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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「夜勤や当直がしんどい」「生活リズムを崩さずに働きたい」。そう感じて、夜勤のない職場への転職を考える薬剤師は少なくありません。薬剤師の職場は業態の幅が広く、夜勤がまったくない働き方も十分に選べます。
この記事では、どの業態が夜勤なしで働けるのか、求人でどう見極めるのか、子育てや介護をしている人が使える法律上の権利、そして夜勤なしを選ぶときのトレードオフまでを、現役薬剤師の視点で整理します。
- 薬剤師の夜勤・当直はどの職場で発生するのか
- 「夜勤」と「当直」の法律上の違い
- 夜勤なしの代表的な転職先と、求人票での見極め方
- 子育て・介護中に使える深夜業免除の請求
- 夜勤なしを選ぶときのメリットとトレードオフ
結論:夜勤を避ける手段は3つある
夜勤を避けたいとき、打てる手は「業態を選ぶ」だけではありません。求人での確認と法律上の権利を合わせた3つの方法があります。
とくに③は知られていませんが、法律で定められた請求権です。今の職場を辞めずに解決できる場合もあるため、後半で詳しく説明します。
同じ「調剤薬局」でも、24時間対応かどうかで夜勤の有無はまったく変わります。業態のラベルだけで判断せず、その職場が夜間も開いているかを個別に確認するのが大切です。
そもそも薬剤師の夜勤・当直はどこで発生する?
まず、夜勤や当直が発生しやすい職場と、基本的に発生しない職場を整理しましょう。業態によって事情が大きく異なります。
夜勤が発生しやすいのは、入院患者のいる病院の当直、そして24時間対応の調剤薬局やドラッグストアです。逆に、日勤で完結する業態を選べば、夜勤を避けやすくなります。
選択肢の広さは数字にも表れています。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、薬剤師が主に従事している施設は薬局が58.9%、医療施設が19.3%、医薬品関連企業が11.5%など(令和4年時点)。薬局が約6割を占めますが、夜勤のない業態も幅広く存在します。
「夜勤」と「当直」は扱いが違う
求人を見るときに知っておきたいのが、この2つの違いです。混同すると条件を読み違えます。
つまり、同じ「夜に働く」でも、手当の計算方法や拘束のされ方が違うということです。求人票に「当直あり」と書かれていたら、それが待機中心なのか実質的に夜勤なのか、頻度はどのくらいかを面接で確認しましょう。
病院の当直は「待機」と言いながら、実際には持参薬の確認や緊急の調剤で眠れないこともあります。名称ではなく、1回あたり何件くらい呼ばれるのかを聞いてみてください。実態がつかめます。
夜勤なしの代表的な転職先
夜勤を避けたい薬剤師が選びやすい、代表的な転職先を紹介します。
調剤薬局(日勤中心)
夜勤なしの代表格です。多くの調剤薬局は日中の診療時間に合わせた営業で、日曜が休みのケースも多く、生活リズムを整えやすい環境です。門前の医療機関の診療時間に勤務が左右されるため、応募前に営業時間を確認しておきましょう。
企業(製薬・医薬品関連)
製薬会社や医薬品関連企業は、基本的に夜勤・当直がなく、土日祝休みの日勤で働けることが多い職場です。プライベートの時間を確保しやすい一方、患者さんと直接接する機会が少なく臨床経験は積みにくいこと、職種によっては転勤があることは押さえておきましょう。
公務員・行政
衛生行政機関や保健所などで働く薬剤師は、日勤中心で規則的な働き方がしやすい職場です。調剤業務は少なめで、行政としての業務が中心になります。募集が限られる点には注意が必要です。
クリニック門前・診療所
診療所やクリニックの門前薬局は、診療時間内での勤務が中心で夜勤が発生しにくい職場です。診療科によって扱う処方の傾向が変わるため、経験を広げたい人は診療科もあわせて確認するとよいでしょう。
病院でも「当直なし」はある?
「病院=必ず当直あり」というわけではありません。当直の有無は病院の体制によって異なります。臨床経験を積みたいけれど夜勤は避けたい、という場合は、当直のない病院を探すのも一つの方法です。
- 外来中心・入院体制の小さい病院では、当直が発生しにくい傾向があります
- 当直を別の体制でカバーしている病院もあり、薬剤師の当直が求められないケースもあります
- 求人票だけで判断せず、当直の有無と頻度を必ず確認することが大切です
面接では「薬剤師は月に何回、当直に入りますか」「呼び出しは1回あたり何件くらいですか」と、数字で聞くのが確実です。「たまにあります」という答えだけでは、実態が判断できません。
夜勤なし職場の見極め方(求人チェック)
求人票や面接で、次のポイントを確認すれば、夜勤の有無を見極めやすくなります。
- 当直・夜勤の記載を確認する。「当直あり」の記載がないか、逆に「日勤のみ」「当直なし」と明記されているかを見る
- 営業時間・診療時間を確認する。24時間対応か、深夜まで営業しているかで夜勤の有無が変わる
- 交替制かどうかを確認する。交替制の場合、遅番・夜間帯が含まれることがある
- 記載がないときは面接で質問する。当直の有無・頻度・時間帯を、選考の段階で率直に確認しておく
労働条件通知書には交替制のことも書かれる
内定後に受け取る労働条件通知書には、労働基準法にもとづき、始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日などに加えて、労働者を2組以上に分けて就業させる場合の「就業時転換に関する事項」を明示することが定められています。
つまり、交替制勤務がある職場なら、その内容は書面で示されるはずだということです。入職前に必ず目を通し、聞いていた話と食い違いがないかを確認してください。あいまいなまま入職すると「聞いていた話と違う」につながりかねません。
求人票に夜勤の記載がなくても、実際には当直があるケースもあります。気になる点は入職前にはっきりさせておきましょう。エージェント経由なら、担当者に確認を依頼するとスムーズです。
「当直は希望者のみです」と説明されても、実際には人手が足りずに回ってくることがあります。現在の薬剤師の人数と、当直を担当している人数を聞いておくと、将来の見通しが立てやすくなります。
子育て・介護中なら深夜業の免除を請求できる
意外と知られていませんが、一定の条件を満たす人は法律上の権利として深夜勤務を免除してもらえます。転職しなくても解決できる場合があるため、まずここを確認してください。
育児・介護休業法第19条は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、事業主は午後10時から午前5時までの間に労働させてはならないと定めています。要介護状態の対象家族を介護する労働者についても、同法第20条で同様の定めがあります。
出典:厚生労働省「両立支援のひろば」、同「介護休業制度特設サイト」
あわせて、小学校就学前の子を養育する労働者は、時間外労働を1か月24時間・1年150時間を超えて行わせないよう請求することもできます。夜勤だけでなく残業の負担も減らせる仕組みです。
これらは法律で定められた制度なので、どの職場でも利用できます。ただし勤続1年未満は対象外である点に注意が必要です。転職直後に子どもが生まれる予定があるなら、入職から1年間は請求できない可能性を見込んでおきましょう。面接では「制度を実際に使っている人はいますか」と聞くと、運用の実態がわかります。
「言い出しにくいから転職しよう」と考える前に、この制度があることを知っておいてほしいです。制度として存在するものを請求するのは、わがままではありません。もし請求して不利益な扱いを受けたなら、それこそが転職を考えるべき理由になります。
夜勤なしのメリットとトレードオフ
夜勤なしの働き方には、大きなメリットがある一方で、知っておきたいトレードオフもあります。両方を理解したうえで選びましょう。
- 生活リズムが安定し、体への負担が軽くなる
- 睡眠や休息が取りやすく、健康を維持しやすい
- 家庭やプライベートの予定を立てやすい
- 深夜割増賃金や当直手当がつかない分、夜勤ありの働き方と比べると収入面のプラスは得にくい
- 同じ業態でも、夜勤の有無で年収に差が出ることがある
- 病院を志望する場合、当直なしの求人は数が限られる
ただし、夜勤の有無だけで年収が決まるわけではありません。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、薬剤師の平均年収は566.8万円(令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした数値)ですが、これは業態・地域・役職によって大きく変わります。日勤中心でも水準の高い職場はあるため、収入は職場全体の条件で総合的に判断しましょう。
健康や生活の安定は、お金に換算しにくい大切な価値です。夜勤でつらい思いをして年収が少し高くても、体を壊してしまえば元も子もありません。自分にとって何を優先したいかを軸に選んでほしいと思います。
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まとめ
- 夜勤が発生しやすいのは病院の当直と、24時間対応の調剤薬局やドラッグストア
- 夜勤なしの代表は日勤中心の調剤薬局・企業・公務員・クリニック門前
- 「夜勤」と「当直」は法律上の扱いが違う。名称ではなく実態と頻度を確認する
- 病院でも当直なしの職場はある。月あたりの回数と呼び出し件数を数字で聞く
- 小学校就学前の子の養育や家族の介護をしている人は、深夜業の免除を請求できる
- 夜勤なしは生活リズムが安定する一方、手当がつかない分の収入面のトレードオフがある
薬剤師は業態の選び方しだいで、夜勤のない働き方を十分に実現できます。大切なのは、業態のラベルだけで判断せず、その職場の勤務体制を個別に確認すること。そして、使える制度があることを知っておくことです。自分にとって何を優先したいかを軸に、健康と生活の安定を大切にしながら、納得できる職場を選んでください。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。夜勤・当直の有無や条件は職場によって異なります。制度の適用可否や手続きは個別の事情によって変わるため、詳細は勤務先の人事担当窓口または最寄りの都道府県労働局にご確認ください。応募先の勤務体制は、求人情報や面接で必ずご確認ください。

