薬剤師の求人は年度末に増える?月別の求人の波と狙い目を現役が解説

薬剤師の求人は年度末に増える?月別の求人の波と狙い目を現役が解説

この記事を書いた人

くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

「転職するなら、求人が多い時期を狙いたい」と考える薬剤師は多いと思います。よく言われるのが「年度末(1〜3月)は求人が増える」という話。これには、はっきりした構造的な理由があります。

ただし、求人が多い時期はライバルも多く、年度末以外にも狙い目の時期があります。年間の求人の波を知っておくと、戦略的に動けるようになります。この記事では、年度末に求人が増える理由、月別の波、公的データで確認できること、そしていつから動き出すべきかまでを整理します。求人そのものの探し方は、求人の探し方の記事もあわせてご覧ください。

✅ この記事でわかること
  • 年度末(1〜3月)に求人が増える3つの理由
  • 月別の求人の波と、意外な狙い目の時期
  • 公的データから見た「時期を狙う」ことの本当の意味
  • 2026年以降に加わった新しい変動要因
  • 入社希望日から逆算した、動き出しのスケジュール
目次

結論:求人が最も多いのは1〜3月。ただし時期より準備

先に全体像をまとめます。求人数の波はたしかにありますが、薬剤師は通年で人手が不足している職種です。「時期を待つ」より「波が来たときに動ける準備をしておく」ほうが、結果に効きます。

論点
結論
最も求人が多い時期
1〜3月。年度末退職の補充と新年度の体制づくりが重なる
意外な狙い目
4〜5月。国家試験の結果を受けた欠員補充が出ることがある
時期で条件は変わる?
求人賃金の月別推移はほぼ横ばい。数は動くが、提示条件が季節で激変するわけではない
動き出しの目安
希望入社日の2〜3カ月前、余裕を持つなら3〜6カ月前
くらげのひとこと

「求人が多い時期=薬剤師が多く辞める時期」でもあります。年度末はそれだけ職場が動く季節。選択肢が広がるチャンスなので、転職を考えているなら見逃せないタイミングです。

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年度末(1〜3月)に求人が増える理由

薬剤師の求人は年間を通じてありますが、1〜3月は求人が最も多くなる時期とされています。理由は次の3つです。

求人が集中する3つの理由
  • 年度末退職者の補充:3月末で退職する人が多く、その穴を埋めるための採用が活発になる
  • 新年度(4月)の体制づくり:4月入社は企業にとって都合がよく、新年度に向けた採用枠がこの時期に拡大する
  • 冬の賞与後の退職増:12月の賞与を受け取った後に辞める人が増え、その補充の求人が出る

これらが重なるため、通常はあまり見られない好条件の求人も1〜3月に集中する傾向があります。大手の調剤薬局やドラッグストアも、この時期に4月入社に向けた採用を本格化させます。

補足として、退職が年度末に偏る背景には制度的な事情もあります。厚生労働省の令和7年雇用動向調査によると、転職した人が前職を辞めた理由のうち「定年・契約期間の満了」は男性で16.1%、女性で9.8%を占めます。契約期間の区切りが年度末に置かれることが多いため、この層の動きが3月に集中しやすいのです。

くらげのひとこと

現場の感覚でも、3月は本当に人が動きます。ただし、慌ただしい時期なので引き継ぎが雑になりがち。年度末に入職するなら、前任者から引き継げる期間があるかを確認しておくと安心です。

月別の求人の波と狙い目の時期

年度末以外にも、求人が動くタイミングはあります。1年間の求人の波を知っておきましょう。

時期
求人の傾向
1〜3月
年間で最多。年度末退職の補充、新年度採用、冬の賞与後の退職が重なる
4〜6月
新卒入社で枠が埋まり、一時的に減少。ただし4〜5月は欠員補充が出ることも
7〜9月
夏の賞与後の退職で求人が増える。年度末に次ぐ動きのある時期
10〜11月
風邪や感染症の流行に備えた人員確保が動く
12月
繁忙期で現職も採用側も多忙。選考が進みにくく、実務上は動きにくい

4〜5月が狙い目になることがある理由

意外な狙い目が4〜5月です。この時期は薬剤師国家試験の結果発表の直後にあたります。厚生労働省の発表によると、2026年3月25日に公表された第111回薬剤師国家試験の合格率は全体で68.49%、新卒者でも86.25%でした。

つまり、内定を得ていた新卒者の一定数が、資格を取得できずに入職できないということです。採用側から見れば、4月に予定していた人員が埋まらない状態になります。とくに病院や薬局では、薬剤師の人数が施設基準や体制に関わるため、早急に人材を確保しようとすることがあります。求人数が少ない時期だからこそ、ライバルが少なく狙い目になる場合があるのです。

くらげのひとこと

「年度末を逃したからもう遅い」ということはありません。年間を通じて求人はありますし、時期ごとに特徴があります。むしろ4〜5月の欠員補充は、急いでいる分だけ話が早く進むこともあります。

公的データで確認できること

ここまでの季節性は、採用の慣行にもとづく一般的な傾向です。では、公的な統計からは何が見えるのでしょうか。

通年で求人が求職者を大きく上回っている

厚生労働省の職業情報提供サイトによると、薬剤師の有効求人倍率は3.12倍(令和7年度・全国)です。求職者1人あたり3件以上の求人がある計算で、時期にかかわらず売り手市場が続いていることを示しています。同サイトでは都道府県別の求人倍率も確認できるため、希望エリアの状況を先に見ておくと判断材料になります。

提示される賃金は季節でほとんど動かない

同サイトでは、薬剤師の求人賃金の月別推移も公開されています。令和7年度の1年間を通じて、求人賃金は次のように推移しました。

時期
求人賃金(月額)
令和7年度の平均
36.2万円(前年度差+0.6万円)
最も高かった月
令和8年1月の36.5万円
最も低かった月
令和7年6月・7月の35.8万円

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト「薬剤師」(ハローワーク求人統計データ・令和7年度)

1年を通じた振れ幅は0.7万円ほど。つまり、求人の「数」は季節で動いても、提示される「条件」が特定の月だけ跳ね上がるわけではないということです。「良い時期を待てば年収が上がる」という発想より、「選択肢が多い時期に、自分の条件に合うものを見つける」と考えるほうが実態に合っています。

データを読むときの注意

ここで示した求人倍率と求人賃金は、ハローワークに登録された求人にもとづく統計です。転職サイトやエージェントが扱う求人はこれに含まれないため、実際の市場全体とは一致しません。あくまで大きな傾向をつかむための目安として使ってください。

くらげのひとこと

「1〜3月まで待ったほうが得か」と聞かれることがありますが、私は待たなくていいと思っています。数字を見るかぎり条件は年間でほぼ横ばい。それより、今の職場が限界なら早く動いたほうが心身のためです。

2026年以降に加わった新しい変動要因

求人の波には、従来の季節性に加えて、制度側の要因も影響します。2026年に注目すべきなのが、6月1日に施行された令和8年度の調剤報酬改定です。

この改定では、かかりつけ薬剤師に関する薬局の体制要件として、常勤薬剤師の当該薬局における在籍期間が平均1年以上であること、または管理薬剤師が継続して3年以上在籍していることが新たに設けられました(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」)。薬剤師の定着そのものが報酬に反映される仕組みです。

また、在宅医療の評価も引き上げられました。在宅薬学総合体制加算1は15点から30点へ、個人宅を訪問する場合の加算2は50点から100点へ変更されています。在宅に踏み出す薬局が増えれば、それに対応できる人材の募集も動きます。

求職者にとっての意味
  • 薬局側に「人を定着させる」動機が生まれ、待遇や職場環境の改善が進む可能性がある
  • 在宅の経験がある薬剤師の需要が高まりやすい
  • 施設基準の届出は毎年春に判断されるため、体制づくりに向けた採用が動く時期がある
くらげのひとこと

「薬剤師が居つくかどうか」が点数に響く仕組みになったのは、働く側にとって追い風です。面接で「薬剤師の平均在籍年数はどのくらいですか」と聞いてみてください。答えられる薬局は、この要件を意識して運営している可能性が高いです。

年度末求人のメリットと注意点

年度末に求人が増えるのは大きなメリットですが、注意点もあります。両面を理解しておきましょう。

メリットは、選択肢が広がることです。求人数が多いため、自分の条件に合う職場を見つけやすく、妥協せずに納得のいく職場を選びやすくなります。普段は出ない好条件の求人に出会えるチャンスでもあります。

求人が多い=ライバルも多い

年度末は求人が多い分、応募するライバルも増えます。好条件の人気求人には応募が集まり、早く締め切られることも。ゆっくり吟味しているうちに募集が終わってしまうこともあるため、良い求人を見つけたら早めに動くことが大切です。また、現職の繁忙期と重なるため、面接の日程調整がしづらい点にも注意が必要です。

つまり、年度末は「選択肢が多いが競争も激しい」時期です。あらかじめ希望条件を整理しておき、気になる求人にはすぐ応募できるよう準備しておくと、チャンスを活かせます。求人が複数並んだときに、どこを比べて素早く判断するかは、求人比較のポイントも参考にしてください。

いつから動き出すべきか

求人が多い時期に転職したいなら、入社希望日から逆算して動き出すことが大切です。薬剤師の転職活動は、求人探しから内定まで約1カ月、退職手続きと引き継ぎに約1カ月、合計で約2カ月が目安になります。

時期
4月入社を目指す場合にやること
前年10〜11月
希望条件の整理、情報収集、相談窓口への登録。繁忙期に入る前に土台を作る
前年12月〜1月
応募書類の作成、求人への応募開始。年度末の波に乗る
1〜2月
面接、内定。同時に退職の意思を伝える準備をする
2〜3月
退職の申し出、引き継ぎ、有給休暇の消化

退職までの期間について、法律上は期間の定めのない雇用であれば、申し出から2週間の経過で契約が終了します(民法第627条)。ただし就業規則で1〜2カ月前の申し出を求めている職場が多く、引き継ぎのことを考えても余裕を持って伝えるのが現実的です。一般的には、希望入社日の2〜3カ月前、余裕を持つなら3〜6カ月前から情報収集や相談を始めるとよいでしょう。

なお、風邪や感染症が流行する冬の繁忙期は、現職も転職先も忙しく、落ち着いた対応が難しくなりがちです。年度末の求人を狙うなら、繁忙期に入る前から準備を進めておくとスムーズです。

くらげのひとこと

求人が増える時期に「さあ探そう」では出遅れます。良い求人はすぐ埋まるので、その少し前から準備しておき、波が来たらすぐ動けるようにしておくのが、チャンスをつかむコツです。

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薬剤師の転職の流れ

よくある質問

薬剤師の求人が一番増えるのはいつですか?▼

1〜3月が最も求人が多くなる時期とされています。年度末退職者の補充、新年度(4月入社)に向けた採用、冬の賞与後の退職増が重なるためです。普段は出ない好条件の求人もこの時期に集中する傾向があります。

求人が少ない時期はいつですか?▼

4〜6月、とくに5〜6月は新卒入社で枠が埋まり、一時的に求人が減ります。ただし4〜5月は国家試験の結果発表後で欠員補充の求人が出ることもあり、ライバルが少ない狙い目になる場合もあります。薬剤師の有効求人倍率は3.12倍(令和7年度)と通年で高く、少ない時期でも転職は十分に可能です。

求人が多い時期を待ったほうが年収は上がりますか?▼

必ずしもそうとは言えません。厚生労働省の職業情報提供サイトによると、令和7年度の薬剤師の求人賃金は月額35.8万円から36.5万円の範囲で推移しており、年間の振れ幅は0.7万円ほどです。時期によって求人の「数」は動きますが、提示される「条件」が特定の月だけ大きく上がるわけではありません。

4月入社を目指すならいつから動くべきですか?▼

年明けの1月、できれば前年の11〜12月頃から動き出すのが現実的です。転職活動は求人探しから入社まで約2カ月が目安なので、希望入社日の2〜3カ月前、余裕を持つなら3〜6カ月前から情報収集や相談を始めるとよいでしょう。冬の繁忙期に入る前に土台を作っておくとスムーズです。

退職はいつまでに伝えればいいですか?▼

期間の定めのない雇用であれば、法律上は申し出から2週間の経過で契約が終了します(民法第627条)。ただし就業規則で1〜2カ月前の申し出を求めている職場が多く、引き継ぎや有給休暇の消化を考えると余裕を持って伝えるのが現実的です。まずは勤務先の就業規則を確認してください。

年度末の求人は競争が激しいですか?▼

求人が多い分、応募するライバルも増えます。とくに好条件の人気求人は応募が集まり、早く締め切られることもあります。加えて、現職の繁忙期と重なるため面接の日程調整もしづらくなります。年度末を狙うなら、あらかじめ希望条件を整理し、良い求人を見つけたらすぐ応募できるよう準備しておくことが大切です。

賞与をもらってから辞めるほうが得ですか?▼

金額面ではそのとおりですが、支給の条件は就業規則によります。「支給日に在籍していること」を要件としている職場が多く、支給日の直前に退職すると受け取れないことがあります。転職時期を決める前に、支給日と支給要件を必ず確認してください。冬と夏の賞与後に求人が増えるのも、同じ理由で退職者が集中するためです。

調剤報酬改定は求人に影響しますか?▼

影響します。2026年6月に施行された令和8年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師に関する薬局の体制要件として、常勤薬剤師の平均在籍期間や管理薬剤師の在籍年数が新たに設けられました。薬剤師の定着が報酬に関わる仕組みになったため、薬局側にも人材の確保と定着に取り組む動機が生まれています。在宅医療の評価も引き上げられ、在宅対応ができる人材の需要は高まりやすい状況です。

まとめ

✅ この記事のポイント
  • 1〜3月が最も求人が多い(年度末退職の補充+新年度採用+冬の賞与後の退職)
  • 7〜9月は夏の賞与後、10〜11月は繁忙期に向けて求人が動く
  • 4〜6月は減るが、国家試験の結果を受けた欠員補充で4〜5月が狙い目になることも
  • 求人賃金の月別推移は35.8万〜36.5万円でほぼ横ばい。時期で条件が激変するわけではない
  • 2026年6月施行の調剤報酬改定で、薬剤師の定着が薬局の評価に関わるようになった
  • 4月入社なら11〜1月頃、希望入社日の2〜3カ月前から準備を始める

年度末(1〜3月)は薬剤師の求人が最も増える、転職の好機です。ただし競争も激しいため、事前に希望条件を整理し、波が来たらすぐ動けるよう準備しておくことが成功の鍵になります。有効求人倍率3.12倍という数字が示すとおり、薬剤師は通年で求められている職種です。時期を待ちすぎず、自分の都合に合わせて動いていきましょう。

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。求人の季節的な傾向は採用の慣行にもとづく一般的な目安であり、実際の求人数や条件は年・地域・職場により異なります。引用した求人倍率・求人賃金はハローワークの求人にもとづく統計で、転職サイトやエージェントが扱う求人は含まれません。退職の手続きや賞与の支給要件は勤務先の就業規則をご確認ください。

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