薬剤師は何歳まで転職できる?施設別の平均年齢で見る年代別の選び方

40代・50代の薬剤師でも転職できる?現実的な上限・大手と中小の違い・年代別の攻略法・選ばれる薬剤師の条件を現役薬剤師が解説

この記事を書いた人

くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

「もう40代だけど転職できるのか」「50代は無謀なのか」。年齢の話は感覚で語られがちですが、判断に必要なのは届出データです。

先に結論をお伝えします。厚生労働省の届出データでは、60歳から69歳の薬剤師が45,964人、70歳以上も19,986人います。合わせて全体の20.1パーセントです。年齢だけで働き口がなくなる職業ではありません。

ただし「何歳でも同じように転職できる」わけでもありません。変わるのは可否ではなく、選べる職場の種類と、雇用形態です。この記事では、施設ごとの平均年齢という客観データから「その年代が実際に多く働いている職場」を特定し、年代別の攻略法まで整理します。

この記事でわかること

  • 届出データで見る薬剤師の年齢構成と、施設ごとの平均年齢
  • 年齢の壁が低いと言われる理由と、その裏づけ
  • 20代から60代までの、年代別の難易度と攻略法
  • 年代と職場の相性を一覧で確認する早見表
  • 年齢が上がるほど効いてくる3つの武器と、いまやること
目次

データで見る|薬剤師は何歳まで働いているか

厚生労働省の令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計によると、届出薬剤師は329,045人で、平均年齢は46.9歳です。年齢階級ごとの人数は次のとおりです。

年齢階級
人数
構成割合
60歳から69歳
45,964人
14.0パーセント
70歳以上
19,986人
6.1パーセント
60歳以上の合計
65,950人
20.1パーセント(5人に1人)

施設ごとの平均年齢で「その年代が多い職場」がわかる

求人を探すうえで、より実用的なのが施設ごとの平均年齢です。自分と近い年代の薬剤師が多く働いている職場を狙うほうが、受け入れられやすくなります。

施設
平均年齢
最も多い年齢層
大学
37.3歳
若手が中心。全区分で最も若い
病院
42.5歳
20代から40代が中心
薬局
46.8歳
30歳から39歳が最多層
医薬品関係企業
49.1歳
中堅以上が多い。新規の枠は限られる
診療所
58.4歳
60歳から69歳が最多層
介護保険施設
59.7歳
60歳から69歳が最多層。全区分で最も高い

出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(令和6年12月31日現在)

この表の使い方はシンプルです。40代以降で職場を探すなら、平均年齢の高い施設から見る。20代で専門性を積みたいなら、平均年齢の低い施設を狙う。診療所と介護保険施設は60代が最多層で、シニアが主役の職場です。「年齢的に無理では」と感じている方ほど、この2つを候補から外さないでください。

💬 くらげのひとこと

「もう遅いかな」と思っている方ほど、まず求人の相場を見てみてください。年齢を理由に自分で候補を狭めているだけ、ということがよくあります。情報を持たないまま諦めるのが、いちばんもったいないです。

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受け入れの実態は会社ごとに差があり、複数を見比べると判断材料が集まります。

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年齢の壁が低い理由と、制度の裏づけ

薬剤師が他の職種より年齢の影響を受けにくいのには、いくつか理由があります。感覚ではなく、根拠を挙げて整理します。

理由
裏づけ
免許に有効期限がない
更新制度がなく、何年働かなくても失効しない。ただし就業の有無を問わず2年ごとの届出義務がある
募集での年齢制限が原則禁止
労働施策総合推進法により、募集・採用では年齢にかかわりない均等な機会を与えることが原則義務
中高年が現に多く働いている
届出薬剤師の平均年齢は46.9歳。60歳以上が20.1パーセントを占める
65歳までの雇用が制度で守られる
高年齢者雇用安定法により雇用確保措置が義務。実施済みの企業は99.9パーセント
70歳までの就業機会も広がりつつある
70歳までの就業確保措置は努力義務。実施している企業は34.8パーセント

出典:厚生労働省「令和7年高年齢者雇用状況等報告」集計結果(令和7年12月19日公表)、薬剤師法第9条、労働施策総合推進法第9条

注意したいのは、2つ目と5つ目です。募集で年齢を理由に門前払いすることは原則として認められていません。ただし実際の採否は総合判断であり、「年齢制限がない」ことと「誰でも同じように採用される」ことは別です。また70歳までの措置を実施している企業は3社に1社にとどまります。65歳より先も働くつもりなら、応募先の定年年齢と70歳までの制度を確認してください。

💬 くらげのひとこと

求人票に年齢が書かれていなくても、実際には想定している層があります。だからこそ施設別の平均年齢が効きます。自分より平均年齢が高い職場を選ぶだけで、選考の通りやすさが変わります。

年代別の難易度と攻略法

年代ごとに、選考で見られる点と打つべき手が変わります。自分の行から読んでください。

年代
選考で見られること
攻略法
20代
伸びしろと定着の見込み。短期離職の繰り返しは懸念される
業態をまたぐ移動がしやすい時期。何を得るための転職かを先に決める
30代
経験の中身と、今後何を任せられるか
管理薬剤師や在宅の経験を取りにいく。40代以降の選択肢がここで決まる
40代
すぐ戦力になるか。未経験の業態は説明を求められる
管理薬剤師として募集している求人を狙う。実績を数字で書く
50代
何歳まで働く想定か。新しいやり方を受け入れられるか
正社員にこだわらない。平均年齢の高い施設を候補に入れる
60代
勤務日数と体力。電子処方箋などへの対応
再雇用の条件を書面でもらい、外の求人と並べて比べる

30代までにやっておくと、40代以降が変わる

年代別に見てはっきりするのは、40代以降の選択肢が30代までの積み上げで決まるということです。具体的には次の3つです。

管理薬剤師の経験、在宅への対応経験、そして認定資格。このうち1つでも持っていれば、40代以降の難易度は目に見えて下がります。いま30代なら、転職の前に今の職場でこれらを取りにいくほうが、結果的に早く条件が上がります。

50代以降は「雇用形態を動かす」という手がある

50代で正社員の枠が絞られてきたと感じたら、正社員かどうかより「働き続けられるか」で見てください。週3日のパートから入って実績を作り、あとで日数を増やす。この順番なら入口が広がります。診療所や介護保険施設のように60代が最多層の職場も、この段階で候補に入れる価値があります。

💬 くらげのひとこと

年代別で言えることを一言にすると「早く動くほど選択肢が多い」です。「もう少し経験を積んでから」「50代になってから考えよう」という先送りが、いちばん機会を減らします。

年代と職場の相性早見表

自分の年代と希望する職場の組み合わせで、求人の見つかりやすさを確認してください。法律上の年齢制限ではなく、募集が出やすいかどうかの傾向です。

職場
20代
30代
40代
50代
60代
大手チェーン薬局
◎
◎
○
△
△(パート)
中小・個人薬局
◎
◎
◎
○
△
管理薬剤師の募集
△
◎
◎
○
△
在宅に力を入れる薬局
○
◎
◎
○
△
ドラッグストア
◎
◎
○
△
△(パート)
病院(平均42.5歳)
◎
○
△
△
△
診療所(平均58.4歳)
△
○
○
◎
◎
介護保険施設(平均59.7歳)
△
○
○
◎
◎
企業(製薬・卸など)
○
○
△
△
△
派遣・スポット勤務
○
◎
◎
◎
○

◎=募集が見つかりやすい ○=募集はある △=数は限られる。募集や採用では年齢にかかわりない均等な機会を与えることが法律で定められており、この表は年齢制限を示すものではありません。実際の採否は経験と条件で決まります。

この表でいちばん重要なのは、診療所と介護保険施設の行です。多くの職場が年代とともに難しくなるなかで、この2つだけは年代が上がるほど相性が良くなります。50代以降で候補を探すなら、ここを外さないでください。

💬 くらげのひとこと

この表は「行けない場所」を示すものではありません。△の職場でも、管理薬剤師の経験があれば通ることはあります。あくまで、限られた時間をどこに使うかの優先順位を決めるための目安として使ってください。

年齢が上がるほど効いてくる3つの武器

40代・50代で選ばれる人には共通点があります。持っているかどうかで難易度が変わるのは、次の3つです。

武器
効く理由と、書類での示し方
管理薬剤師の経験
欠員が出た店舗はすぐ人が要る。店舗規模、担当年数、育てた人数を数字で書く
在宅への対応経験
担い手が足りない領域。訪問している人数、施設か個人宅か、期間を書く
認定・専門資格
個人に紐づくため転職しても失われない。手当の対象になる職場もある

これに加えて、書き方そのものも効きます。「調剤薬局で20年」ではなく「1日80枚規模の店舗で管理薬剤師を6年、在宅を12名担当」と書く。年数が長い人ほど、中身が伝わらない書類になりがちです。数字を1つ入れるだけで印象が変わります。

もう1つ、年齢が上がるほど見られるのが「新しいやり方を受け入れられるか」です。電子処方箋は2026年5月時点で9割以上の薬局に導入されています。操作は職場で覚えられますが、面接で「覚える前提で臨みます」と言えるかどうかは印象を分けます。

💬 くらげのひとこと

管理薬剤師の経験と在宅の経験、どちらか一方でもあれば40代・50代の難易度はかなり下がります。いまの職場で取りにいける機会があるなら、転職の前に済ませておく価値があります。

40代・50代がいまやること5つ

順番
やること
中身
1
実績を数字で書き出す
店舗規模、管理薬剤師の年数、在宅の担当人数、育てた人数。1日で終わる
2
譲れない条件を4軸で決める
年収、勤務地、雇用形態、職場環境。どれを妥協できるか先に決める
3
平均年齢の高い施設も候補に入れる
診療所58.4歳、介護保険施設59.7歳。同年代が多い職場から当たる
4
窓口を複数持つ
公開されていない求人もある。希望の雇用形態まで具体的に伝える
5
在職中に動く
辞めてから探すと焦りが判断を鈍らせる。内定後に退職を申し出る

2つ目は特に重要です。40代・50代の転職では、年収・勤務地・雇用形態のどこかで調整が必要になることが増えます。「転職できるか」と「希望どおりに転職できるか」は別問題です。先に優先順位を決めておくと、提示を受けたときに迷いません。

💬 くらげのひとこと

ステップ1を飛ばす人が多いです。20年やってきた方ほど、書き出すと「意外とやっていた」と気づきます。その1枚が、面接で話す材料になります。

よくある質問

薬剤師の転職に年齢制限はありますか?▼

労働施策総合推進法により、募集・採用では年齢にかかわりない均等な機会を与えることが原則として義務づけられています。求人票に年齢の条件を書くことも原則できません。ただし実際の採否は経験や条件を含めた総合判断であり、職場によって募集の出やすさに差があるのは事実です。

薬剤師は何歳まで働けますか?▼

免許に有効期限はないため、上限はありません。厚生労働省の令和6年統計では、70歳以上の届出薬剤師が19,986人います。制度面では65歳までの雇用確保措置が義務で99.9パーセントの企業が実施済みですが、70歳までの就業確保措置は努力義務で実施は34.8パーセントにとどまります。65歳より先を見据えるなら、応募先の定年年齢と制度を確認してください。

40代・50代でも受け入れられやすい職場はどこですか?▼

施設ごとの平均年齢が手がかりになります。令和6年統計では診療所が58.4歳、介護保険施設が59.7歳で、いずれも60歳から69歳が最も多い年齢層です。薬局は46.8歳、病院は42.5歳です。自分と近い年代が多い職場のほうが受け入れられやすいため、40代以降は平均年齢の高い施設から候補に入れるのが現実的です。

40代・50代で転職すると年収は下がりますか?▼

必ず下がるわけではありません。管理薬剤師の経験や在宅の経験があれば、水準を維持しての採用もあります。ただしパートや時短に切り替える場合は当然下がります。参考として、薬剤師全体の平均年収は566万7,900円(令和7年賃金構造基本統計調査)で、前年は599万3,200円でした。全国平均そのものが動くため、平均との差だけで判断しないでください。

転職回数が多いと不利になりますか?▼

回数そのものより、説明できるかどうかが見られます。1年から2年ごとに繰り返している場合は「今回も同じではないか」と受け取られやすくなります。それぞれの転職に一貫した方向性があり、次の職場で長く働く見通しを具体的に示せれば、回数だけで判断されることは多くありません。

50代で正社員の求人が見つかりません▼

雇用形態を動かすと入口が広がります。週3日のパートから入って実績を作り、あとで日数や雇用形態を見直す進め方は現実的です。あわせて、診療所や介護保険施設のように60歳から69歳が最多層の職場も候補に入れてください。正社員という枠にこだわるほど、選べる職場が減っていきます。

いまから資格を取る意味はありますか?▼

あります。認定や専門の資格は個人に紐づくため、転職しても失われません。手当の対象にしている職場もあります。ただし取得に時間がかかるものほど、在職中に進めておくほうが効率的です。転職を迷っている時期こそ、持ち運べるものを増やしておく価値があります。

ブランクがあっても年齢は関係しますか?▼

年齢とブランクは別の要素として見られます。免許は失効しないため、何年離れていても復職できます。年齢が上がるほど「新しいやり方を受け入れられるか」が問われる傾向があるため、離れている間に学んだことや、覚え直す姿勢を具体的に示せると評価につながります。

まとめ

年齢と転職の関係について、要点を整理します。

  • 60歳以上の届出薬剤師は65,950人で全体の20.1パーセント。年齢だけで働き口がなくなる職業ではない
  • 変わるのは可否ではなく、選べる職場の種類と雇用形態。施設別の平均年齢が最良の手がかりになる
  • 診療所58.4歳・介護保険施設59.7歳は60代が最多層。年代が上がるほど相性が良くなる数少ない職場
  • 40代以降で効くのは管理薬剤師の経験・在宅の経験・認定資格の3つ。30代のうちに取りにいく

「何歳まで転職できるか」を考えるより、「いま動けば何ができるか」を数えるほうが前に進みます。まずは実績を1枚に書き出してみてください。そのうえで、自分と近い年代が多い職場から求人を眺めれば、選択肢は思ったより残っているはずです。

自分の年代で狙える求人を比べたい方へ

受け入れの実態は会社ごとに差があり、複数を見比べると判断材料が集まります。

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※本記事の情報は2026年9月時点のものです。

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