この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「転職先が決まらないと保育園に申し込めない」「保育園が決まらないと転職できない」。この2つがかみ合わず、動けなくなる方が少なくありません。堂々巡りの原因は、選考の仕組みを知らないことにあります。
先に結論をお伝えします。保活と転職は、どちらかを待たずに並行して進めるのが基本です。多くの自治体では求職活動中でも申し込めます。ただし就労中や内定済みに比べて点数が低くなるため、申込書の締め切りまでに「就労予定」を証明できる状態を作れるかが勝負になります。
この記事では、点数の仕組みと転職状況の関係、就労証明書の逆算スケジュール、そして子どもの年齢ごとに選ぶべき職場の条件まで整理します。年齢別の視点が必要なのは、復帰直後と小学校入学前で、職場に求めるものがまったく変わるからです。
この記事でわかること
- 保活と転職を並行させる理由と、点数の仕組み
- 在職中・内定済み・求職中で変わる就労証明書の準備
- 4月入園から逆算した月別のスケジュール
- 子どもの年齢別に、職場で確認すべき条件
- 2026年4月に始まった「こども誰でも通園制度」の位置づけ
保活と転職は並行が基本|点数の仕組み
認可保育園の入園選考は、多くの自治体で「保育の必要性」を点数化して行われます。基準指数や調整指数と呼ばれるもので、就労の状況が大きく影響します。まず、自分の状況がどう扱われるかを押さえてください。
ここから導かれる実務的な結論は1つです。申込書の締め切りより前に内定を取れるかどうかが、選考の結果を左右します。だから「保育園が決まってから転職活動」では順番が逆になります。転職活動を先に動かし、内定が出た時点で就労予定として申し込む。これが最も点数を落とさない進め方です。
なお、点数の基準や算定方法は自治体によってかなり違います。週何時間以上をフルタイムとみなすか、求職中に何点つくか、きょうだいがいる場合の加算はどうかなど、細部が自治体の裁量です。最初にやるべきは、住んでいる自治体の選考基準の資料を1つ手に入れることです。
「どちらが先か」で悩んで動けなくなるのが、いちばんもったいないです。保活も転職も情報収集はいつでも始められます。まずは自治体の選考基準の資料をもらってくるところからで大丈夫です。
就労証明書と、4月入園からの逆算
申し込みには就労証明書(就労予定証明書を含む)の提出が求められます。状況によって依頼先が変わります。
4月入園を目指す場合の逆算は次のようになります。自治体によって時期は前後しますが、全体の並びは共通です。
見落としやすいのが最後の行です。入園直後は慣らし保育の期間があり、通常より早い時間に迎えが必要になります。入職日を4月1日にすると、最初の2週間が回らないことがあります。面接の段階で「入園後の慣らし保育があるため、4月中旬から通常勤務にしたい」と伝えておくと、あとで調整しやすくなります。
内定先に就労証明書を頼むのは、まったく失礼ではありません。企業側も慣れています。ただ発行に1週間から2週間かかることがあるので、締め切りの直前に頼むと間に合いません。内定が出たその日に依頼するくらいで大丈夫です。
子どもの年齢別|職場で確認すべき条件
「子育てと両立しやすい職場」は年齢によって中身が変わります。復帰直後に効く条件と、小学校入学後に効く条件は別物です。年齢ごとに整理しました。
制度の裏づけも押さえておきます。法律上の短時間勤務制度は子が3歳になるまでが対象です。そのうえで2025年4月から残業免除を請求できる対象が小学校就学前の子まで広がり、同年10月からは3歳以上就学前の子について、事業主が始業時刻の変更や在宅勤務、短時間勤務などの措置を2つ以上整備し、本人が1つを選べることになりました。
子の看護等休暇も2025年4月に拡大しました。対象が小学校3年生修了までに広がり、学級閉鎖や入園式・卒園式・入学式への参加も取得事由になりました。あわせて「継続雇用6か月未満は対象外」とする労使協定の規定が廃止されたため、転職直後でも使えます。この3つは面接で具体的に聞く価値があります。
見落とされがちなのが小学校入学のタイミングです。保育園より預かり時間が短くなるので、そこで働き方を変える人がかなりいます。入園の話をしている段階から、小学校に上がったあとどうするかも少し考えておくと、職場の選び方が変わります。
預け先の選択肢を広げる
認可保育園だけを見ていると、落選したときに手が止まります。最初から複数の選択肢を並べておいてください。
こども誰でも通園制度の正しい位置づけ
2026年4月から、こども誰でも通園制度(正式名称は乳児等通園支援事業)が全国で本格的に始まりました。保護者の就労の有無を問わず、0歳6か月から満3歳未満で保育所などに通っていない子どもが、月の一定時間の範囲で保育施設を時間単位で利用できる制度です。保育の必要性の認定が不要なのが大きな特徴です。
ただし、フルタイム就労を支える制度ではありません。利用できる時間は、国の補助の基準上限として1人あたり月10時間が設定されています。自治体が独自に時間を設定できるため地域差がありますが、いずれにしても毎日預けられる枠ではありません。保活の代わりではなく、保活と並行して使う一時的な預け先として位置づけてください。
出典:こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」、政府広報オンライン。利用可能時間・実施施設は自治体により異なるため、お住まいの自治体でご確認ください。
病児保育の事前登録は、必要になる前に済ませておいてください。熱が出た当日に登録から始めると間に合いません。薬剤師は当日の欠勤が店舗全体に響くので、ここを整えておくと精神的にかなり楽になります。
保育園が決まらなかったときの動き方
落選しても転職をあきらめる必要はありません。打てる手を順番に並べます。
3つ目は意外と通ります。人手が必要な職場ほど「数か月待てば来てくれる」なら待つ判断をします。伝えるタイミングが遅いと調整できなくなるので、落選が見えた段階で相談してください。
5つ目については、育児休業は保育所に入所できないなどの事情があれば延長できます。ただし手続きには期限と必要書類があるため、落選通知が届いた時点で勤務先とハローワークに確認してください。転職を予定している場合は、休業中に退職すると給付が止まる点にも注意が必要です。
薬剤師は資格職なので、預け先が決まれば動きやすいのが強みです。落選したときに詰まるのは働き口ではなく、預け先です。だからこそ、預け先の選択肢を増やすほうに時間をかけてください。
よくある質問
まとめ
保活と転職を同時に進めるための要点を整理します。
- 求職活動中でも申し込めるが点数は下がる。申込書の締め切りまでに内定を取り、就労予定で申請するのが最も有利
- 就労証明書は発行に1週間から2週間かかる。内定が出た日に依頼する
- 職場に求める条件は子の年齢で変わる。時短は3歳まで、残業免除と看護等休暇は就学後まで使える
- 落選しても手はある。二次募集、認可外、入職日の後ろ倒し、働き方を一段落とす、育休の延長
最初にやることは1つだけです。住んでいる自治体の選考基準の資料を手に入れて、自分の点数を数えてみてください。数字が出れば、いつまでに内定が必要かが決まります。そこから逆算すれば、動く順番は自然に見えてきます。
この記事で参照した公的情報
- こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」
- 政府広報オンライン「こどもの世界が広がる! こども誰でも通園制度」
- 厚生労働省「2025年4月から、改正育児・介護休業法等が施行」
- 育児・介護休業法(短時間勤務・所定外労働の制限・子の看護等休暇)、子ども・子育て支援法
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。保育園の選考基準・必要書類・こども誰でも通園制度の利用可能時間は自治体により大きく異なるため、詳細はお住まいの自治体窓口でご確認ください。

