「認定薬剤師を取得すれば転職に有利になる?」
「どんな認定資格が転職で最も評価されるの?」
認定薬剤師は転職市場で確かに評価されますが、「どの認定資格か」「どう活用するか」によって転職への影響は大きく異なります。なかでも「研修認定薬剤師は転職にほぼ有利にならない」という業界の本音も存在します。
この記事では「認定薬剤師の種類と転職への影響度」「取得方法と費用・期間」「転職で最も評価される認定資格」「認定取得→転職の進め方」まで、現役薬剤師のくらげが実践的に解説します。
📋 この記事でわかること
- 認定薬剤師の種類(研修認定・専門認定・各分野認定)と転職への影響度の違い
- 研修認定薬剤師の取得方法・単位数・費用・期間(日本薬剤師研修センター準拠)
- 転職市場で最も評価される認定資格ランキング
- 「研修認定薬剤師は転職に有利にならない」は本当か?正直な評価
- 認定資格を取得してから転職する最適な進め方
目次
認定薬剤師とは?種類と転職への影響度
「認定薬剤師」は一種類ではなく、複数の団体がそれぞれ独自の認定制度を運営しています。まず全体像を把握しましょう。
認定薬剤師の3つの分類
研修認定薬剤師
日本薬剤師研修センター(JPEC)
△ 低〜中
取得者が多く差別化しにくい。かかりつけ薬剤師の要件として必須
分野別認定薬剤師
がん・在宅・漢方・小児など
○ 中〜高
専門性が明確。転職先によっては即戦力として高く評価される
専門薬剤師
がん専門・感染制御専門・精神科専門など
◎ 高
認定薬剤師の上位資格。取得難易度が高い分、転職での評価が最も高い
⚠️ 重要:認定薬剤師は「取れば転職に有利」ではない
研修認定薬剤師(日本薬剤師研修センター)は取得者が約10万人以上(新規・更新合計)と多く、持っていて当たり前に近い状況になっています。「持っているだけ」では差別化になりにくく、どの認定を・どう活用するかが重要です。
💬 くらげのひとこと
「認定薬剤師を取れば転職に有利になる」という話をよく聞きますが、正直「研修認定薬剤師」だけでは差別化になりにくいのが実情です。かかりつけ薬剤師の要件として持っておくことは大事ですが、転職での武器になるのはむしろ「在宅認定」「がん認定」などの専門性が明確な資格です。
研修認定薬剤師の取得方法|単位・費用・期間を解説
最も基本的な認定薬剤師である「研修認定薬剤師(公益財団法人日本薬剤師研修センター)」の取得方法を解説します。
新規取得の要件
必要単位数
申請日より遡って4年以内に40単位以上(出典:公益財団法人日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師制度実施要領」)
申請システム
PECS(薬剤師研修・認定電子システム)に登録し、オンラインで申請
研修受講方法
集合研修・eラーニング(MPラーニング等)・都道府県薬剤師会の研修など
申請費用の目安
プロバイダーにより異なる(例:東京都薬剤師会の更新申請料は8,800円)。JPECのPECS経由申請は別途確認が必要。各研修の受講料は別途発生
更新要件
3年ごとに30単位以上(毎年5単位以上必須)を取得し更新申請
取得までのSTEP
日本薬剤師研修センターの電子システム「PECS」に薬剤師免許番号等を登録。無料で登録でき、オンラインで単位の管理・申請ができます。
認定研修プロバイダー(CPC認証機関)が主催する研修に参加し、単位を取得します。
主な受講方法
- 集合研修(都道府県薬剤師会主催・学会など):1〜3単位/回
- eラーニング(MPラーニング・ファーマクラスターなど):自宅・スキマ時間で受講可能
- グループ研修・自己研修:合わせて毎年5単位以内・合計15単位まで申請可
STEP 3|40単位が揃ったらPECSで申請する
4年以内に40単位以上取得できたらPECSで認定申請を行います。申請後、審査が通れば研修認定薬剤師証が交付されます。
STEP 4|3年ごとに更新する(30単位以上・毎年5単位以上)
更新を忘れると認定が失効し、再度「新規」として40単位から取得し直しになります。認定期限2か月前にPECS登録メールアドレスへ通知が届くため、早めに対応しましょう。
※毎年5単位以上という条件は「3年間合計が30単位でもよい」ではありません。1年でも4単位以下の年があると更新不可になります。
💬 くらげのひとこと
eラーニングの普及で「通勤中に1単位」「昼休みに1単位」という形で効率よく取れるようになりました。忙しい薬剤師でも年5単位は十分現実的です。大切なのは「毎年コンスタントに5単位以上を取る」こと。まとめてやろうとすると失敗します。
転職市場で評価される認定資格ランキング
「どの認定資格が転職に一番効くか」は、転職先の職場タイプによって異なります。転職目的別に評価が高い認定資格を整理します。
転職での影響度が高い認定資格一覧
在宅療養支援認定薬剤師
◎ 非常に高
在宅対応薬局・地域包括ケア強化型薬局
がん薬物療法認定薬剤師
◎ 非常に高
がん拠点病院・オンコロジー専門薬局
がん専門薬剤師(専門薬剤師)
◎ 最高
大学病院・がんセンター・特定機能病院
漢方薬・生薬認定薬剤師
○ 中〜高
漢方専門薬局・漢方強化型調剤薬局
小児薬物療法認定薬剤師
○ 中〜高
小児科門前薬局・小児科クリニック
感染制御認定薬剤師
○ 中〜高
感染症専門病院・ICT設置病院
研修認定薬剤師(JPEC)
△ 低〜中
かかりつけ薬剤師の算定要件。差別化には弱い
「研修認定薬剤師は転職に有利にならない」は本当か?
一部のサイトで「研修認定薬剤師は転職に有利にならない」と指摘されています。これは一面では正しいですが、以下のように整理が必要です。
「研修認定を持っている」だけをアピール
❌ ほぼ差別化にならない(取得者が多すぎる)
かかりつけ薬剤師として算定してきた実績を持つ
✅ 算定件数・実績とセットで評価される
研修認定を取得し、さらに分野別認定へ進んでいる
✅ スキルアップへの積極姿勢として評価される
研修認定がない(かかりつけ薬剤師算定不可)
❌ 一部求人では要件として不利になる
結論として、研修認定薬剤師は「持っていることが前提・なくては困る資格」です。転職の武器にするためには、分野別認定資格や実務実績との組み合わせが必要です。
💬 くらげのひとこと
転職エージェントに聞くと「研修認定の有無は条件確認の際に聞くが、採用の決め手にはならない」という声が多いです。一方で「在宅認定を持っている薬剤師は、在宅強化型薬局への転職で年収提示が10〜30万円高くなるケースがある」という話も聞きます。どの認定を取るかで転職市場での評価が変わります。
転職に直結する認定資格の取り方と進め方
「転職を見据えて認定資格を取りたい」という薬剤師向けに、効率的な取得順序と進め方を解説します。
転職目的別のおすすめ認定資格ルート
推奨ルート:研修認定薬剤師(JPEC)→ 在宅療養支援認定薬剤師
在宅療養支援認定薬剤師(日本在宅薬学会)は在宅対応薬局・地域包括ケア強化型薬局への転職で最も評価される資格です。在宅対応の実務経験と組み合わせると、求人票の「優遇条件」に該当し年収交渉の強い材料になります。
取得条件:研修認定薬剤師取得後、在宅業務の実績・学会参加など所定の要件を満たすことで申請可。
推奨ルート:研修認定薬剤師 → がん薬物療法認定薬剤師 → がん専門薬剤師
がん拠点病院・大学病院への転職では「がん薬物療法認定薬剤師」が評価されます。さらに上の「がん専門薬剤師」まで取得できれば、転職市場での希少価値が高まり年収交渉でも有利になります。
取得条件:3年以上のがん薬物療法経験・所定の講習受講・筆記試験(年1回)合格が必要。
💊 調剤薬局での管理薬剤師・かかりつけ薬剤師を目指す
推奨ルート:研修認定薬剤師(必須) → かかりつけ薬剤師指導料の算定実績を積む
かかりつけ薬剤師の算定要件として研修認定薬剤師は必須です。算定件数の実績をセットでアピールすることで転職での差別化になります。管理薬剤師への転職は資格よりも「かかりつけ実績」「在宅訪問件数」を具体的な数字で示す方が重要です。
かかりつけ薬剤師算定要件(調剤報酬「かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料」):①研修認定薬剤師取得 ②当該薬局に週32時間以上勤務 ③3年以上の薬局勤務経験(出典:厚生労働省告示・調剤報酬点数表)
💬 くらげのひとこと
転職先の職場タイプが決まっていない段階で「どの認定を取ればいい?」と悩む方は、まずエージェントに相談して「希望の転職先でどの認定が評価されるか」を聞くのが最も効率的です。目的地が決まれば必要な資格が逆算できます。
認定資格を活かした転職の進め方
認定資格を取得したら、転職活動でどう活かすかが重要です。
認定資格は「資格・免許」欄に取得年と資格名を記載します。研修認定薬剤師は「研修認定薬剤師(公益財団法人日本薬剤師研修センター認定)取得」と正式名称で書きましょう。
職務経歴書でのアピール方法
- 在宅認定保有なら「在宅訪問の月平均件数」を記載
- かかりつけ薬剤師なら「算定患者数・継続率」を記載
- がん認定なら「抗がん剤調製件数・副作用モニタリング件数」を記載
認定資格を持っているだけでは弱い。「その資格で何をしてきたか・御社でどう活かせるか」をセットで伝えることが重要です。
例:「在宅療養支援認定薬剤師を取得し、現職では月20件以上の在宅訪問を担当しています。御社の在宅強化型薬局での業務にそのままご活用いただけます。」
認定資格保有者向けに資格手当を設定している職場があります。手当額は資格種別で大きく異なり、研修認定薬剤師は月5,000円前後、がん治療認定・専門薬剤師は月3〜5万円が目安(大手調剤薬局グループの事例)。転職交渉時に「御社では認定資格手当の設定はありますか?」と確認し、手当の有無・金額も含めて条件交渉しましょう。
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よくある質問
研修認定薬剤師を持っていないと転職に不利ですか?▼
調剤薬局への転職でかかりつけ薬剤師算定を求められる場合、研修認定薬剤師の取得が要件になるため「ない方が不利」になるケースがあります。一方で、病院・ドラッグストア・企業系の転職では必須ではなく、選考上の影響は限定的です。「取得中」と伝えながら転職活動を進めることも可能です。
認定資格を取得する費用は職場が負担してくれますか?▼
職場によって異なります。「資格取得支援制度」として研修費・受講料・申請料を負担してくれる職場もあります。研修費用の自己負担が重い場合は転職先を選ぶ際に「認定資格取得支援の有無」を確認しましょう。エージェントに「資格取得支援あり」の求人を絞り込んでもらうことも可能です。
認定薬剤師を取得してから転職した方がいいですか?今すぐ転職すべきですか?▼
目指す転職先が「認定保有者優遇」の職場なら、取得してから転職する方が有利です。一方で「今の職場の環境が悪く心身に影響が出ている」場合は、資格取得を待たず早期転職を優先すべきです。転職先で資格取得支援を受けながら認定を取得するという順序も選択肢のひとつです。エージェントに「取得中でも転職可能か」を相談してみてください。
認定資格を取得すると年収はどのくらい上がりますか?▼
資格種別によって手当額は大きく異なります。研修認定薬剤師は月5,000円前後、がん治療認定薬剤師・外来がん治療専門薬剤師は月3〜5万円(大手調剤薬局グループの事例:日本調剤・アポプラス薬剤師調査)を設定している職場があります。研修認定薬剤師単体での年収アップ効果は限定的で、より専門性が高い認定資格ほど手当額が大きくなる傾向があります。
まとめ|認定薬剤師の取得と転職活用のポイント
✅ この記事のまとめ
- 認定薬剤師は「研修認定・分野別認定・専門薬剤師」の3段階。転職影響度は専門薬剤師>分野別認定>研修認定の順
- 研修認定薬剤師(JPEC)の新規取得条件は4年以内に40単位以上・PECSで申請
- 更新は3年ごとに30単位以上・毎年5単位以上が必須
- 「研修認定を持っているだけ」では転職の差別化にならない。実務実績とセットでアピールすることが重要
- 転職で最も評価されるのは在宅療養支援認定・がん薬物療法認定・がん専門薬剤師
- 認定資格の手当(研修認定:月約5,000円・専門認定:月3〜5万円が目安)がある職場は転職エージェントに絞り込んでもらえる
- 「取得中でも転職可能か」はエージェントに相談して確認する
認定資格は「持っているだけで有利」ではなく、「目指す転職先に合った認定を・実績とセットで活用する」ことで初めて転職の武器になります。
どの認定資格が自分の転職に有効かは、まずエージェントへの相談で確認するのが最も効率的です。
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※本記事の情報は2026年5月時点のものです。認定資格の要件・費用は各認定機関によって変更される場合があります。最新情報は各認定機関の公式サイトをご確認ください。
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