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くらげ|現役薬剤師。病院・調剤薬局・管理薬剤師を経験。薬剤師の地域による需給の違いを、転職の視点から発信しています。
「薬剤師は飽和している」とよく聞きます。確かに数は増えています。けれども、それは全国一律の話ではありません。実は薬剤師が足りない地域は今も多く、そこは転職の大きなチャンスになり得ます。
薬剤師が不足する地域では、人材を確保するために好条件の求人が出やすいからです。この記事では、薬剤師の地域偏在の実態から、不足している地域、不足地域が転職チャンスである理由、飛び込む前に知っておきたい注意点まで、現役薬剤師がまとめました。
📌 この記事でわかること
- 薬剤師が「増えているのに足りない地域がある」という偏在の実態
- 薬剤師が不足している地域はどこか
- 不足地域が転職チャンスである理由
- 飛び込む前に知っておきたい注意点と成功のポイント
薬剤師は「増えているのに足りない地域」がある
薬剤師の数は年々増え続けており、将来的には供給過剰になるとも言われています。しかし、その薬剤師がどこに多いかには、大きな地域差があります。これを地域偏在といいます。
人口あたりの薬剤師数を都道府県別に見ると、薬剤師が集まっているのは都市部や西日本に多く、東日本や地方は少ないという傾向があります。ある統計では、人口あたりの薬剤師数が全国平均を上回るのは一部の都道府県にとどまり、残りの多くの地域は平均を下回っていました。つまり、全体では増えていても、足りない地域はたくさんあるのです。
「薬剤師は飽和している」という言葉だけを聞いて、転職をためらう人がいます。でも、それは都市部の話であることが多いのです。視野を地方や不足地域まで広げると、状況はまったく違って見えてきます。これからの転職は「どこで働くか」という視点が、これまで以上に大切になります。
薬剤師が不足している地域はどこ?
人口あたりの薬剤師数が少ない傾向にあるのは、主に次のような地域です。あくまで傾向であり、同じ地域内でも差はあります。
| 不足しやすい地域 | 特徴 |
|---|---|
| 東北など東日本の一部 | 青森・岩手・山形など、人口あたりの薬剤師数が少ない傾向の県が多い。 |
| 薬科大学のない県 | 地元で薬剤師が育ちにくく、供給が不足しやすい。採用確保に力を入れる職場が多い。 |
| 過疎・地方エリア | 都市部に薬剤師が集まる一方、地方では確保が難しく不足が深刻になりやすい。 |
こうした偏りが生まれる背景には、薬剤師が出身地域でそのまま働く傾向が強いことや、交通の便や研修環境を求めて都市部で働きたい人が多いことがあります。なお、病院薬剤師は地域を問わず全国的に不足しており、地方ではとくに確保が難しい状況です。
薬科大学があるかどうかは、その地域の薬剤師の数を左右する大きな要素です。大学が多い地域は卒業生がそのまま働きやすく、薬剤師が充足しがちです。逆に大学のない県は、地元で薬剤師が育ちにくく、慢性的に人手が足りません。転職先を地域で考えるとき、この視点は意外と役に立ちます。
なぜ不足地域が「転職チャンス」なのか
薬剤師が足りない地域では、職場が人材を確保しようと努力します。その結果、働く側にとって有利な条件が生まれやすいのです。
| チャンス | 内容 |
|---|---|
| 給与が高めの傾向 | 人材確保のため、給与や手当を手厚く設定する職場が出やすい。 |
| 採用されやすい | 応募者が少ないため、ブランクや経験の浅さがあっても採用につながりやすい。 |
| 住宅補助・地域手当 | 移住を後押しするため、住宅補助や地域手当を用意する職場がある。 |
| 早くから責任ある役割 | 人手が少ない分、若いうちから管理薬剤師など責任ある立場を任されやすい。 |
給与については、地域や職場によって幅が大きいため一概には言えませんが、不足地域では条件が高めになりやすい傾向があります。実際、ある年の統計では、地方の県が平均年収の上位に入った例もあります。生活コストが都市部より低い地域なら、手元に残るお金という意味でも有利になりやすいでしょう。
不足地域では「引く手あまた」になりやすく、転職の主導権を持ちやすいのが大きな魅力です。条件交渉もしやすく、自分の希望を通しやすい立場になれます。とくに、若くして管理薬剤師を経験できるのは、その後のキャリアにとって大きな財産になります。都市部では順番待ちのポストが、地方なら早く回ってくることもあるのです。
飛び込む前に知っておきたい注意点と成功のポイント
チャンスが大きい一方で、地方や不足地域への転職には注意点もあります。良い面と気をつける面の両方を見ておきましょう。
メリット
- 好条件の求人が見つかりやすく、収入アップを狙いやすい
- 採用されやすく、転職の主導権を持ちやすい
- 生活コストが低く、ゆとりある暮らしを実現しやすい
注意点
- 生活環境や交通の便が都市部と大きく異なる場合がある
- 一人薬剤師など、責任が重く負担が大きい職場もある
- 将来、薬剤師の供給が増えれば条件が変わる可能性もある
成功のポイントは、条件の良さだけで飛びつかないことです。地域手当や住宅補助の有無、職場の人員体制、生活環境を、入職前にしっかり確認しましょう。可能なら現地を一度訪れて、暮らしのイメージを持っておくと安心です。地方の求人や移住の支援については、薬剤師専門のエージェントに相談すると、効率よく情報を集められます。
条件が良くても、暮らしが合わなければ続きません。とくに家族がいる場合は、子どもの学校や配偶者の仕事も含めて考える必要があります。移住を伴う転職は、給与だけでなく「その土地で暮らせるか」をセットで判断するのが成功のコツです。エージェントに地域の事情を聞きながら、無理のない選択をしてください。
よくある質問
まとめ
薬剤師の不足地域は、視野を広げれば大きな転職チャンスになります。要点を整理します。
- 薬剤師は全体では増えているが、地域による偏りが大きい
- 東北や地方、薬科大学のない県などで不足しやすい。病院薬剤師は全国的に不足
- 不足地域は給与が高めで採用されやすく、早くから責任ある役割も任されやすい
- 一方で生活環境や負担、将来の供給増には注意が必要
- 条件と暮らしやすさをセットで確認し、エージェントを活用して情報を集める
「薬剤師は飽和」という言葉に振り回されず、地域ごとの実情に目を向けてみてください。不足地域には、都市部では得にくい好条件やキャリアの機会が眠っています。条件と暮らしの両面をよく見極めて、自分に合った場所で、納得のいく転職を実現してください。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。薬剤師の地域別の人数や年収はあくまで傾向であり、地域・職場・年代によって大きく異なります。最新の統計は厚生労働省の調査を、個別の求人条件は勤務先や転職の窓口でご確認ください。

