この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
在宅医療に関わる薬局を中心に、薬剤師にも「オンコール」のある職場が増えています。「オンコールって大変そう」「呼び出しはどのくらいあるの?」と、転職先を考えるうえで気になる方は多いはずです。オンコールは当直や夜勤とは違い、自宅で待機できるのが特徴です。
この記事では、薬剤師のオンコールとは何か、当直・夜勤との違い、オンコールのある職場、呼び出しの実態、メリットとデメリット、手当、避けたい人の選択肢、求人の見極め方を、現役薬剤師の目線で整理します。
- 薬剤師のオンコールとは何か、当直・夜勤との違い
- オンコールのある職場と、呼び出しの実態
- メリット・デメリットと手当
- 避けたい人の選択肢と求人の見極め方
薬剤師のオンコールとは
オンコールとは、勤務時間外に自宅などで待機し、患者さんや職場から緊急の連絡があったときに、電話で対応したり薬局に出向いて調剤・配達をしたりする勤務形態です。「待機(勤務)」とも呼ばれます。携帯電話を持っておき、連絡がなければ普段どおりの生活を送れるのが、当直や夜勤との大きな違いです。
当直や夜勤が職場に泊まったり常駐したりして待機するのに対し、オンコールは自宅で待機できます。当直・夜勤との違いを整理しました。
| 区分 | 特徴 |
| オンコール | 自宅で待機。連絡があれば電話対応や出動。なければ普段どおり過ごせる |
| 当直 | 職場に泊まり込んで、夜間の緊急対応に備えて待機する |
| 夜勤 | 夜間に通常と同じ調剤・服薬指導などの業務を行う |
オンコールがある薬剤師の職場
薬剤師でオンコールがあるのは、主に在宅医療に対応している薬局です。在宅患者さんの急な発熱や痛みに対して、夜間や休日でも臨時の処方に応じる必要があるため、待機の体制をとっています。ほかにも、24時間対応をうたう薬局や、地域で夜間・休日の調剤を担う薬局でオンコールが発生します。
在宅医療の広がりを受けて、こうした職場は今後も増えていくと見られます。2026年の調剤報酬改定でも、在宅患者への夜間・休日を含めた対応体制を整えることが算定の要件として明確にされました。ただし、必ずしも一つの薬局だけで抱え込む必要はなく、近隣の在宅協力薬局と連携して対応する体制も認められています。オンコールを複数の薬局や薬剤師で分担する動きは、こうした制度の後押しもあって広がりつつあります。
一方、企業(製薬など)や日勤のみの調剤薬局、24時間営業でないドラッグストアでは、基本的にオンコールはありません。在宅対応薬局そのものについては、在宅専門薬局をテーマにした記事もあわせて参考にしてください。
オンコールの実態(呼び出しの頻度・過ごし方)
「オンコール=頻繁に呼び出される」というイメージを持たれがちですが、実態は少し違います。多くの薬局では、1人の薬剤師がずっと担当するのではなく、何人かでローテーションを組んで対応します。さらに、あらかじめ予想される症状に備えて薬を準備しておくなどの工夫により、実際に夜間に呼び出されることはそれほど多くないのが現実です。
とはいえ、待機中は「いつ電話が鳴るか分からない」状態のため、飲酒や遠出は避ける必要があります。呼び出しがなくても行動に一定の制約がかかる点が、オンコールの負担といえます。逆にいえば、連絡が来なければ自宅で比較的自由に過ごせるのが、当直や夜勤にはない特徴です。
「在宅は大変そう」と敬遠される一番の理由がオンコールですが、ふたを開けてみると呼び出しは思ったより少ない職場が多いです。大事なのは「何人で回しているか」。担当が薄い薬局ほど負担が偏るので、体制を必ず確認してください。
オンコールのメリット・デメリット
オンコールには、良い面と負担になる面の両方があります。転職先を選ぶ前に、両方を理解しておきましょう。
- 自宅で待機でき、当直や夜勤より体力的に楽との声もある
- 待機や出動に対して手当がつき、収入アップにつながる
- 呼び出しがなければ自宅で比較的自由に過ごせる
- 在宅医療に深く関わり、緊急対応の経験を積める
- 待機中は飲酒や遠出ができず、行動が制限される
- いつ電話が鳴るか分からない精神的なプレッシャーがある
- 呼び出されれば夜間でも対応が必要で、生活リズムが乱れることも
オンコールの手当と労働時間の考え方
オンコールの手当は、待機しているだけの場合と、実際に呼び出されて対応した場合とで分けて定められているのが一般的です。待機に対する手当に加えて、出動した際には出動手当や時間外の割増賃金が支払われるケースが多く見られます。具体的な金額は職場によって幅があるため、手当の相場については夜勤手当をテーマにした記事もあわせて参考にしてください。
なお、待機中の時間が労働時間にあたるかどうかは、拘束の強さによって変わります。厚生労働省の考え方では、実質的に仕事から離れることが保障されているかどうかが判断の分かれ目とされます。携帯を持っているだけで自由度が高ければ労働時間に含まれないことが多い一方、「短時間で駆けつける」「すぐ電話に出る」といった厳しい拘束がある場合は、待機時間も労働時間と扱われることがあります。実際に対応した時間は労働時間にあたります。
手当は「待機だけ」と「出動したとき」で分かれていることが多いので、両方の金額を必ず確認しましょう。待機手当が一律で低く設定され、いざ呼び出されても割に合わない、というケースもあります。求人票の額面だけでなく、呼び出し時の扱いまで見ておくと安心です。
オンコールを避けたい人の転職先
「オンコールのない職場で働きたい」という人も少なくありません。その場合は、次のような転職先が選択肢になります。転職先ごとの働き方や向き不向きを広く見比べたいときは、上のリンク先もあわせて参考にしてください。
- 在宅対応をしていない、日勤のみの調剤薬局
- 夜勤・当直のない製薬企業などの企業内の職場
- 24時間営業でないドラッグストア
- 在宅対応をしていない外来中心の医療機関
求人票に「在宅あり」と書かれていても、オンコールの体制は職場によって異なります。オンコールの有無や頻度は事前にしっかり確認しておきましょう。
オンコールのある求人を見極めるポイント
オンコールのある職場に転職する場合は、負担が偏らない体制かどうかを見極めることが大切です。次の点を事前に確認しましょう。
- 何人の薬剤師でローテーションを組んでいるか
- 実際の呼び出しの頻度はどのくらいか
- 待機手当・出動手当の有無と内容
- 待機中の行動制限(駆けつけまでの時間など)はどの程度か
- 呼び出し後、翌日の勤務はどう調整されるか
これらは求人票だけでは分かりにくいため、薬剤師に強い転職エージェントに確認してもらうのが確実です。「在宅に関わりたいが、オンコールの負担は抑えたい」といった希望も、具体的に伝えておきましょう。
よくある質問
まとめ
薬剤師のオンコールについて、ポイントを整理します。
- オンコールは自宅で待機し、緊急時に電話対応や出動をする勤務形態
- 主に在宅医療に対応する薬局にあり、在宅医療の拡大で増加傾向
- 2026年改定で夜間・休日の対応体制が要件化。連携で分担する動きも
- 複数人のローテーションが基本で、実際の呼び出しは多くないことが多い
- 体制・頻度・手当を確認し、避けたい人は日勤のみの職場を選ぶ
オンコールは、体制しだいで負担が大きく変わる働き方です。在宅に関わりたい人も、避けたい人も、求人ごとの実態を見極めて、自分に合う職場を選んでいきましょう。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。オンコールの体制・頻度・手当・労働条件は、薬局や地域・時期によって異なります。賃金や労働時間に関する個別のご相談は、労働基準監督署や専門家にお問い合わせください。

