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くらげ|現役薬剤師。調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信。薬剤師目線で、働きやすい職場選びのポイントを徹底調査しています。
「持病や障がいがあるけれど、薬剤師として無理なく働き続けたい」「転職先に体調のことを伝えて、配慮してもらえるのだろうか」。そんな不安を抱えながら、次の職場を探している方は少なくありません。実際、障がいのある方が働きやすい環境を整えることは、いまや法律で事業主に求められている大切なことです。
この記事では、薬剤師が障がいや持病と向き合いながら転職するときに知っておきたい、合理的配慮という考え方、開示するかどうかの選び方、職場で受けられる配慮の例、そして相談できる窓口を、現役薬剤師の目線でやさしく整理します。自分らしく働ける職場を見つけるための、はじめの一歩にしてください。
- 配慮を求めるのは「わがまま」ではなく権利だという法律の考え方
- 障がいを開示するか伏せるか、3つの働き方の選び方
- 一般雇用枠と障害者雇用枠の違い
- 薬剤師の職場で実際に受けられる配慮の具体例
- 安心して相談できる窓口と、職場選びのポイント
配慮を求めるのは「権利」です
まず知っておいてほしいのは、障がいや持病のある方が職場に配慮を求めることは、決してわがままではなく、法律に裏づけられた正当な権利だということです。障がいのことを伝えて働くのをためらってしまう方は多いのですが、その前提を知っておくだけで、転職活動の心持ちはずいぶん変わります。
「合理的配慮」という考え方
職場での配慮は、法律では「合理的配慮」と呼ばれます。障害者雇用促進法では、事業主は過重な負担にならない範囲で、障がいのある人に合理的配慮を提供することが義務づけられています。つまり企業には、働くうえでの支障を取り除くために、できる範囲で環境を整える責任があるのです。
大切なのは、どんな配慮をするかは、本人と事業主がよく話し合って決めるという点です。同じ障がい名でも、必要な配慮は一人ひとり大きく異なります。だからこそ、本人から「こういう場面で困る」「こうしてもらえると働きやすい」と伝えることが出発点になります。配慮は、待っていて自動的に用意されるものではなく、対話を通じて形になっていくものだと考えておくとよいでしょう。
差別の禁止と、不当な解雇からの守り
同じ法律では、募集や採用、賃金や配置などの場面で、障がいを理由に不当に差別することも禁止されています。障がいがあるという理由だけで採用を断ったり、待遇に差をつけたりすることは認められていません。
また、必要な配慮をしないまま「働けないから」と解雇することは、明確な差別にあたり、無効とされます。もちろん、体調と業務がどうしても合わない場合に配置転換などを尽くしたうえで判断されることはありますが、少なくとも「障がいがあるから即解雇」という扱いは法律が許していません。こうした守りがあることも、知っておくと安心材料になります。
「迷惑をかけたくない」という優しさから、体調のことを言い出せない方をたくさん見てきました。でも、配慮を求めるのは権利です。無理を重ねて体を壊してしまうより、必要なことを伝えて長く働けるほうが、あなたにとっても職場にとっても良い結果になると私は思っています。
障がいを「伝える/伝えない」3つの働き方
転職活動でまず考えたいのが、障がいのことを職場に伝えるかどうかです。伝えて働くことを「オープン就労」、伝えずに働くことを「クローズ就労」と呼びます。どちらが良い悪いではなく、自分の状態や希望に合うほうを選ぶという視点が大切です。
オープン就労(障がいを開示する)
障がいを職場に開示して働く方法です。周囲の理解を得やすく、通院日の確保や勤務時間の調整といった配慮を受けやすいのが大きな利点です。伝えたくないことまで、すべて話す必要はありません。困りごとや必要な配慮に絞って伝えれば大丈夫です。調査でも、障がいを伝えて入社したほうが職場に定着しやすい傾向が示されています。一方で、開示を前提とした求人は数が限られることもあります。
クローズ就労(障がいを伏せる)
障がいを開示せずに、一般の求人で働く方法です。応募できる求人の幅が広く、選択肢が多いのが利点です。ただし、職場は事情を知らないため、通院や体調への配慮は受けにくくなります。体調が安定していて、業務に支障が出にくい方に向いた選び方といえます。障がいを伝える義務があるわけではないので、問題なく働けるなら、この選び方自体に何ら不都合はありません。
セミオープンという中間の選び方
障がい名まではっきり伝えなくても、「長時間の連続勤務が苦手」「決まった時間に休憩がほしい」など、働き方の傾向や苦手なことだけを伝える方法もあります。せめて直属の上司だけでも事情を知っていれば、業務の振り分けや声かけが変わりやすくなります。全部を開示するのは抵抗があるという方の、現実的な選択肢のひとつです。
最初から一つに決めなくてもいいと思います。相談しながら情報を集めるうちに、気持ちが変わることはよくあります。大事なのは「開示するかどうか」より「どうすれば自分らしく長く働けるか」。そこを軸に選んでいけば、きっと納得のいく答えにたどり着けます。
一般雇用枠と障害者雇用枠の違い
障がいを開示して働く場合、応募先には「一般雇用枠」と「障害者雇用枠」の2つがあります。障害者雇用枠を利用するには、原則として障害者手帳が必要です。手帳がない、または取得の予定がない方は、一般雇用枠での活動が中心になります。それぞれの特徴を整理しました。
| 項目 | 一般雇用枠 | 障害者雇用枠 |
|---|---|---|
| 手帳の要否 | 不要 | 原則として必要 |
| 求人の数 | 多く、選択肢が広い | 限られる場合がある |
| 配慮の受けやすさ | 職場や上司の理解しだい | 前提として理解を得やすい |
| 給与の傾向 | 職種・経験に応じる | やや低めの傾向もある |
| 向いている人 | 体調が安定し支障が出にくい方 | 勤務時間や業務量の配慮が必要な方 |
薬剤師という資格職の場合、専門性を活かした働き方を望む方が多いため、まずは一般雇用枠で理解のある職場を探しつつ、配慮の必要性が高ければ障害者雇用枠も視野に入れる、という順で検討する方もいます。どちらが正解ということはなく、いまの自分の体調と希望に合うほうを選ぶのが基本です。
枠の名前にとらわれすぎないことも大切です。同じ「一般雇用枠」でも、理解のある職場もあれば、そうでない職場もあります。制度の違い以上に、現場の雰囲気や上司の考え方が働きやすさを左右します。そこは面接や見学でしっかり見極めていきましょう。
薬剤師の職場で受けられる配慮の例
実際に薬剤師の職場では、どんな配慮が考えられるのでしょうか。あくまで一例ですが、勤務時間や業務内容の調整を中心に、さまざまな工夫が可能です。何が必要かは人によって違うので、自分の困りごとに引きつけて読んでみてください。
配慮として考えられること
- 通院日にあわせた勤務日・シフトの調整、時短勤務の相談
- 立ち仕事が続かないよう、座って作業できる時間の確保
- 繁忙時間帯の業務量を無理のない範囲に調整してもらう
- 服薬や休憩のタイミングに配慮してもらう
- 口頭だけでなく、メモや書面で指示を残すなど伝え方の工夫
- 困ったときに相談できる担当者や窓口を決めておく
薬剤師の仕事は、正確さが求められる調剤や、患者さんとの対人業務、シフト勤務など、負荷のかかりやすい要素があります。だからこそ、どの場面が自分にとって負担になりやすいかを整理しておくと、面接や入社後の話し合いで具体的に相談しやすくなります。「何に困っていて、どうしてほしいか」をあらかじめ言葉にしておくのがコツです。
配慮は「特別扱い」ではなく、力を発揮するための土台づくりです。少し勤務の形を整えるだけで、しっかり戦力になれる方をたくさん見てきました。遠慮せず、必要なことを整理して伝える。それが結果として、職場にとっても良い形になっていきます。
配慮を得やすい職場を見つけるには
一人で求人を探して、体調のことをどう伝えるか悩むのは大変です。障がいや持病のことを踏まえた転職は、専門の窓口や支援機関を上手に頼るのが近道です。主な相談先を挙げておきます。
相談できる主な窓口
- ハローワークの障がいのある方向けの専門窓口
- 地域障害者職業センター(働き方や適性の相談)
- 障がいのある方に特化した転職エージェント
- 薬剤師に強い転職エージェント(配慮事項を職場に伝える橋渡し役)
とくに薬剤師の資格を活かして働きたい場合は、薬剤師専門のエージェントに、あらかじめ体調面の希望を伝えておく方法があります。担当者が職場の雰囲気や勤務条件を事前に把握してくれるので、面接で毎回ゼロから説明する負担が減り、理解のある職場に絞って紹介してもらいやすくなります。複数の窓口を併用して、求人の偏りを避けるのもおすすめです。
職場選びで見ておきたいのは、制度の有無だけでなく、実際に配慮が運用されているかどうかです。面接や見学の場で、勤務時間の柔軟さや相談体制について具体的に質問してみると、その職場の姿勢が見えてきます。焦らず、自分に合う環境をじっくり見極めていきましょう。
間に立ってくれる人がいると、心強さが全然違います。自分では言いにくい配慮のお願いも、担当者を通じて伝えてもらえると、話がスムーズに進むことが多いです。一人で抱え込まず、頼れる窓口をどんどん使ってくださいね。
よくある質問
まとめ
障がいや持病があっても、薬剤師として自分らしく働き続ける道はあります。最後に、この記事の要点を振り返ります。
- 職場に配慮を求めるのは、法律に裏づけられた正当な権利です
- 合理的配慮は、本人と職場の対話で形が決まります。困りごとを伝えることが出発点です
- 開示するかどうかは「オープン・クローズ・セミオープン」から、自分の状態に合わせて選べます
- 一般雇用枠と障害者雇用枠には特徴の違いがあります。制度以上に現場の理解が大切です
- 一人で抱えず、ハローワークや専門エージェントなどの窓口を頼りましょう
無理を重ねて体調を崩してしまう前に、必要な配慮を整理して、それを受け止めてくれる職場を探す。その一歩を踏み出すことが、長く働き続けるための一番の近道です。焦らず、自分のペースで、あなたに合った職場を見つけていってください。
※本記事の情報は2026年7月時点のものです。制度の詳細や最新の状況は、厚生労働省・お住まいの自治体・ハローワークなどの公的機関の情報もあわせてご確認ください。健康状態に関する判断は、主治医など専門家にご相談ください。

