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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
結論から言うと、京都府は「病院薬剤師の充足度が全国1位。ただし薬剤師の約7割が京都市に集中し、府全体では薬剤師数も薬局数も全国平均以下」という、府内格差がきわめて大きい地域です。厚生労働省の薬剤師偏在指標で、京都の病院薬剤師は0.95と47都道府県で最も高い水準にあります。
「薬学部が多いから薬剤師が余っている府」というイメージを持たれがちですが、数字を見ると実態は違います。この記事では公的統計をもとに、京都のどこで何を狙うべきかまで整理します。
この記事でわかること
- 京都府の薬剤師の年収・薬剤師数・薬局数の最新データと出典
- 病院薬剤師の充足度が全国1位で、薬局はむしろ手薄という構図
- 薬剤師の約7割が京都市に集中し、市外は全国最低水準という実態
- エリア別の傾向と、京都で待遇を上げるためのコツ
京都府の薬剤師転職データ早見表
まず、京都府の薬剤師をとりまく数字を全国と並べて確認します。いずれも公的統計、または公的統計をもとに算出された数値です。
出典:年収・月間勤務時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」および「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(勤務時間は令和6年分)/薬剤師数は厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者(人口10万対)および届出薬剤師総数/薬局数は厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」/偏在指標は厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標
京都は「薬学部が多いから薬剤師が余っている」と語られがちですが、府全体の数字は薬剤師も薬局も全国平均以下です。実態は「余っている」ではなく「京都市に寄りすぎている」。ここを取り違えると、求人の見え方がまるで変わります。
「薬剤師が余っている府」というイメージは正確ではない
薬剤師数も薬局数も全国平均を下回る
京都府の人口10万人あたりの薬剤師数は203.3人で、全国平均210.6人を下回ります。人口10万人あたりの薬局数も47.3施設で全国39位、全国平均50.5施設に届きません。隣の大阪府は薬局52.6施設ですから、関西のなかでも京都は薬局が少ない府です。
京都大学・京都薬科大学・同志社女子大学と府内に薬学部が3校あるため薬剤師が多い印象を持たれますが、卒業生が府内に残っているとは限らないということです。大阪や神戸への通勤も容易な立地であることも影響していると考えられます。
年収は2年連続で全国平均をわずかに下回る
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした集計では、京都府の薬剤師の平均年収は次のようになっています。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を加算)
都道府県別の年収データは母集団の小さい県ほど年ごとに大きく振れますが、京都は届出薬剤師が6,272人と一定の規模があり、2年とも「全国平均をわずかに下回る」という同じ結果になっています。京都の年収は全国平均並み、やや下と受け止めてよいでしょう。
月間勤務時間は全国より5時間長い
令和6年調査での京都府の薬剤師の月間勤務時間は172時間で、全国の167時間より5時間長いという結果でした。同じ調査での平均年齢は36.9歳と全国の40.9歳より4歳若く、若手中心の構成で勤務時間はやや長め、というのが京都の姿です。年収の額面だけでなく、月の所定労働時間と残業の実績をあわせて確認してください。
平均年齢36.9歳というのは、全国的に見てもかなり若い部類です。学生の街だけあって若手薬剤師が多い。裏を返せば、経験を積んだ薬剤師は相対的に少ないということでもあります。管理薬剤師の経験がある人には、意外と有利な市場かもしれません。
偏在指標|病院は全国1位、薬局は全国平均以下
京都の転職市場を読むうえで、いちばん重要なのがこのデータです。厚生労働省は、薬剤師の需給を地域ごとに比較するための「薬剤師偏在指標」を公表しています。数値が1.0より小さいほど業務量に対して薬剤師が足りず、大きいほど足りている状態を意味します。関西3府県で並べると次のとおりです。
出典:厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標(都道府県別)
病院薬剤師の0.95は全国で最も高い
京都府の病院薬剤師の偏在指標0.95は、47都道府県のなかで最も高い数値です。全国平均0.80との差は大きく、全国的に病院薬剤師が不足するなかで、京都は最も恵まれた環境にあることを示しています。京都大学医学部附属病院や京都府立医科大学附属病院といった大規模病院があり、府内の薬学部からの供給もあることが背景と考えられます。
病院薬剤師を目指す人にとっては、学べる環境が整っている一方で人気の職場は競争が激しいということでもあります。認定資格や病棟業務の経験など、アピールできる材料を整えて臨むほうが有利です。
薬局薬剤師はむしろ全国平均を下回る
対照的に、薬局薬剤師の指標は0.95で全国の1.08を下回ります。隣の大阪1.12、兵庫1.19と比べても明確に低い。関西のなかで、薬局薬剤師が相対的に足りていないのが京都です。「都市部だから薬局は飽和している」という一般論は、京都には当てはまりません。
薬局志望であれば、大阪や兵庫より京都のほうが迎えられやすい可能性があります。なお将来時点の推計では薬局薬剤師が1.12、地域全体が1.09まで上がる見通しで、長期的には需給が緩む方向です。
京都は「病院は全国で最も充実、薬局は関西で最も手薄」という珍しい府です。この2つは戦略がまったく違います。病院なら準備して挑む、薬局なら条件交渉の余地を探る。まず自分がどちら側なのかを決めてください。
薬剤師の約7割が京都市に集中している
京都の府内格差は、全国的に見ても極端です。厚生労働省の令和6年統計では、府内で薬局・医療施設に従事する薬剤師5,224人のうち、京都市が3,730人。府内のおよそ71%が京都市に集まっています。
出典:厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」(全国平均は210.6人)
京都市以外は人口10万人あたり約130人
京都市だけを取り出すと人口10万人あたり261.9人で、全国平均210.6人を大きく上回ります。一方、府全体の数字から京都市分を差し引いて計算すると、京都市以外のエリアは人口10万人あたり約130人。全国平均のおよそ6割にとどまり、都道府県で最も少ない沖縄県の155.3人をさらに下回る水準です。
これは当サイトが公的統計から算出した目安ですが、京都府が「京都市」と「それ以外」でまったく別の労働市場になっていることをよく表しています。府全体の平均値を見ても、実態はつかめません。
令和4年の統計でも、市町村別の薬剤師数は京都市4,993人、宇治市360人、京田辺市210人の順。2位の宇治市でも京都市の10分の1以下です。
京都市以外が全国最下位の沖縄より薄い、という試算には正直おどろきました。府北部で働ける薬剤師は、それだけ貴重ということです。条件交渉の材料としては、かなり強い数字だと思います。
京都府のエリア別の特徴
京都府は南北に細長く、京都市・南部・中部・北部で事情がまったく異なります。
京都市から福知山までは車でも1時間半以上かかり、府内をまとめて通勤圏にはできません。住むエリアを先に決めてから求人を探すのが、京都では特に重要になります。一方で乙訓や山城なら、大阪府の求人まで含めて探せるという強みがあります。
京都で働くメリットと注意点
- 病院薬剤師の偏在指標が0.95と全国1位。学べる病院が多い
- 薬局薬剤師の指標は0.95で大阪1.12・兵庫1.19より低く、薬局志望なら迎えられやすい
- 府内に薬学部が3校あり、研修体制の整った職場が見つけやすい
- 乙訓や山城からは大阪府の求人も通勤圏に入る
- 府北部は薬剤師の確保が難しく、条件面の交渉余地がある
- 平均年収は2年連続で全国平均をわずかに下回る(最新は全国33位)
- 月間勤務時間は172時間と、全国平均より5時間長い
- 府内薬剤師の約71%が京都市に集中し、市内の競争は激しい
- 人口10万人あたり薬局数は47.3施設で全国39位と少ない
- 府北部は求人数が限られ、車通勤が前提になる職場が多い
京都で年収・待遇を上げる4つのコツ
① 病院志望か薬局志望かで戦略を変える
偏在指標が示すとおり、京都は病院と薬局で需給が逆転しています。病院志望なら全国で最も充足しているエリアなので、認定資格や病棟経験といった強みを整えて臨むほうが有利です。薬局志望なら関西のなかでは相対的に迎えられやすいので、条件面の交渉余地を探る動き方が向いています。
② 住むエリアを先に決める
京都は南北に長く、京都市と府北部は現実的に通勤圏を共有できません。京都市内で選択肢の広さを取るのか、府北部で条件面の交渉余地を取るのか。まずエリアを1つか2つに絞ると、比較の軸がぶれません。乙訓や山城を選べば、大阪府の求人まで候補に入ります。
③ 勤務時間の実態を数字で確認する
京都は統計上の勤務時間が全国より長めに出ています。応募前に、1日の平均処方箋枚数、在籍薬剤師数、直近数か月の平均残業時間、年間休日数の4点は具体的に確認しましょう。年収が同じでも、この4点で働きやすさはまったく変わります。
④ 関西に強いエージェントを複数使う
京都の好条件求人は競争が激しく、公開前に決まってしまうこともあります。関西エリアに拠点を持つエージェントを2社から3社登録しておくと、京都と大阪の求人を横断して比較でき、職場の内情まで確認しやすくなります。府北部を検討する場合も、地域の事情に詳しい担当者がいると判断しやすくなります。
京都は「府内だけで探すと窮屈、範囲を広げると強い」地域です。乙訓や山城に住めば大阪も通勤圏。勤務地の枠を最初にゆるめておくと、見える求人がまったく変わりますよ。
よくある質問
まとめ
京都府の薬剤師転職のポイントを整理します。
- 病院薬剤師の偏在指標は0.95で全国1位。学べる環境が整う一方、競争もある
- 薬局薬剤師は0.95で全国1.08を下回り、大阪・兵庫より迎えられやすい
- 府全体の薬剤師数203.3人・薬局数47.3施設はいずれも全国平均以下
- 府内薬剤師の約71%が京都市に集中し、市外は人口10万人あたり約130人
- 平均年収は2年連続で全国平均をわずかに下回り、勤務時間は5時間長い
- 住むエリアを先に決め、乙訓や山城なら大阪の求人まで含めて比較する
京都は、府全体の平均値を見ても実態がつかめない地域です。京都市とそれ以外、病院と薬局。この2つの軸で分けて考えれば、自分がどこで勝負すべきかが見えてきます。数字の構造を理解したうえで、納得のいく職場を選んでいきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。年収・薬剤師数のデータは調査年や集計方法により幅があり、求人状況や待遇はエリア・職場・時期により異なります。詳細は各求人および各公的機関の公表資料でご確認ください。

