※本記事はアフィリエイト広告を含みます。
この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「残業が多くて体がもたない」「プライベートの時間がない」「もっと自分の時間を確保できる職場に移りたい」
薬剤師の残業問題は根深いものです。しかし「残業少なめ」を求人票で探しても、実態と異なるケースが少なくないという落とし穴があります。
私も、求人票に「残業ほぼなし」と書かれた職場に入ったところ、実際には月20時間以上の残業があったという経験をしました。この記事では統計の読み方、残業を規制する法律のルール、求人票を検証する具体的な手順、そしてエージェントと面接での確認方法まで、現役薬剤師の視点でまとめます。同じような経験をした薬剤師の実例は薬剤師の転職体験談まとめでも紹介しています。
- 統計上の残業時間が、なぜ現場の実感より少なく見えるのか
- 職場の種別ごとの残業の傾向(調剤薬局・病院・ドラッグストア・施設・企業・派遣)
- 残業を規制している法律のルールと、面接で確認できるようになること
- 転職する前に現職で試せること
- 求人票の「残業少なめ」を検証する方法と、固定残業代の3点チェック
- エージェントに確認すべき5つの質問と、面接での聞き方
- 残業を減らす転職に強いエージェント
薬剤師の残業|統計の数字と実感がずれる理由
要点:公的統計の残業時間は月10時間前後だが、この数字は「支払われた残業」だけを数えたもの。実感とのずれには理由がある。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、職種ごとに「超過実労働時間数」が公表されています。薬剤師のこの数値は調査年によって動きますが、公表されている範囲ではおおむね1か月あたり10時間前後で推移してきました。
「思ったより少ない」と感じた方が多いはずです。実はこの数字には、読み取るうえで押さえておくべき性質が3つあります。
つまり、「薬剤師の平均残業は月10時間だから大丈夫」という考え方は、転職先を選ぶ場面ではほとんど役に立ちません。見るべきは平均値ではなく、応募先の職場そのものの数字です。この記事の後半では、その数字をどう引き出すかを解説します。
「統計より実感のほうが多い」というのは、感覚が間違っているのではありません。統計が拾えていない部分があるだけです。まずは自分の残業を1か月記録してみてください。実際の数字を持っているかどうかで、この先の交渉も転職先選びも変わってきます。
職場の種別ごとの残業の傾向
要点:残業の量を決めるのは「業務量の予測しやすさ」。予測できる職場ほど残業は少ない。
職場の種別ごとの傾向は次のとおりです。数字は公的統計ではなく実務上の目安なので、幅を持って読んでください。
※上記は公的統計ではなく、職場の運営形態から導いた目安です。同じ種別でも規模・地域・時期によって大きく異なります。
表を眺めて気づいてほしいのは、残業の多さが「忙しさ」ではなく「業務量を前もって読めるかどうか」で決まっている点です。急性期病院が大変なのは仕事量が多いからだけでなく、予定が崩れるからです。転職先を見るときも「この職場は明日の業務量を予測できるか」という目で見ると、判断を誤りにくくなります。
残業には法律の上限がある|知っておくと面接が変わる
要点:時間外労働には罰則付きの上限が定められている。薬局も病院も例外ではない。数字を知っていれば、面接での質問が具体的になる。
残業を「職場の雰囲気の問題」だと思っている方は多いのですが、実際には法律で枠が決まっています。2019年4月(中小企業は2020年4月)から、時間外労働の上限規制が罰則付きで適用されています。薬局も病院も対象です。
この知識を面接でどう使うか
上限規制を知っていると、面接での質問が具体的になります。おすすめは次の聞き方です。
- 「労使協定に特別条項は付いていますか」→ 付いているなら、月45時間を超える月が想定されているということです
- 「直近1年で、月45時間を超えた月はありましたか」→ 年6回という上限に対して実績がどうかを確認できます
- 「有給の年5日取得は全員達成できていますか」→ 事業者の義務なので、答えに詰まる職場は管理体制に不安があります
これらは事業者側が把握していて当然の事柄です。答えが具体的に返ってくるかどうか自体が、労務管理の水準を測る材料になります。
⚠ 管理薬剤師には注意点があります
労働基準法上の「管理監督者」に当たる場合、時間外・休日労働の割増賃金の対象外となります。ただし、管理監督者かどうかは役職名ではなく、権限・裁量・待遇の実態で判断されるものです。役職名だけで割増賃金が支払われない扱いになっていないか、条件提示の段階で確認しておいてください。なお深夜割増や年次有給休暇の規定は管理監督者にも適用されます。
「残業は多いですか」と漠然と聞くと「まあ普通ですね」で終わります。「特別条項はありますか」「月45時間を超えた月は年に何回ありましたか」と聞けば、ごまかしようがありません。知識があるだけで、引き出せる情報の質が変わります。
転職する前に現職で試せること
いきなり転職に踏み切る前に、現職で改善できないかを試す価値はあります。転職活動と並行して進めても構いません。
① 残業の実態を記録して数字で相談する
1か月間、日ごとの退勤時刻と超過時間を記録します。「業務量が今の人数では収まっていない」という事実を数字で示せると、人員補強や業務分担の見直しにつながることがあります。感覚で訴えるより、はるかに動いてもらいやすくなります。
② 残業の中身を「必要な業務」と「習慣」に仕分ける
薬歴を閉局後にまとめて書いている、在庫確認を全員が帰る前に行っている、といった運用は見直しの余地があります。同じ業務でも、行うタイミングを変えるだけで超過時間が減ることは珍しくありません。
③ 時間外を正しく申告する
申告制の職場では、申告しないことで問題が数字として表に出ません。正しく申告することが、組織として残業削減に動く最初のきっかけになります。時間外労働に対する割増賃金の未払いがある場合は、労働基準監督署に相談できます。
⚠️ それでも変わらないなら、構造の問題です
半年試しても改善しない、相談しても対応されない、慢性的な人手不足が続いている。こうした状態は個人の工夫では動かせません。職場の構造そのものに原因があると考えて、転職に軸足を移す時期です。
現職で試すことには、転職しなくても済むかもしれないという以外にもうひとつ意味があります。記録した残業時間が、そのまま転職先を選ぶときの物差しになるということです。「今が月25時間だから、15時間以下の職場に移りたい」と言えれば、担当者も探しやすくなります。
残業が少ない職場に共通する特徴
同じ職場の種別でも、残業が少ない職場と多い職場には明確な違いがあります。
✅ 残業が少ない職場の特徴
⚠️ 残業が多くなりがちな職場のサイン
- 処方箋枚数の記載がない。書けない理由があるか、把握していないかのどちらかです
- 「急募」「即戦力歓迎」が前面に出ている。欠員が埋まるまでの間、残った人に負荷が乗っている状態です
- 固定残業代の時間数が大きい。30時間分が設定されているなら、その水準の残業が想定されているということです
- 門前の標榜科が多い。処方の種類が増えるほど、監査と服薬指導にかかる時間が伸びます
- 同じ求人が長期間掲載され続けている。定着していないか、条件が市場と合っていない可能性があります
見落とされがちなのが「閉局時刻と門前の診療終了時刻の差」です。診療が18時までで閉局も18時なら、最後の患者さんが来る限り必ず残ります。ここに30分の余白がある薬局は、設計の段階で定時退勤を織り込んでいるということです。求人票では分からないので、必ず確認してください。
求人票の「残業少なめ」を検証する方法
要点:固定残業代の書き方には国が定めた明示ルールがある。3点がそろっていない求人票は、その時点で赤信号。
「残業ほぼなし」「定時退社が基本」と書かれていても、実態と異なることがあります。数字が小さく見える理由は主に4つです。
⚠️ 求人票の残業時間が実態より少なく見える理由
- 固定残業代の分が「残業」として数えられていない。30時間分が給与に含まれていれば、そこまでは想定内として扱われます
- 年間平均で書かれている。感染症の流行期や年度末に集中していても、平均すると小さく見えます
- 申告された分しか記録に残っていない。申告されていない時間は、そもそも集計対象になりません
- 応募を集めるために控えめに書かれている。実績値ではなく「目安」として記載されているケースがあります
固定残業代の3点チェック
ここが最も実用的な部分です。固定残業代を採用する場合、厚生労働省の指針により、求人票には次の3点をすべて明示することが求められています。
- ① 固定残業代を除いた基本給の額
- ② 固定残業代の額と、それが何時間分に当たるか(時間外労働の有無にかかわらず支給される旨も含む)
- ③ その時間数を超えた分の割増賃金は追加で支給する旨
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を採用する場合の明示について」(職業安定法に基づく指針および若者雇用促進法に基づく指針)
左側の書き方をしている求人票は、指針が求める明示が不足しています。その職場が違法だと即断はできませんが、労務管理への意識を測る材料にはなります。見つけたら、内訳と時間数を必ず確認してください。
✅ 信頼できる残業情報の書き方
- 「月平均残業時間◯時間(直近12か月の実績)」と、期間を区切った実績で書かれている
- 「固定残業代なし。時間外労働は実績に応じて全額支給」と明記されている
- 1日の処方箋枚数と、常勤薬剤師の人数がどちらも記載されている
求人票を見るとき、私は真っ先に固定残業代の時間数を探します。この数字は、その職場が想定している残業量をほぼ正直に表しているからです。「20時間分」と書いてあれば20時間前後は覚悟が要りますし、「固定残業代なし」なら、残業を織り込んでいない設計だと読み取れます。給与の総額より、まずここです。
エージェントに確認すべき5つの質問
転職エージェントを使う最大の利点は、求人票に載らない情報を代わりに確認してもらえることです。次の5つは必ず聞いてください。
質問①「直近12か月の月別の残業実績を教えてもらえますか」
「平均」ではなく「月別」と指定するのが肝心です。平均10時間でも、内訳が「8か月は3時間、4か月は25時間」なら意味がまったく違います。月別で答えられるなら、職場を把握している担当者だと判断できます。
質問②「固定残業代は何時間分で、超過分は支給されていますか」
求人票に明示がない場合はここで確認します。「超過分は実際に支給されているか」まで踏み込むと、運用の実態が見えます。
質問③「直近1年で退職した薬剤師はいますか。理由は聞いていますか」
退職の有無と理由は、職場の実態を最も正直に映します。労働環境を理由に辞めた人がいるなら、構造的な問題が残っている可能性があります。
質問④「1日の処方箋枚数と、常勤薬剤師の人数を教えてください」
この2つが分かれば1人あたりの負荷を自分で計算できます。パートを含む場合は常勤換算で聞くのが正確です。あわせて閉局時刻と門前の診療終了時刻も確認しておきましょう。
質問⑤「時短勤務や育児中のスタッフはいますか。勤続年数はどれくらいですか」
定時に帰る人が定着している職場は、その前提で業務が設計されています。在籍しているだけでなく、続いているかどうかが重要です。
5つのうち3つ以上が「確認してみます」で止まるようなら、その担当者は職場を把握していません。悪意ではなく、単に情報を持っていないだけです。質問の答え方そのものが、その窓口を使い続けるかどうかの判断材料になります。複数に登録しておくと、この比較ができるようになります。
面接での残業確認のコツ
面接で「残業はどれくらいですか」と直接聞くと「そんなに多くないですよ」で終わりがちです。事実として答えざるを得ない聞き方に変えます。
こうした質問を「印象が悪くなるのでは」と心配される方がいますが、逆です。労務管理をきちんとしている職場ほど、答えられることを歓迎します。答えづらそうにする職場だったとしたら、それこそが知りたかった情報です。エージェント経由なら、聞きにくい部分を担当者に代わりに確認してもらう手もあります。
残業を減らす転職に強いエージェント
残業を減らす転職では、職場の内情をどれだけ把握しているか、そして希望を丁寧に聞き取ってくれるかで選ぶことが重要です。
日本調剤グループが運営・25年以上の実績・派遣求人の取り扱いが豊富で残業を抑えた働き方に強い
- 派遣は契約で就業時間が定められており、時間外が原則発生しない
- 週3日・午前のみ・時短など、勤務時間を区切った求人を多数保有
- コンサルタントによる条件のヒアリングが手厚い
- まず派遣で働き、様子を見てから正社員に移るという相談もできる
条件交渉・面接同行・入職後のフォローまできめ細かなサポートが強み・非公開求人も多数保有
- じっくり相談しながら進めるスタイルで、求人票と実態の差も時間をかけて確認できる
- 働き方の希望を軸にした提案に定評があり、残業を抑えたい意向を伝えやすい
- 病院・企業を含む幅広い業態に対応。業態を変えて残業を減らす相談もしやすい
▶ あわせて読みたい
残業をできる限りなくしたいならファルマスタッフ(派遣)、正社員のままじっくり探したいならアポプラス薬剤師という使い分けが分かりやすいと思います。1社に絞る必要はありません。2社に登録して、先ほどの5つの質問への答え方を比べるのが、結局いちばん確実です。
よくある質問
まとめ
- 統計上の残業時間は月10時間前後だが、判断材料にはならない。支払われた分だけを数えており、調査対象が6月分の1か月で、全職場の平均だから
- 残業の多寡は「業務量を前もって読めるか」で決まる。施設薬局・派遣・療養型病院が少なく、急性期病院とドラッグストアが多くなりやすい
- 時間外労働には罰則付きの上限がある。原則月45時間・年360時間、特別条項があっても月45時間超は年6回まで。年5日の有給取得は事業者の義務
- 固定残業代は3点の明示が求められている。基本給の額・固定残業代の額と時間数・超過分の追加支給。そろっていない求人票は要確認
- エージェントには「月別の実績」を聞く。平均ではなく月別で答えられるかどうかが、職場を把握しているかの分かれ目
- 面接では法律の区切りを使って聞く。「月45時間を超えた月は年に何回か」「年5日の有給は全員達成できているか」
残業の少ない転職は、求人票を眺めているだけでは実現しません。制度を知り、確認すべき数字を決めて、内情を把握している窓口に代わりに聞いてもらう。この順番で進めることが、入職後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ最短の道です。同じ悩みを乗り越えた薬剤師の実例は薬剤師の転職体験談まとめで紹介しています。
※本記事はアフィリエイト広告を含みます。

