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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
福岡市・北九州市という2つの政令指定都市を抱え、九州の中心として人が集まる福岡県。薬剤師の求人も多い一方で、「福岡は年収が上がりにくい」と感じている人もいるかもしれません。
結論から言うと、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から算出した福岡県の薬剤師の平均年収は約565.4万円で、全国平均(約566.8万円)とほぼ同じ水準でした(47都道府県中31位)。ただし内訳には大きな特徴があり、時間あたりの給与は全国より約11%高い一方、賞与は全国で3番目に少なくなっています。
この記事では、福岡県の薬剤師の年収を月給・賞与・労働時間・男女別まで分解し、九州・沖縄の他県との比較、国の薬剤師偏在指標から見る需給、福岡で年収を上げる考え方を、公的な統計をもとに整理しました。
- 令和7年の統計で見る福岡県の薬剤師の平均年収と、その内訳
- 時給は高く賞与は少ない、福岡の給与の特徴と求人の比べ方
- 九州・沖縄8県の年収比較と、国の薬剤師偏在指標
- 福岡で年収を上げるための考え方と、統計を読むときの注意点
福岡県の薬剤師の平均年収
令和7年賃金構造基本統計調査(都道府県別第3表)の薬剤師の値から、「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で年収を算出しました(10人以上の事業所)。
月給は全国より約2.3万円高い一方、年間賞与は約29.5万円少なく、47都道府県で3番目に少ない水準です。月給の高さと賞与の少なさが打ち消し合って、年収は全国並みになっているのが福岡の特徴です。福岡県の転職事情全体は福岡の薬剤師転職ガイドで解説しています。
時間あたりの給与は全国より約11%高い
所定内給与を所定内労働時間で割った時間あたりの給与は、福岡県が約2,600円、全国が約2,350円で、福岡のほうが約11%高くなっています。月の所定内労働時間が153時間と全国より4時間短く、残業も月7時間と少ないため、働く時間に対する給与の水準は、全国の中でも高い部類に入ります。年収の数字だけでは見えない、福岡の働き方の良さがここに表れています。求人を比べるときも、年収だけでなく時間あたりの待遇で見る視点を持っておきましょう。
福岡は、年収の数字だけを見ると全国並みで目立ちませんが、時間あたりで見ると全国より1割ほど高い水準です。残業が少なく、そのうえで時給が高いというのは、働き方を重視する人にとって大きな魅力だと思います。
男女別と年齢構成の特徴
福岡県では、女性の年収が男性とほぼ同じ水準で、全国で約66万円ある男女差がほとんど見られません。女性は全国の女性(約539.4万円)を約27万円上回っています。フルタイムの薬剤師のうち女性は約44%で、全国(約59%)より低い割合です。平均年齢は47.2歳と全国で6番目に高く、勤続年数も12年と長い、ベテラン層の厚い県といえます。経験を積んだ薬剤師が長く働いている職場が多いことがうかがえます。
女性の年収が男性と同じ水準というのは、全国的に見てもめずらしい特徴です。女性薬剤師にとって、福岡は性別による待遇の差を感じにくい地域の一つかもしれません。男女差の背景については、別の記事で詳しく解説しています。
九州・沖縄8県の年収比較
九州・沖縄では、大分県・佐賀県が600万円を超える一方、福岡県は8県の中で中位です。九州の中心で薬剤師が集まりやすい福岡より、周辺の県のほうが年収が高い傾向があります。一方で鹿児島県は約505.7万円と福岡を下回っており、九州の中でも県ごとの差は大きくなっています。九州全体の転職事情は九州の薬剤師転職ガイド、47都道府県の比較は都道府県別の転職ガイドにまとめています。
福岡に住みながら佐賀県など隣県の職場に通う、という選択をする薬剤師もいます。九州は県境をまたいだ通勤がしやすい地域もあるので、県内だけでなく通える範囲の隣県まで比べてみると、選択肢が広がります。
薬剤師偏在指標から見る福岡の需給
厚生労働省の「薬剤師偏在指標」は、薬剤師が必要とされる業務量に対して、実際に働く薬剤師の労働時間がどれだけあるかを示す指標で、1.0を上回るほど薬剤師が多い地域になります。福岡県の薬局薬剤師の指標は1.17で、全都道府県ベースの1.08を上回る「薬剤師多数都道府県」です。
薬剤師に余裕がある地域では、給与を上乗せして人を集める必要性が比較的低くなります。九州の中で福岡の年収が中位にとどまるのは、この需給の構造が一因と考えられます。一方で、時間あたりの給与が高いことから、残業に頼らない働き方で人材を確保している職場が多いとも読み取れます。
薬剤師が多い地域は、職場の選択肢が多い地域でもあります。福岡では、勤務時間や休みの取りやすさなど、年収以外の条件で職場を選びやすいのが利点です。何を優先するかを決めてから比べると、自分に合う職場が見つけやすくなります。
福岡で年収を上げる考え方
福岡は、福岡市・北九州市の都市部と、筑後・筑豊などの地域で、薬剤師の集まり方が違います。県の平均だけで判断せず、通える範囲の求人を広く比べてみることが大切です。なお、県の平均は年によって動くうえ、職場の種類を区別しない値です。傾向をつかむ目安として使い、実際の求人の条件で判断しましょう。職場別の年収は職場別の薬剤師の年収で比較できます。
福岡で年収を上げたいなら、まず求人の「賞与○か月分」と前年実績を確認するのがおすすめです。月給が同じでも、賞与の差で年収は数十万円変わります。月給の高さに目を奪われず、年収全体で比べることが大切です。
よくある質問
まとめ
福岡県の薬剤師の年収について、要点を整理します。
- 福岡県の平均年収は約565.4万円で全国平均並み(令和7年・全国31位)
- 時間あたりの給与は全国より約11%高く、賞与は全国で3番目に少ない
- 女性の年収が男性とほぼ同じで、ベテラン層が厚い。薬局薬剤師の偏在指標は1.17
- 賞与の実績・管理薬剤師・隣県との比較が年収アップの鍵
福岡は、年収の平均こそ全国並みですが、時間あたりの待遇が良く、男女差の小さい働きやすい県です。賞与まで含めた年収で求人を比べながら、自分に合う職場を探していきましょう。

