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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「45歳で転職なんて、もう遅いだろうか」。40代半ばにさしかかると、転職を考えても年齢を理由にためらってしまう薬剤師は多いものです。求人に応募して断られたらと思うと、なかなか一歩を踏み出せません。
結論から言うと、45歳の薬剤師の転職は決して遅くありません。薬剤師は他の職種に比べて年齢の壁が低く、40代半ばでも十分に転職できます。この記事では、公的な統計と法律の裏づけを示しながら、45歳の転職が遅くない理由、現実に押さえておきたいこと、狙いやすい職場、成功のポイントを整理します。
- 統計と法律から見た、45歳の転職が遅くない理由
- 40代半ばの転職で現実に押さえておきたいこと
- 45歳が狙いやすい職場・狙いにくい職場
- 2026年の制度変更が45歳に追い風になっている理由
- 転職を成功させるためのポイントと面接の想定問答
結論:45歳の薬剤師の転職は遅くない
45歳の転職は遅くありません。ただし、20代や30代と同じ感覚で動くと苦戦します。「遅くはないが、戦略は必要」というのが、45歳の転職の正しい捉え方です。まず全体像を整理します。
私の周りでも、45歳前後で転職して活躍している薬剤師は珍しくありません。むしろ20年近い経験は大きな武器です。「もう遅い」と思い込んで動かないことのほうが、よほどもったいない。年齢より、自分の経験をどう生かすかを考えるほうが前向きです。
データで見る「45歳」という年齢
感覚ではなく、数字で確認しましょう。45歳という年齢は、薬剤師の世界では次のような位置づけになります。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、同「職業情報提供サイト」、高年齢者雇用安定法
注目したいのは2行目です。厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査をもとにすると、薬剤師の平均年収は45〜49歳でピークを迎えます。45歳は「終わりに向かう年齢」ではなく、市場価値が最も高くなる時期の入り口です。
また、高年齢者雇用安定法の経過措置が2025年3月末で終了し、2025年4月からは希望者全員に65歳までの雇用機会を確保することが企業に義務づけられました。70歳までの就業機会確保も努力義務とされています。45歳から数えて、働ける期間はまだ20年以上あるということです。
「あと20年ある」と考えると、45歳での転職は残りのキャリアの半分近くを左右する判断です。むしろ、我慢して合わない職場に居続けるほうがリスクが大きい。焦る必要はありませんが、動かない理由に年齢を使うのはもったいないと思います。
法律上、年齢だけで断ることはできない
労働施策総合推進法第9条により、事業主は募集・採用にあたって年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが原則として義務づけられています。求人票に「45歳まで」といった年齢制限を書くこと自体が、法律で定められた例外事由に該当しない限り認められていません。制度としても、年齢だけを理由に門前払いされにくい仕組みが整っているのです。
法律が禁じているのは「募集・採用時に年齢のみを理由に応募の機会を奪うこと」であり、経験や適性を踏まえた総合的な判断まで禁止するものではありません。書類選考や面接で実力を見られることに変わりはなく、実務上は経験が伴っているかどうかが引き続き重要になります。
この2つを合わせて理解しておくと、応募先に対して過度に萎縮する必要も、逆に法律を盾に楽観しすぎる必要もなくなります。年齢は入口を閉ざしませんが、中で評価されるのは経験です。
45歳の転職で現実に押さえておきたいこと
遅くはないとはいえ、40代半ばの転職には現実的な注意点もあります。理解したうえで臨みましょう。
- 20代・30代に比べると、応募できる求人の選択肢は絞られる
- 若手を育てる前提の職場では、書類選考で不利になることがある
- 即戦力や管理経験を期待されるため、相応の実力が求められる
- 未経験の専門職や製薬会社の医薬情報担当者などは、年齢的に難しいことが多い
- 職場によっては年収が下がる可能性もある
年収については、過度に悲観する必要も楽観する必要もありません。厚生労働省の令和7年雇用動向調査によると、転職した人の賃金は前職と比べて「増加」が40.8%、「変わらない」が25.5%、「減少」が31.0%でした(全産業)。上がる人も下がる人も一定数いるのが実態です。だからこそ、何を優先するかを先に決めておく必要があります。
こうした現実を踏まえると、45歳の転職は「数を打つ」より「自分の経験が生きる場所を狙う」ほうが成功しやすいといえます。やみくもに応募するのではなく、自分の強みが評価される職場に的を絞ることが大切です。
「転職できること」と「希望どおりの転職」は別物です。45歳なら転職そのものは十分可能ですが、すべての条件を満たす理想の職場が見つかるとは限りません。何を最優先するかを決めておくと、現実的でブレない判断ができます。
45歳が狙いやすい職場・狙いにくい職場
45歳の転職では、職場選びが成否を大きく左右します。狙いやすい職場と狙いにくい職場を整理しました。
狙いやすいのは、即戦力や管理経験を歓迎する職場、人手が足りていない職場です。逆に、若手の育成を前提とする職場や、未経験からの専門職・医薬情報担当者などは、45歳では難しくなります。自分の経験が評価される側の職場を選ぶことが、成功への近道です。
なお、地方への転職を考える場合は、厚生労働省の職業情報提供サイトで都道府県別の有効求人倍率を確認できます。全国平均は3.12倍ですが、地域によって差があるため、候補地の数字を先に見ておくと判断材料が増えます。
45歳なら、管理薬剤師の経験があると一気に選択肢が広がります。人手不足の薬局では「管理を任せられる経験者」は喉から手が出るほど欲しい人材です。これまでの経験を生かせる職場に絞れば、年齢はむしろプラスに働きます。
2026年の制度変更が45歳に追い風になる理由
2026年6月1日に施行された令和8年度の調剤報酬改定は、45歳前後の経験ある薬剤師にとって明確な追い風です。理由は、経験年数と在籍期間が、薬局の報酬要件そのものに組み込まれたことにあります。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」。要件の詳細は告示・通知の内容が優先されます。
つまり薬局側から見ると、「経験が長く、腰を据えて働いてくれる薬剤師」を採用することが、そのまま報酬に直結する状況になっています。45歳で20年近い経験と管理薬剤師経験を持つ人は、まさにこの要件を満たせる人材です。面接では、この点を意識して自分の経歴を伝えると効果的です。
「若い人が欲しいはずだ」と思い込んでいる45歳の方に、ぜひ知ってほしい変化です。制度の側が、経験年数と定着に値段をつけ始めました。これは20代にはない、あなただけの強みです。
45歳の転職を成功させるポイント
40代半ばの転職を成功させるために、押さえておきたいポイントをまとめました。
- 経験年数・管理薬剤師経験・在宅対応・認定資格などの強みを棚卸しする
- 譲れない条件を3つ程度に絞り、優先順位を明確にする
- 在職中から動き、収入を保ちながらじっくり探す
- 薬剤師に特化した転職エージェントで、経験が生きる求人を紹介してもらう
- 面接では長く腰を据えて働く意欲を前向きに伝える
45歳の転職では、自分の経験という武器をどう見せるかが鍵になります。一人で求人を探すより、薬剤師に詳しい転職エージェントに経験を伝えて、評価してもらえる職場を紹介してもらうほうが効率的です。複数のエージェントを併用すると、年齢を強みに変えられる求人に出会いやすくなります。
面接でよく聞かれる質問と答え方の例
45歳の面接で意外と効くのが「長く働きたい」という意欲です。採用側は、すぐ辞めない安定した人材を求めています。これまでの経験に加えて、腰を据えて貢献したいという姿勢を見せると、年齢への不安をむしろ信頼に変えられます。
よくある質問
まとめ
- 45歳の薬剤師の転職は遅くない。平均年齢は40.1歳で40代は主力層
- 年収のピークは45〜49歳の約676万円。市場価値が最も高くなる時期の入り口
- 労働施策総合推進法第9条により、求人票への年齢制限の記載は原則禁止
- 2025年4月から65歳までの雇用確保が完全義務化。働ける期間はまだ20年ある
- 2026年の調剤報酬改定で、経験年数と在籍期間が薬局の要件に組み込まれた
- 強みの棚卸し・条件の優先順位・長期勤務意欲のアピールが成功の鍵
45歳という年齢を、転職のハードルだと思い込む必要はありません。薬剤師にとって、40代半ばの経験はむしろ強みです。大切なのは、その経験が評価される職場を選び、自分の価値を正しく伝えること。戦略を持って動けば、年齢は壁ではなく武器になります。遅いと諦める前に、まずは自分の経験を棚卸しすることから始めてみましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。転職市場の動向や求人状況は変化することがあります。年収は公的統計をもとにした全国平均の目安であり、地域・業態・役職により異なります。雇用動向調査は全産業を対象とした統計で、薬剤師に限った数値ではありません。調剤報酬の要件は告示・通知の内容が優先されます。

