この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「今の職場が合わない、また転職したい。でも、短期間で転職を繰り返すのはまずいかな」。そんな不安を抱えている方は少なくないと思います。薬剤師は求人が見つかりやすい職種ですが、短期での離職を繰り返すことには注意が必要です。
結論からお伝えすると、問題になりやすいのは「転職回数そのもの」よりも「短期離職の繰り返し」です。理由と対策を知っておけば、必要以上に恐れることも、安易に繰り返すこともなくなります。
この記事では、公的な統計をもとに、短期転職を繰り返すリスク、回数の考え方と正しい数え方、繰り返さないための対策、すでに回数が多い場合の見せ方まで整理します。
この記事でわかること
- 短期転職の繰り返しがなぜ問題になるのか
- 転職回数は何回までなのか、公的データから見た考え方
- 転職回数の正しい数え方(派遣・契約社員のケース)
- 採用面とキャリア面、2つのリスク
- 繰り返さないための対策と、回数が多い場合の見せ方
問題になりやすいのは「短期離職の繰り返し」
30秒でわかる要点
転職回数に「何回まで」という公的な基準はありません。採用側が見ているのは、各職場にどれくらい在籍し、なぜ辞めたのかです。短い期間での離職が続くと定着を懸念されやすくなりますが、1回の短期離職で行き詰まるわけではありません。原因を言葉にして、次の職場選びに反映させることが対策になります。
まず押さえておきたいのは、転職すること自体は悪いことではないということです。よりよい環境を求めて職場を変えるのは、前向きなキャリア選択です。問題になりやすいのは、短い期間での離職を何度も繰り返している場合です。
採用する側がとくに気にするのは、回数の数字そのものよりも「各職場にどれくらい在籍し、なぜ辞めたのか」です。長く勤めた末の転職が複数あるのと、いずれも1年未満で辞めているのとでは、受け取られ方がまったく違います。短期離職が続いていると、「採用してもすぐ辞めるのでは」という懸念を持たれやすくなります。
とはいえ、短期での離職そのものは特別なことではありません。厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者の離職状況では、就職後3年以内の離職率は新規大学卒就職者が33.8%、新規高卒就職者が37.9%でした。新卒で入った職場を3年以内に離れる人は、決して少数派ではないということです。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」(報道発表ページ)。全産業の数値で、薬剤師に限ったものではありません。
「転職イコール悪」ではありません。大事なのは、一つひとつの転職に納得できる理由があり、キャリアとして筋が通っているかどうか。短期離職が続いているなら、いったん立ち止まって理由を振り返ることが大切です。
次こそ長く働ける職場を選ぶために
短期離職の多くは入職後のずれが原因です。職場の情報を事前に確認するには、間に入ってくれる相手がいると進めやすくなります。
薬剤師転職エージェントおすすめランキングを見る転職回数は何回まで?公的データから考える
結論から言えば、「何回までなら大丈夫」という公的な基準はありません。回数の上限を示した統計も、行政が定めた目安も存在しないためです。インターネット上には年代別の目安が出回っていますが、根拠が確認できないものも多く、そのまま自分に当てはめる必要はありません。
代わりに確認しておきたいのが、転職が特別な選択ではなくなっているという事実です。厚生労働省の令和7年雇用動向調査によると、転職した人の賃金は前職と比べて増加が40.8%、減少が31.0%、変わらないが25.5%でした。多くの人が動いている一方で、約3割は賃金が下がっているという結果でもあります。
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」転職入職者の賃金変動状況(概況ページ)。全産業の数値です。
つまり、回数を重ねれば条件が上がっていくとは限りません。回数を気にするより、1回ごとの転職で何を得たのかを説明できるかどうかが、実際の評価を左右します。
採用側が実際に見ているところ
参考として、令和7年に転職した人が前職を辞めた理由は、労働時間や休日などの労働条件、職場の人間関係、収入が上位に並びます。特別な理由ではなく、日々の働き方への不満から動いている人が多数派です。理由そのものを引け目に感じる必要はありません。
転職回数の正しい数え方
「回数が多いかも」と不安になる前に、そもそも何を1回と数えるのかを確認しておきましょう。数え方を勘違いしていると、実際より多く見積もって、必要以上に不安になっていることもあります。
薬剤師は派遣や契約社員として複数の職場を経験している人も多いため、この違いを知っておくと、自分の転職回数を正確に把握しやすくなります。なお、履歴書には勤務した先を正しく記載する必要があります。数え方を整理するのは、あくまで自分の状況を把握し、面接で説明するためのものだと考えてください。
数え方に厳密なルールがあるわけではありませんが、面接で「これまで何回転職されましたか」と聞かれたときに、自分の中で説明できる基準を持っておくと慌てません。派遣期間をまとめて話すか、職場ごとに分けて話すかも、事前に決めておくと安心です。
短期転職を繰り返す2つのリスク
短期転職を繰り返すリスクは、「採用されにくくなる」面と「自分のキャリアに響く」面の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
1.採用面のリスク
採用する側は、新しく薬剤師を迎えると、教育や引き継ぎに時間と費用をかけます。そのため、早期に離職されることを避けたいと考えます。具体的には、書類選考の段階で慎重に見られたり、面接で退職理由を詳しく問われたりします。
ただし、これは説明で対応できる部分でもあります。会社都合の退職や、家庭の事情による転居など、やむを得ない理由があるなら、その旨をきちんと伝えれば懸念は下がります。
2.キャリア面のリスク
短期間で職場を変え続けると、一つの職場で深く経験を積む前に離れてしまい、専門性が育ちにくくなります。在宅を任される、管理業務に関わる、後輩を指導するといった段階に進む前に次へ移ると、経験の幅は広くても深さが伴わない状態になりがちです。
その結果、条件面でも交渉の材料が乏しくなります。前述のとおり、転職者のうち約3割は賃金が減少しています。回数を重ねること自体が待遇の改善につながるわけではない、という点は押さえておきたいところです。
採用面のリスクは見せ方である程度カバーできますが、キャリア面のリスクは自分自身に返ってきます。経験が浅いままだと、条件も選択肢も広がりにくい。ここが一番もったいないところです。
繰り返さないための対策
短期転職を繰り返さないために、次のポイントを意識しましょう。
- 辞めたくなる原因を分解する:職場そのものが原因なのか、業務内容なのか、働き方なのかを切り分けます。原因が曖昧なまま動くと、次でも同じ不満が出ます
- 職場の実態を事前に確認する:求人票だけで判断せず、職場見学で人員体制や1日の流れを確かめます
- 譲れない条件を3つに絞る:すべてを満たす職場はありません。優先順位を決めておくと、迷ったときの判断が早くなります
- すぐに見切りをつけない:入職直後は誰でも負担が大きいものです。慣れで解消する部分か、構造的な問題かを見極めます
とくに重要なのが、応募する前の確認です。入職後のずれを減らせれば、結果的に一つの職場で長く働け、短期離職の繰り返しを避けられます。求人票に書かれていない点、たとえば実際の残業時間、休みの取りやすさ、人員の欠員状況などは、面接や見学の場で必ず確認してください。
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「もう何回も転職してしまった」という方も、諦める必要はありません。過去は変えられませんが、伝え方は変えられます。採用担当者が懸念しているのは「またすぐ辞めないか」という点なので、その不安を解消できれば挽回は可能です。
これまでの多様な経験を強みとして整理できれば、転職回数の多さはマイナスばかりではありません。複数の業態を知っていること自体が評価される場面もあります。経験の幅を活かせる職場を選び、一貫した志望理由で伝えることで、前向きに受け取ってもらえる可能性が高まります。
回数が多いことを引け目に感じすぎる必要はありません。大切なのは、これまでの経験から何を学び、次でどう活かすかを語れること。一貫した流れがあれば、採用側の見方は変わります。
よくある質問
まとめ
- 問題になりやすいのは転職回数より、短期離職の繰り返し
- 「何回まで」という公的な基準はない。見られるのは在籍期間と理由
- 新規大学卒就職者の3年以内離職率は33.8%。短期離職自体は珍しくない
- 正社員は勤めた会社数から1を引いた数、派遣は派遣元単位で数えるのが一般的
- 転職者の約3割は賃金が減少。回数を重ねれば条件が上がるわけではない
- すでに回数が多くても、一貫した経緯として語れれば挽回できる
転職そのものは前向きな選択ですが、短期離職を繰り返すと、採用面でもキャリア面でも負担が生じます。大切なのは、辞めたくなる原因を見つめ、職場をよく調べて、納得して選ぶこと。すでに回数が多くても、これまでの経験を一本の流れとして語れれば、十分に挽回できます。次こそ長く働ける職場を、じっくり見極めていきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。統計値は公表時点のものであり、全産業を対象とした数値を含みます。実際の評価は応募先・求人・個人の経歴により異なります。

