薬剤師の転職後の有給はいつから|付与日数・前倒し付与・前職分の扱いを解説

薬剤師の転職後の有給はいつから?付与日数と前職分の扱いを現役が解説

この記事を書いた人

くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

転職して新しい職場へ。「有給休暇っていつから使えるの?」「前の職場で残っていた有給はどうなる?」と気になっている人は多いはずです。

結論から言うと、法律上の有給は、入社から6か月続けて勤務し、8割以上出勤した時点で10日付与されます。前職の有給は引き継がれないため、入社直後の半年間は有給がない前提で予定を立てる必要があります。ただし、入社日から一部を前倒しで付与する職場もあり、ここは求人選びで差がつくポイントです。

この記事では、有給が付与される条件と日数、パート薬剤師の比例付与、前倒し付与の仕組み、前職分の扱い、入社直後に休みが必要なときの対処、入社後に知っておきたい年5日の取得義務まで、厚生労働省の資料をもとに整理しました。

📌 この記事でわかること
  • 転職後に有給が付与される条件とタイミング
  • 正社員・パート別の付与日数と、前倒し付与の仕組み
  • 前職の有給の扱いと、入社直後に休みが必要なときの対処
  • 年5日の取得義務など、入社後に知っておきたいルール
目次

転職後の有給は原則「入社6か月後」から

有給休暇(年次有給休暇)は、労働基準法39条で定められた労働者の権利です。正社員かパートかにかかわらず、次の2つの条件を満たすと付与されます。

有給が付与される2つの条件

  • 入社日から6か月間、継続して勤務していること
  • その6か月間の全労働日のうち、8割以上出勤していること

たとえば4月1日に入社した正社員なら、10月1日に10日の有給が付与されます。試用期間も継続勤務の期間に含まれるため、「試用期間が終わってから6か月」ではありません。

8割出勤の計算で「出勤扱い」になる日

業務上のけがや病気で休んだ期間、産前産後休業、育児休業・介護休業の期間は、8割出勤を計算するうえで出勤したものとみなされます(労働基準法39条10項)。有給を取得した日も出勤扱いです。反対に、私用による欠勤は出勤日に数えられません。入社後半年のうちに欠勤が続くと、最初の有給が付与されないこともあるので注意しましょう。

💬 くらげのひとこと

転職直後の半年は、体調を崩しても有給が使えず欠勤扱いになる可能性がある時期です。私は転職するたびに、この半年間は通院や家の用事を休日にまとめるよう意識していました。入社前にルールを知っておくだけで、慌てずに済みます。

💡 有給の付与ルールは求人ごとに違います

入社時から有給がある職場を探すなら、休暇制度の確認まで代行してくれるエージェントの活用が近道です。

エージェント比較ランキングを見る

勤続年数別の付与日数

有給は、勤続年数が長くなるほど付与日数が増えます。付与日数は、働き方によって2つの表に分かれます。

正社員など(週5日以上、または週30時間以上)

勤続年数
6か月
1年6か月
2年6か月
3年6か月
4年6か月
5年6か月
6年6か月以上
付与日数
10日
11日
12日
14日
16日
18日
20日

パート薬剤師(週30時間未満かつ週4日以下)

週の所定労働時間が30時間未満で、週4日以下(または年216日以下)の勤務の場合は、所定労働日数に応じて日数が少なくなる「比例付与」になります。

週の勤務日数
6か月
1年6か月
2年6か月
3年6か月
4年6か月
5年6か月
6年6か月以上
週4日
7日
8日
9日
10日
12日
13日
15日
週3日
5日
6日
6日
8日
9日
10日
11日
週2日
3日
4日
4日
5日
6日
6日
7日
週1日
1日
2日
2日
2日
3日
3日
3日

いずれも厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」に掲載されている法定の日数です。週4日勤務でも1日の勤務時間が長く、週30時間以上になる場合は、正社員と同じ表が適用されます。パートの働き方全般は薬剤師のパート転職ガイドで解説しています。

なお、有給の請求権は2年で時効により消滅します(労働基準法115条)。使わなかった分は翌年に繰り越せるので、勤続年数が長くなると、手元の有給は最大で2年分になります。

💬 くらげのひとこと

転職すると勤続年数はゼロから数え直しになるため、前の職場で年20日あった有給が、新しい職場では最初の付与で10日に戻ります。長く勤めた職場からの転職ほど、この差は大きく感じるはずです。年収だけでなく、休みの総量が変わることも頭に入れておきましょう。

6か月より早くもらえる「前倒し付与」

法律が定めているのは最低基準なので、会社がそれより有利に付与するのは自由です。実際に、入社日から有給の一部を付与する「前倒し付与」を採用している職場もあります。

よくある前倒しのパターン

パターン
内容
入社日に全日数を付与
入社初日から10日を使える
分割して付与
入社日に数日、残りを6か月後に付与する
基準日の統一
全社員の付与日を4月1日などにそろえ、中途入社者にも早めに付与する

厚生労働省の解説資料では、10日のうち一部を前倒しで付与した場合、付与日数の合計が10日に達した日から1年間が、後述する年5日の取得義務の対象期間になると説明されています。

入社前に確認する方法

休暇に関する事項は、会社が入社時に必ず書面などで明示しなければならない労働条件の一つです(労働基準法施行規則5条)。労働条件通知書や就業規則の「休暇」欄で、有給がいつ・何日付与されるかを内定承諾前に確認しましょう。書類の見方は内定通知書と労働条件の確認ポイントにまとめています。面接で聞きにくい場合は、転職エージェントを通じて確認してもらう方法もあります。

💬 くらげのひとこと

求人票の「有給休暇あり」だけでは、いつから使えるかまでは分かりません。「入社時付与あり」「入社日から3日付与」のように具体的に書いてある求人は、制度を整えている職場であることが多いと感じます。小さな一行ですが、比較の材料になります。

前職の有給は転職先に引き継がれない

有給は、雇われている会社ごとに発生する権利です。別の会社に転職すると前職の有給は引き継がれず、退職日を過ぎた時点で消滅します。新しい職場では、勤続年数も有給もゼロからのスタートです。

通算されることがあるケース

「継続勤務」にあたるかどうかは、形式ではなく勤務の実態で判断されます。同じ会社のなかでパートから正社員へ切り替わった場合や、定年後に同じ会社で再雇用された場合などは、勤務が続いているとして勤続年数が通算されるのが一般的です。グループ会社への転籍など判断が分かれるケースもあるため、該当する場合は転籍先の人事に確認しましょう。

残った有給は退職前に使い切る

会社に残った有給を買い取る義務はないため、使い切らずに退職すると、その分は消えてしまいます。退職日を決める段階で有給の残日数を確認し、最終出勤日のあとにまとめて取得できるよう逆算しておくことが大切です。具体的な進め方は退職前の有給をまとめて取得する方法で解説しています。

💬 くらげのひとこと

有給消化を入れると退職日が後ろにずれるため、転職先の入社日との調整が必要になります。内定が出たら、まず現職の有給残日数を確認し、入社日を決める材料にしてください。先に入社日を約束してしまうと、有給を捨てることになりかねません。

入社直後に休みが必要なときの対処

結婚式や引っ越し、家族の行事など、入社して間もない時期に休みが必要になることもあります。有給がない期間の対処法を整理しました。

対処法
ポイント
入社日を調整する
予定が入社前後に重なるなら、予定のあとに入社日を設定できないか交渉する
前倒し付与を確認する
就業規則で、入社直後から使える有給があるかを確認する
特別休暇を確認する
慶弔休暇など、有給とは別に会社が設けている休暇が使えないか確認する
入社前に相談する
休む予定が決まっているなら、内定承諾の段階で伝え、欠勤の扱いも含めて相談する

どの方法も使えない場合は欠勤となり、就業規則に従って休んだ日の分の給与が差し引かれるのが一般的です。外せない予定があるなら、入社してからではなく内定承諾の前に伝えておくのが鉄則です。入社日の交渉の仕方は入社日の交渉方法と例文を参考にしてください。

💬 くらげのひとこと

管理薬剤師としてシフトを組んでいたとき、入社前に予定を教えてもらえると本当に助かりました。先に分かっていれば、その日を最初から勤務に入れずに済みます。あとから「実は」と切り出すより、最初に相談するほうが職場の受け止め方もずっと良くなります。

入社後に知っておきたい有給のルール

有給が付与されたあとに役立つルールもまとめておきます。新しい職場で遠慮しすぎないための知識として押さえておきましょう。

ルール
内容
根拠
年5日の取得義務
年10日以上付与される人には、会社が付与日から1年以内に5日を取得させる義務がある(2019年4月施行)
労働基準法39条7項
取得理由
いつ取るかは原則として労働者が決められ、理由を伝える義務はない
労働基準法39条5項
時季変更権
事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は取得日を別の日に変更できる
労働基準法39条5項
時間単位の取得
労使協定があれば、年5日分まで時間単位で取得できる
労働基準法39条4項

厚生労働省の令和7年就労条件総合調査によると、2024年の1年間に企業が付与した有給は労働者1人平均18.1日、取得日数は12.1日で、取得率は66.9%でした。薬剤師の職場は1人欠けると調剤が回りにくい現場も多いため、取得しやすさは職場ごとの差が大きい部分です。

💬 くらげのひとこと

有給が取りやすいかどうかは、制度より「代わりに入れる薬剤師がいるか」で決まります。見学や面接では、薬剤師の人数と、休みの人が出たときの応援体制を聞いてみてください。有給の日数が同じでも、実際に使える日数はそこで大きく変わります。

よくある質問

パート薬剤師でも有給はもらえますか?▼

もらえます。6か月の継続勤務と8割以上の出勤という条件は正社員と同じです。週30時間未満かつ週4日以下の勤務なら、週3日で最初は5日というように、勤務日数に応じた比例付与になります。

試用期間中に有給は使えますか?▼

法律上の有給は入社6か月後の付与なので、試用期間中は使えないのが原則です。ただし、前倒し付与のある職場なら試用期間中でも使えます。試用期間は6か月の継続勤務に含まれるため、試用期間が明けてから数え直すことはありません。

前職で残っていた有給は転職先に移せますか?▼

移せません。有給は会社ごとに発生する権利で、退職日を過ぎると消滅します。会社に買い取る義務もないため、残った有給は退職前に使い切れるよう、退職日と入社日を調整しておきましょう。

入社後半年の出勤率が8割に届かなかったらどうなりますか?▼

その期間についての有給は付与されません。ただし勤続年数のカウントは続くため、次の1年間で8割以上出勤すれば、入社1年6か月の時点で11日が付与されます。業務上のけがや産休・育休などで休んだ期間は出勤扱いになるので、欠勤とは区別して考えましょう。

有給を取るのに理由は必要ですか?▼

法律上、理由を伝える義務はありません。いつ取るかは原則として労働者が決められ、会社が取得日を変更できるのは事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。ただし、シフト制の職場では早めに申請すると調整がしやすくなります。

まとめ

薬剤師の転職後の有給について、要点を整理します。

📌 この記事の要点
  • 法律上の有給は、入社6か月の継続勤務と8割以上の出勤で10日付与。パートは勤務日数に応じた比例付与
  • 前職の有給は引き継がれず、退職日で消滅する。退職前に使い切れるよう退職日と入社日を逆算する
  • 入社日から付与する前倒し付与の職場もある。労働条件通知書の「休暇」欄で内定承諾前に確認する
  • 入社直後に外せない予定があるなら、内定承諾の前に伝えて入社日や休みの扱いを相談する

転職直後の半年は有給がないのが原則ですが、ルールを知っていれば予定の立て方で困ることはありません。求人を比べるときは、給与だけでなく「有給がいつから、何日使えるか」「実際に休める体制があるか」まで確認して、長く働ける職場を選んでいきましょう。

💡 休みやすい職場を効率よく探すなら

入社時付与の有無や有給の取りやすさなど、求人票に出にくい情報まで確認してくれるエージェントを比較しています。

エージェント比較ランキングを見る
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。
あわせて読みたい
薬剤師転職サイト・エージェントおすすめランキング5選【2026年最新・現役薬剤師が厳選】 ※本記事はアフィリエイト広告を含みます。 現役薬剤師が公式情報と公的認定で比較(2026年9月確認) 迷ったら、まずこの3社 1位 ファルマスタッフ 日本調剤グループ|全...
目次