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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「認定薬剤師」と「専門薬剤師」。名前は似ていますが、実は難易度も役割も大きく違う資格です。どちらを目指すか迷っている人も多いのではないでしょうか。
そしてもうひとつ、2026年に大きな変化がありました。令和8年度の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師指導料が廃止されたのです。資格そのものへの加点はなくなり、評価の軸は「持っていること」から「持って何をするか」へ移りました。同時に、かかりつけ薬剤師になるための個人要件は緩和されています。
この記事では、認定薬剤師と専門薬剤師の違いから、それぞれの取得方法、制度変更を踏まえて資格が転職やキャリアにどう活きるかまで、現役薬剤師がわかりやすくまとめました。
この記事でわかること
- 認定薬剤師と専門薬剤師の違い
- 研修認定薬剤師の具体的な単位要件と更新の条件
- 専門薬剤師の取得方法と、順序を間違えないためのポイント
- 2026年の制度変更で、資格の意味がどう変わったか
- 資格が転職やキャリアにどう活きるか
認定薬剤師と専門薬剤師の違い
ひとことで言うと、認定薬剤師は「一定水準の知識・技能を持つ証明」、専門薬剤師は「特定分野の高度な専門性の証明」です。専門薬剤師は認定薬剤師の上位に位置づけられ、取得の難易度も大きく異なります。違いを表にまとめました。
キャリアパスとしては、まず研修認定薬剤師として基礎を積み、特定分野の認定薬剤師を取得し、さらに経験を重ねて専門薬剤師を目指す、という段階的な流れが一般的です。
表のなかでとくに意識したいのが「職場への依存度」です。認定薬剤師は今の職場のままでも取れますが、専門薬剤師はその分野の症例が集まる職場にいなければ、そもそも要件を満たせません。ここが、資格と転職を考えるうえでの分岐点になります。
ざっくり言えば、認定薬剤師は「研鑽を続けている証」、専門薬剤師は「その分野のプロフェッショナル」です。いきなり専門薬剤師を目指すのは難しいので、まずは認定薬剤師から始めるのが王道です。自分の興味のある分野が見つかれば、その先の専門薬剤師という道も見えてきます。
資格を取れる環境かどうかで職場を選ぶ
研修費の補助があるか、症例が集まるか、学会参加に勤務調整してくれるか。求人票には書かれないこの三つが、資格取得の成否を分けます。代わりに確認してもらえる相手を持っておくと確実です。
薬剤師転職エージェントの比較を見る認定薬剤師の取得方法
認定薬剤師の代表的なものが、日本薬剤師研修センターの研修認定薬剤師です。研修を受けて単位を取得し、一定の単位がたまったら申請して認定を受けます。具体的な要件は次のとおりです。
※出典:日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師制度」の申請手続きに関する案内。集合研修の1日あたりの上限単位数はプロバイダーによって異なります。要件は変更されることがあるため、詳細は同センターの最新情報をご確認ください。
研修は集合形式のものや、インターネットで受けられるものもあり、働きながらでも取り組みやすいのが特徴です。押さえておきたいのは、更新に「各年5単位以上」という条件がついている点です。3年間で30単位という総量だけを見て、最後の年にまとめて取ろうとすると要件を満たせません。毎年こつこつ積むことが前提の制度だということです。
なお、在宅やがん、感染制御など、特定の分野に特化した認定薬剤師の制度もあります。運営する団体はそれぞれ異なるため、詳しい要件は各認定機関の最新情報を確認してください。
研修認定薬剤師は、かかりつけ薬剤師の要件にもなっており、調剤薬局で働くなら持っておくと役立つ場面が多い資格です。インターネット研修を活用すれば、忙しい人でも少しずつ単位を積み重ねられます。まずはここから始めると、キャリアの幅が広がります。
専門薬剤師の取得方法
専門薬剤師は、認定薬剤師よりもずっとハードルが高い資格です。一般的には、基礎となる研修認定薬剤師を取得し、特定分野の認定薬剤師を経て、実務経験・症例の報告・学会発表や論文・専門の研修などを重ね、最後に試験を受けて認定されます。
専門分野には、がん、感染制御、精神科、緩和ケア、腎臓病、救急など、さまざまな領域があります。それぞれ認定する学会や機関が異なり、要件も複雑です。取得には数年単位の積み重ねが必要になることが多いため、早めに目標を定め、計画的に経験を積むことが大切です。
順序を間違えないでください
専門薬剤師の要件には、実務経験年数と症例の蓄積が含まれます。つまり、その分野の患者さんが集まる職場にいなければ、そもそも申請の土俵に上がれません。資格を取ってからその職場へ移るのではなく、要件を満たせる職場に移ってから取る。これが唯一の現実的な順序です。「まず資格を取って、それを武器に転職しよう」という発想は、専門薬剤師については成り立ちません。
専門薬剤師は、症例の経験や学会活動が要件になることが多いため、その分野に取り組める職場にいることが大きな鍵になります。たとえば、がん専門を目指すなら、がん治療に力を入れている病院での経験が近道です。資格を見据えて職場を選ぶ、という視点も持っておくとよいでしょう。
2026年、資格の意味はこう変わりました
ここは最新の情報として押さえてください。令和8年度の調剤報酬改定で、かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止され、服薬管理指導料に統合されました。資格を持つ薬剤師にとって、意味の大きい変更が二つあります。
※出典:厚生労働省 調剤報酬点数表 服薬管理指導料および同施設基準(令和8年6月1日施行)。要件は簡略化して記載しているため、詳細は告示・通知をご確認ください。経過措置が設けられている項目もあります。
① 研修認定は、依然として入口の鍵です。点数の枠組みは変わりましたが、研修認定を取得していることという要件は残りました。しかも経験年数などの要件は緩和されています。認定さえ持っていれば、以前より早くかかりつけ薬剤師として届け出られるようになったということです。取得の価値はむしろ上がりました。
② ただし、持っているだけでは点数がつかなくなりました。かかりつけ薬剤師が指導した場合も、そうでない場合も、服薬管理指導料の点数は同額です。評価の軸が「肩書き」から「実際に何をしたか」へ移ったということ。資格は入場券であって、勝負はそこから始まります。
転職の場面での意味はこうです。「認定を持っています」だけでは、以前ほどの説得力はありません。面接では、その認定を使って何をしてきたか、何をしたいかまで語れるようにしておいてください。逆に言えば、認定を持ったうえで実績を語れる人の価値は、相対的に上がっています。
資格は転職やキャリアにどう活きるか
これらの資格は、転職やキャリアアップで大きな武器になります。とくに、薬剤師に対人業務が求められる今の時代、専門性の証明は評価されやすくなっています。
とくに注目したいのが4行目です。2021年8月に始まった認定薬局の制度では、専門医療機関連携薬局の認定要件に、がんに係る専門性を有する常勤薬剤師の配置が含まれています。その薬剤師に変更があれば30日以内の届出が必要とされており、資格保有者が抜けると薬局は認定を失います。
つまりこの制度は、専門資格を持つ薬剤師の希少価値を法令のレベルで担保しているということです。資格手当という次元を超えて、組織にとって代えのきかない存在になれる道が、制度として用意されています。がん領域の資格については、がん専門薬剤師の取得ルートを整理した記事もあわせてご覧ください。
資格は、転職市場での「見える強み」になります。ただ2026年の改定以降は、持っているだけでなく、それをどう使ったかを語れることが大事になりました。資格を活かせる職場を探したいときは、薬剤師専門のエージェントに相談すると、資格が評価される求人を紹介してもらえます。学んだことを、ぜひ次のキャリアにつなげてください。
資格を目指す前に確認したい職場の条件
資格取得の成否は、本人の努力だけでは決まりません。どの職場にいるかが、想像以上に効いてきます。面接では次の点を確認してください。
とくに二つ目は見落とされがちです。「資格支援あり」と書いてあっても、費用だけで時間の支援がなければ、休みを削って通うことになります。更新にも継続的な単位取得が必要な以上、この差は数年単位で効いてきます。病院での専門性の積み方については、病院薬剤師への転職を扱った記事も参考になります。
よくある質問
まとめ
認定薬剤師と専門薬剤師は、難易度も役割も異なる資格です。要点を整理します。
- 認定薬剤師は一定水準の知識・技能の証明で、比較的取り組みやすい
- 研修認定薬剤師は新規が4年以内に40単位、更新は3年で30単位かつ各年5単位
- 専門薬剤師は特定分野の高度な専門性の証明で、認定薬剤師の上位資格
- 認定は今の職場でも取れるが、専門は症例が集まる職場でなければ要件を満たせない
- 令和8年度改定でかかりつけ薬剤師指導料は廃止。研修認定は要件として残り、経験年数などは緩和された
- 評価の軸は「持っていること」から「持って何をするか」へ移った
- 面接では資格保有者の人数・研修費と時間の支援・症例の量・認定薬局への取り組みを確認する
資格取得は、薬剤師としての市場価値を高め、キャリアの選択肢を広げてくれます。まずは取り組みやすい認定薬剤師から始め、自分の目指す方向が見えてきたら、その分野に取り組める職場へ移ることを検討してみてください。学んだことは、必ず次のステップにつながります。
本記事で参照した主な出典
- 日本薬剤師研修センター「研修認定薬剤師制度」の申請手続きに関する案内
- 厚生労働省 調剤報酬点数表 服薬管理指導料および同施設基準(令和8年6月1日施行)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第6条の3および同法施行規則(専門医療機関連携薬局の認定基準)
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。各資格の要件・取得方法・更新条件は制度改正により変わります。診療報酬の算定要件および施設基準は要旨を簡略化して記載しており、経過措置が設けられている項目もあります。詳細は各認定機関の最新情報および厚生労働省の告示・通知をご確認ください。個別の求人条件は勤務先や転職の窓口でご確認ください。

