舗あたりの負担が大きい職場も混じります。次の章で、県内のどこがそうなのかを見ていきます。

前橋と高崎はまったく違う

群馬の記事では「前橋・高崎などの都市部」とまとめて語られることが多いのですが、統計で市ごとに見ると、この2つはかなり違う顔をしています。

区分
薬剤師(人口10万対・薬局と医療施設)
医師(人口10万対・医療施設)
前橋市
241.9
472.3
全国平均
210.6
267.4
高崎市
187.2
242.1
群馬県全体
187.0
249.9
前橋・高崎以外
171.9
191.1

出典:厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」の群馬県・前橋市・高崎市(中核市の再掲)の公表値と、同統計の付表にある人口をもとに本記事で算出。前橋・高崎以外は県全体から両市を差し引いて求めています。

前橋は薬剤師が集まる医療の集積地

前橋市の薬剤師密度241.9は、全国平均210.6を1割以上上回ります。群馬県全体が全国平均を1割以上下回るなかで、前橋だけが逆方向にあるわけです。

理由は右の列を見れば分かります。前橋市の医師密度472.3は全国平均267.4の約1.8倍。大学病院をはじめとする大規模病院が集まる、県内の医療の中心地です。前橋の241.9という数字には、これらの病院に勤める薬剤師が多く含まれています。病院薬剤師を目指すなら職場の選択肢は豊富ですが、そのぶん応募者も集まります。

高崎は薬学部があるのに県平均並み

一方の高崎市は187.2で、群馬県全体の187.0とほぼ同じ。県内に唯一の薬学部がある市でありながら、薬剤師密度は県平均並みにとどまります。前橋との差は1.29倍です。医師密度242.1も全国平均を下回り、医療需要に対して薬剤師が薄い状態にあります。

さらに前橋・高崎以外は171.9まで下がります。医師も191.1と薄く、こちらは医療の担い手全体が不足している地域です。太田・伊勢崎・桐生といった東毛地域や、渋川・沼田といった北毛地域が該当します。

まとめると、条件の上乗せが期待できるのは高崎と、前橋・高崎以外の地域。「群馬は都市部でも高年収」という言い方は高崎には当てはまりますが、前橋にそのまま当てはめるのは慎重になったほうがよさそうです。

💬 くらげのひとこと

前橋と高崎は隣どうしで、電車でも車でもすぐ行き来できる距離です。だからこそ「前橋・高崎」とまとめられがちなのですが、薬剤師の需給はまったく別物。住まいを動かさずに働く市だけ変えるだけで、条件が変わる可能性があります。

年収データをどう読むか

群馬を「薬剤師の年収が全国上位」と紹介する記事は多くあります。民間の求人サービスが厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに集計したものが根拠になっていますが、扱いには注意が必要です。

同じ調査でも、年が変われば数字は動く

分かりやすい例があります。同じ賃金構造基本統計調査をもとにした薬剤師の全国平均年収は、令和6年調査では約599万円でしたが、令和7年調査では約567万円へと30万円以上下がっています。全国平均がこれだけ動くのですから、都道府県別の順位はさらに大きく入れ替わります。

加えて、同じ調査でも「所定内給与」で計算するか「きまって支給する現金給与額」で計算するかによって、年収は数十万円単位で変わります。「群馬は全国◯位」という数字を見たら、調査年と計算方法を必ず確認してください。

順位より需給を見る

より安定した判断材料は需給です。群馬は薬局密度53.1が関東最多なのに薬剤師密度187.0は関東最少という構造で、この構造は年ごとに揺れません。県全体として条件が上がりやすいのは、この需給から説明できます。

そのうえで、県内では前橋241.9と高崎187.2に大きな差があります。「群馬は年収が高い」で終わらせず、県内のどこかまで踏み込むことが、条件を上げる現実的な道になります。

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地域を変える以外にも年収を上げる方法はあります。役職・業態・交渉の3方向から具体的にまとめています。

💬 くらげのひとこと

「群馬は全国◯位」という順位を見たら、まず調査年を確認してください。去年の数字が今年も通用するとは限りません。私は順位より、その地域で薬剤師が足りているかどうかを見るようにしています。そちらのほうがずっと安定した指標です。

群馬で働くメリットと注意点

群馬で薬剤師として働くメリットと、知っておきたい注意点の両面を整理しました。

メリット
  • 薬剤師密度187.0は関東で最少。条件交渉の余地が大きい
  • 薬局密度53.1は関東で最多。通える範囲に職場の候補がある
  • 前橋には大学病院をはじめ大規模病院が集まり、病院薬剤師の選択肢が広い
  • 前橋・高崎間の移動が容易で、住まいを変えずに働く市を選べる
  • 家賃などの生活費が首都圏より低く、手取りの実感が上がりやすい
注意点
  • 前橋市241.9は全国平均超。市内での上乗せは期待しにくい
  • 薬局が多く薬剤師が薄いぶん、1店舗あたりの負担が大きい職場もある
  • 前橋・高崎以外は医師も191.1と薄く、一人あたりの守備範囲が広くなりやすい
  • 車社会で、車通勤が前提のエリアが多い
  • 企業や行政の薬剤師は全国平均の6割程度で、調剤・病院以外の道は狭い

補足すると、群馬の届出薬剤師は人口10万人あたり220.8、うち薬局・医療施設で働く人が187.0。差の33.8が企業や行政などにあたり、全国平均55.2のおよそ6割にとどまります(届出上の無職者を含みます)。群馬で働くなら、調剤薬局・ドラッグストア・病院のいずれかが現実的な軸になります。

関東全体の傾向については関東の薬剤師転職ガイドでも詳しく解説しています。

💬 くらげのひとこと

群馬は首都圏に近いぶん、薬学部の卒業生が県外に出てしまいやすい県です。逆に言えば、戻ってくる人はとても歓迎されます。地元へのUターンを考えているなら、条件は遠慮せず聞いてみてください。

エリア別の傾向と職場の選び方

県内のエリアごとの傾向を整理しました。統計に市別の掲載があるのは前橋市と高崎市のみのため、それ以外は差し引きと一般的な傾向にもとづく記述です。

エリア
転職先として見たときの傾向
前橋市
医師密度472.3で県内の医療の中心。大規模病院が集まり病院薬剤師の選択肢が広い。薬剤師密度241.9は全国平均超で、条件の上乗せは期待しにくい
高崎市
県内唯一の薬学部があるが薬剤師密度は187.2と県平均並み。交通の要衝で求人も一定数あり、条件と利便性のバランスがよい
東毛(太田・伊勢崎・桐生など)
製造業の集積があり人口が比較的安定。薬剤師の確保が難しく、条件を上げる職場が出やすい。車通勤が前提
北毛・西毛(渋川・沼田・富岡など)
医師も薬剤師も薄く、地域医療を支える手応えは大きい。求人の絶対数は限られ、生活環境の確認が必須
✅ 群馬での職場選び・年収アップのコツ
  • 条件を狙うなら高崎と、前橋・高崎以外を軸に検討する
  • 病院薬剤師を目指すなら前橋。ただし応募者も集まる前提で準備する
  • 前橋と高崎は行き来しやすい。住まいを変えず働く市だけ変える選択も
  • 管理薬剤師など、役職手当の付くポジションを狙う
  • 在宅対応など、加算の取れる業務がある職場を選ぶ
  • 提示額だけでなく、住宅手当・車両手当まで含めて比べる
⚠ 群馬特有の見落としポイント

薬局が関東で最も多く薬剤師が関東で最も少ないということは、1店舗あたりの人員が少ない職場が混じるということです。条件のいい求人ほど、1日の処方箋枚数・在籍薬剤師数・残業の実績を必ず確認してください。薬剤師が2人以下の店舗では、有給や急な休みが取りにくいこともあります。車の維持費を通勤手当が賄えるかもあわせて試算しておきましょう。

💬 くらげのひとこと

群馬で条件のいい求人を見つけたら、なぜその条件なのかを聞いてみてください。「地域的に採用が難しいから」なら納得できますが、「人が辞め続けているから」なら話は別です。薬剤師が薄い県ほど、この確認は省かないほうがいいと思います。

よくある質問

群馬は薬剤師が足りていないのですか?▼

足りていません。厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、群馬県で薬局・医療施設に勤める薬剤師は人口10万人あたり187.0で、全国平均210.6を1割以上下回り、関東1都6県で最も低い水準です。一方で薬局密度53.1は関東で最も高く、薬局の数に対して働き手が薄い状態にあります。この構造が、群馬で薬剤師の求人が絶えない理由です。

前橋と高崎ではどちらが条件がいいですか?▼

需給から見ると高崎です。薬局・医療施設で働く薬剤師は、前橋市241.9に対して高崎市187.2。前橋は全国平均210.6を1割以上上回る一方、高崎は県平均並みで下回ります。前橋は医師密度472.3が全国平均の約1.8倍という医療の集積地で、大規模病院に勤める薬剤師が多いためです。病院薬剤師を目指すなら前橋、条件を狙うなら高崎という使い分けが現実的です。

群馬は都市部でも年収が高いというのは本当ですか?▼

高崎には当てはまりますが、前橋は事情が異なります。高崎市の薬剤師密度187.2は全国平均210.6を下回り、都市でありながら薬剤師が薄い状態です。一方、前橋市は241.9で全国平均を1割以上上回ります。「群馬は都市部でも高年収」という説明は、前橋と高崎を一括りにしたものです。市を分けて見ると判断が変わります。

群馬は残業が多いのですか?▼

職場によっては長めになることがあります。群馬は薬局密度53.1が関東で最も高いのに薬剤師密度187.0は関東で最も低く、1店舗あたりの人員が少なくなりやすい構造です。ただし残業の実態は職場ごとに大きく異なります。条件のいい求人ほど、1日の処方箋枚数・在籍薬剤師数・残業の実績を確認してください。薬剤師が2人以下の店舗では、有給が取りにくいこともあります。

群馬で企業の薬剤師として働けますか?▼

選択肢は限られます。群馬県の届出薬剤師は人口10万人あたり220.8ですが、薬局・医療施設で働く人は187.0。差の33.8が製薬企業や行政機関などにあたり、全国平均55.2のおよそ6割にとどまります。群馬で働くと決めるなら、調剤薬局・ドラッグストア・病院のいずれかを軸に考えるのが現実的です。企業を目指すなら、首都圏まで範囲を広げる必要が出てきます。

群馬での転職はどう進めればいいですか?▼

まず「県」ではなく「県内のどこか」で考えることから始めましょう。条件を狙うなら高崎や東毛・北毛、病院薬剤師なら前橋というように、目的で狙う市が変わります。次に年収・通勤・働き方の優先順位をつけます。前橋と高崎は行き来しやすいので、住まいを変えずに働く市だけ変える選択も有効です。応募前には処方箋枚数と在籍薬剤師数を必ず確認してください。

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まとめ

✅ この記事のポイント
  • 群馬の薬剤師は人口10万対187.0で、関東1都6県のなかで最も少ない
  • 薬局密度53.1は逆に関東で最多。薬局に対して働き手が薄い構造
  • 前橋市241.9と高崎市187.2で1.29倍の差。都市部を一括りにはできない
  • 前橋は医師密度472.3が全国平均の約1.8倍という医療の集積地
  • 条件を狙うなら高崎と前橋・高崎以外、病院薬剤師なら前橋
  • 企業や行政の薬剤師は全国平均の6割程度。調剤・病院が現実的な軸

薬局に対して薬剤師が薄いという群馬の構造は、働く側にとっては条件面のチャンスです。ただし「群馬は都市部でも高年収」という説明を鵜呑みにすると、前橋で期待外れになる可能性があります。県内のどの市で働くかまで踏み込んで検討してください。関東の他都県と比べたい方は関東の薬剤師転職ガイド、全国と比べたい方は薬剤師の都道府県別転職ガイドもあわせてご覧ください。

参考にした一次情報

※本記事の統計数値は上記の公的統計にもとづき、2026年9月時点で確認したものです。前橋・高崎以外の人口10万対の値は、群馬県と両市の公表値および同統計の付表人口をもとに本記事で算出したものです。薬局・医療施設以外で働く薬剤師の値も同様に算出しており、届出上の無職者を含みます。市別の数値は同統計に掲載のある中核市のみで、それ以外の市町村は個別には集計されていません。求人数・年収・働き方の傾向はエリアや職場、時期によって異なります。年収に関する民間調査の数値は調査元・調査年・計算方法によって大きく異なるため、本記事では特定の順位や金額を掲載していません。詳細は各求人や転職支援サービスにご確認ください。

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