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くらげ|現役薬剤師。調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信。薬剤師目線でエージェントを徹底調査しています。
「子どもが生まれるタイミングで育休を取りたいが、男性が取れる雰囲気の職場なのか不安」。そう感じて転職を考える男性薬剤師は増えています。男性の育休取得率はここ数年で大きく伸びていますが、薬剤師の職場は人員配置の事情があるため、取りやすさは職場によってかなり差があります。
この記事では、男性薬剤師が知っておきたい育休制度の基本を押さえたうえで、「育休を取得しやすい職場」をどう見極めるかを、現役薬剤師の視点で整理します。産休・育休の給付金や期間の詳しい仕組みは別記事で解説しているため、ここでは男性目線と職場選びに絞ります。
この記事でわかること
- 男性薬剤師の育休取得が増えている背景と、現場でぶつかりやすい壁
- 男性が使える「産後パパ育休」の基本
- 育休を取得しやすい職場を見極める2つの軸(取得実績・業態)
- 転職後にスムーズに育休を切り出すための進め方
男性薬剤師の育休、いま取得は増えている
男性の育児休業取得率は、近年急速に伸びています。厚生労働省の調査では、2024年度の男性育休取得率は40.5%と過去最高を記録し、前年から10ポイント以上上昇しました。取得した男性のうち、8割超が後述する産後パパ育休を利用しています。女性の取得率(約87%)とはまだ差があるものの、男性が育休を取ることは、もはや特別なことではなくなりつつあります。
ただし、薬剤師の職場には固有の事情があります。調剤薬局や病院は、その時間帯に必ず一定数の薬剤師を配置しなければならず、一人欠けると業務が回りにくくなります。とくに少人数で運営している薬局では、男性であってもなくても、長期の休みを取りにくいのが現実です。だからこそ、育休を見据えるなら「制度があるか」よりも「実際に回せる体制があるか」を見ることが大切になります。
私の周りでも、男性が育休を取るケースは確実に増えました。一方で「制度はあるのに、人手が足りなくて言い出せなかった」という声も聞きます。鍵を握るのは制度の有無ではなく、人員にゆとりがあるかどうかです。
男性が使える「産後パパ育休」の基本
男性の育休には、通常の育児休業に加えて「産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度があります。2022年10月に始まったもので、男性が育児に関わりやすくすることを目的としています。
| 項目 | 産後パパ育休 |
|---|---|
| 取得できる時期 | 子の出生後8週間以内 |
| 期間 | 最大4週間(28日) |
| 分割 | 2回まで分割して取得可 |
| 通常の育休との関係 | 別枠。後から通常の育休も取得できる |
産後パパ育休は、その後に取る通常の育児休業とは別枠で、出産直後の最も大変な時期に取得できるのが特徴です。労使協定があれば休業中に一部就業することも可能で、職場の状況に合わせて柔軟に組み立てられます。さらに2025年4月からは、両親がともに14日以上の育休を取得すると、出生後の一定期間について給付が上乗せされ、社会保険料の免除と合わせて手取りが約10割相当になる仕組みも始まりました。収入面の不安が、男性が育休を取る後押しになっています。
給付金の給付率や受給要件、期間の細かいルールは、産休・育休と転職を扱った別記事で詳しく解説しています。ここでは「男性にも専用の制度があり、収入の心配は以前より小さくなっている」という点を押さえておけば十分です。
産後パパ育休は分割できるので、「出産直後に1週間、落ち着いた頃にもう1回」といった取り方もできます。職場の繁忙期を避けて組めるのは、現場で働く薬剤師にとって地味に大きいポイントです。
育休を取得しやすい薬剤師の職場を見極める
転職先で実際に育休を取れるかは、求人票の「育休あり」だけでは判断できません。次の2つの軸で見極めましょう。
軸1:男性の育休取得実績を確認する
最も信頼できるのは「実績」です。2025年4月から、従業員300人を超える企業には男性の育児休業取得率を年1回公表することが義務づけられました。大手の調剤チェーンや製薬会社などはこの対象に含まれることが多く、各社のホームページや、厚生労働省が運営する両立支援の情報サイトで取得率を確認できます。数字が高いほど、男性が取りやすい文化が根づいていると考えられます。面接の場で、直近で男性の取得実績があるかを率直に質問するのも有効です。
軸2:業態ごとの取りやすさを知る
薬剤師の職場は、業態によって育休の取りやすさに傾向があります。
| 業態 | 育休の取りやすさの傾向 |
|---|---|
| 企業(製薬・卸・本社部門) | 取得率公表の対象が多く、代替がきく体制も整いやすい。取りやすい傾向 |
| 大手チェーン薬局・ドラッグストア | 店舗数が多く応援要員を回しやすい。制度・実績ともに整備が進む |
| 病院 | 規模により差が大きい。大規模病院は人員に余裕があり取りやすい場合も |
| 個人・中小の調剤薬局 | 少人数だと欠員の影響が大きく、長期の休みは取りにくいことがある |
育休をしっかり取りたいなら、応援要員を回しやすい大手チェーンや、人員にゆとりのある企業・大規模病院に視野を広げると選択肢が増えます。地元密着の小さな薬局が悪いわけではありませんが、その場合は「休む間、誰がどう回すか」を事前に確認しておくことが欠かせません。
取得率の数字だけでなく「直近で取った男性が、戻ってきて普通に働けているか」まで確認できると安心です。取れても復帰後に居づらくなる職場では本末転倒。そこはエージェントに内情を聞いてもらうのが近道です。
スムーズに取得するための進め方
職場が決まったあと、育休を円滑に取るためのポイントを整理します。
- 早めに相談する:通常の育休は原則1ヶ月前までの申出ですが、人員調整の都合上、わかった段階で早めに伝えるほど職場も準備しやすくなります。
- 引き継ぎを見える化する:担当業務・在宅患者・発注などを一覧にしておくと、休んでいる間も周囲が困りません。これが取りやすさにも復帰しやすさにもつながります。
- 分割を活用する:産後パパ育休は2回に分けられます。繁忙期を避けて組めば、職場への負担を抑えつつ必要な時期に休めます。
転職の面接段階で「将来的に育休を取得したい」と伝えておくと、入社後に切り出しやすくなります。育休に前向きな職場であれば、その希望はむしろ歓迎されるはずです。
よくある質問
まとめ
男性薬剤師が育休を取得しやすい職場へ転職するためのポイントを整理します。
- 男性育休の取得率は40%超まで上昇し、男性が取ることは特別ではなくなった
- 男性向けの産後パパ育休(出生後8週以内・最大4週・2回分割可)を活用できる
- 2025年以降は両親で取得すれば手取り約10割相当になり、収入の不安は小さい
- 職場選びは「男性の取得実績」と「業態の取りやすさ」の2軸で見極める
- 応援要員のある大手チェーン・企業・大規模病院は取りやすい傾向。少人数薬局は要確認
育休は制度があるかどうかではなく、実際に取れて、戻ってからも働き続けられるかが大切です。取得実績を確認し、人員にゆとりのある職場を選ぶことで、安心して育児に向き合える環境が手に入ります。家族との時間を大事にしながら働くために、職場選びの段階からしっかり見極めていきましょう。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。制度の詳細や取得率の数値は変動する場合があります。

