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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
結論から言うと、滋賀県は「最新調査で平均年収が全国20位に浮上。県庁所在地への集中度が全国でも屈指に低く、県内のどこでも働きやすい」県です。厚生労働省の統計では、県内の薬剤師のうち大津市で働く人は約28%にとどまります。
多くの県では薬剤師が県庁所在地に半数以上集まりますが、滋賀は湖南・甲賀・湖東・湖北と各エリアに分散しています。この記事では公的統計をもとに、滋賀の転職市場の実像を整理します。
この記事でわかること
- 滋賀県の薬剤師の年収・薬剤師数・薬局数の最新データと出典
- 年収が全国32位から20位へ上がり、全国平均を超えた背景
- 「地域差が小さい」を裏づける集中度28%という数字
- エリア別の傾向と、滋賀で待遇を上げるためのコツ
滋賀県の薬剤師転職データ早見表
まず、滋賀県の薬剤師をとりまく数字を全国と並べて確認します。いずれも公的統計、または公的統計をもとに算出された数値です。
出典:年収・月間勤務時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」および「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(勤務時間は令和6年分)/薬剤師数は厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者(人口10万対)および届出薬剤師総数/薬局数は厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」/偏在指標は厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標
滋賀でおもしろいのは、県庁所在地に人が集まっていないことです。多くの県は県都に半分以上が集中しますが、滋賀は約28%。住む場所の選択肢がそのまま働く場所の選択肢になる、めずらしい県だと思います。
最新調査で年収が全国20位に浮上
32位から20位へ、全国平均を超えた
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした集計では、滋賀県の薬剤師の平均年収は次のように変化しています。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を加算)
最新の令和7年調査では585.2万円で全国20位。全国平均566.8万円を18.4万円上回りました。「滋賀は薬剤師不足のわりに年収が控えめ」という説明は、少なくとも最新のデータでは当てはまりません。
平均年齢の若さが数字を押し下げていた
滋賀の年収を読むうえで重要なのが平均年齢です。令和6年調査では34.5歳と、全国の40.9歳より6歳以上も若い数字でした。薬剤師の給与は勤続年数で上がっていくため、年齢構成が若い県は平均年収が低めに出ます。
最新の令和7年調査では平均年齢39.0歳・平均勤続年数8.6年となり、全国(40.1歳・8.6年)に近づきました。同じ年齢帯で比べれば、滋賀の水準は以前から悪くなかったと読むのが妥当です。若手が多く入ってきている県だという見方もできます。
月間勤務時間は全国より7時間長い
令和6年調査での滋賀県の薬剤師の月間勤務時間は174時間で、全国の167時間より7時間長いという結果でした。1日あたりおよそ20分の差です。年収の額面だけでなく、月の所定労働時間・残業の実績・年間休日をセットで確認してください。
平均年齢34.5歳という数字を見たときは驚きました。全国で見てもかなり若い部類です。ベッドタウンとして人が増えている県らしい構成で、若手にとっては同世代の多い環境ということでもあります。
「地域差が小さい」を数字で確かめる
滋賀の最大の特徴は、薬剤師が県内に分散していることです。厚生労働省の令和6年統計では、県内で薬局・医療施設に従事する薬剤師2,838人のうち、大津市は794人。県内のおよそ28%にとどまります。
出典:厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者数から当サイトが算出
隣の京都府では約71%が京都市に集まります。同じ関西でも、滋賀の分散ぶりは際立っています。「県庁所在地に行かないと求人がない」という制約が、滋賀にはほぼありません。
草津・甲賀にも薬剤師が集まっている
令和4年の統計をもとにした市町村別の薬剤師数は次のとおりです。
出典:厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」の従業地による市区町村別薬剤師数(総数)
注目したいのは3位の甲賀市です。人口規模は大津市の3分の1以下ですが、薬剤師数では県内3位。江戸時代からのくすりの産地で、いまも製薬企業が立地していることが背景にあります。調剤や病院以外の進路を県内で探せるのは、滋賀ならではの強みです。
甲賀に製薬の集積があるのは、地元の人以外にはあまり知られていないかもしれません。品質管理や薬事といった職種を地方で探すのは難しいのですが、滋賀なら現実的な選択肢になります。
偏在指標で見る滋賀の需給
厚生労働省は、薬剤師の需給を地域ごとに比較するための「薬剤師偏在指標」を公表しています。数値が1.0より小さいほど業務量に対して薬剤師が足りず、大きいほど足りている状態を意味します。
出典:厚生労働省が公表した現在時点および将来時点の薬剤師偏在指標(都道府県別)
滋賀の病院薬剤師の指標は0.81で全国の0.80とほぼ同水準、薬局薬剤師は1.03で全国1.08をわずかに下回ります。地域全体でも0.94と、極端な過不足のないバランス型です。秋田や山形のように深刻な不足ではなく、兵庫のように大きく余ってもいない、というのが滋賀の位置づけです。
ただし将来時点の推計では、薬局薬剤師の指標は1.23、地域全体は1.09まで上がる見通しが示されています。長期的には需給が緩む方向なので、在宅対応や専門性など、処方箋の枚数以外で価値を出せるスキルを持っておくと安心です。
薬剤師数は2年で大きく増えている
人口10万人あたりの薬剤師数は、令和4年の189.7人から令和6年は202.7人へと13人増えました。全国平均210.6人にはまだ届きませんが、伸び幅は大きい部類です。人口が増えているエリアがあることも背景にあると考えられます。
滋賀は極端な数字が出ない県です。良くも悪くもバランス型。だからこそ、統計を眺めて悩むより、実際の求人を並べて条件で選ぶほうが向いていると思います。
滋賀県のエリア別の特徴
滋賀県は琵琶湖を囲むように市町が広がり、エリアごとに性格が異なります。
大津市や湖南エリアからは京都市が通勤圏に入り、大阪も現実的な選択肢になります。滋賀に住みながら京都・大阪の求人まで比較できるのは、大きな強みです。一方、湖北や湖西は距離があるため、住む場所とセットで考える必要があります。
滋賀で働くメリットと注意点
- 最新調査の平均年収585.2万円は全国20位で、全国平均を18.4万円上回る
- 県庁所在地への集中度が約28%と低く、住む場所を選びやすい
- 大津・湖南からは京都や大阪の求人まで通勤圏に入る
- 甲賀に製薬企業が集積し、企業系の職種を県内で探せる
- 偏在指標は極端な過不足がなく、薬局も病院もバランスがよい
- 月間勤務時間は174時間と、全国平均より7時間長い
- 人口10万人あたりの薬局数は47.8施設で全国38位と少なめ
- 薬局の偏在指標は将来1.23まで上がる推計で、長期では需給が緩む
- 草津など人気エリアは薬剤師も集まりやすく、競争になることがある
- 市町が点在し、湖北や湖西では車通勤が前提になる職場が多い
滋賀で年収・待遇を上げる4つのコツ
① 住む場所を先に決めて、そこから広げる
滋賀は薬剤師が県内に分散しているため、どこに住んでも通える範囲に職場があります。だからこそ、勤務地から住まいを決めるのではなく、暮らしたい場所を先に決めて、そこから通える求人を広く探すという順番が向いています。
② 京都・大阪の求人と同時に比較する
大津市から京都市中心部までは電車で10分台。湖南エリアからでも京都・大阪は通勤圏に入ります。勤務地の条件を「滋賀県内」ではなく「自宅から45分以内」で設定し直すと、比較できる求人が一気に増えます。府県をまたげる立地は、滋賀の最大の武器です。
③ 企業系の求人も選択肢に入れる
甲賀を中心に製薬企業が立地しているため、品質管理・品質保証・薬事といった職種を県内で探せます。数は限られますが、調剤や病院以外のキャリアを地方で考えられるのは貴重です。興味があるなら、早い段階から情報を集めておくとよいでしょう。
④ 勤務時間の実態を数字で確認する
滋賀は統計上の勤務時間が全国より長めに出ています。応募前に、1日の平均処方箋枚数、在籍薬剤師数、直近数か月の平均残業時間、年間休日数の4点は具体的に確認しましょう。年収が同じでも、この4点で働きやすさはまったく変わります。
滋賀は「暮らしから決められる」県だと思っています。県内どこでも職場があって、京都も大阪も通勤圏。この自由度を活かさないともったいないですよ。
よくある質問
まとめ
滋賀県の薬剤師転職のポイントを整理します。
- 最新調査の平均年収は585.2万円・全国20位で、全国平均を18.4万円上回った
- 大津市への集中度は約28%。京都71%・石川50%と比べて際立って低い
- 偏在指標は病院0.81・薬局1.03で、極端な過不足のないバランス型
- 薬剤師数は令和4年の189.7人から令和6年202.7人へ大きく増加
- 甲賀に製薬企業が集積し、企業系の職種を県内で探せる
- 京都・大阪も通勤圏。勤務地の枠を広げて比較するのが有効
滋賀県は、県内のどこに住んでも働く場所があり、京都や大阪まで候補に入れられる自由度の高い県です。年収の額面だけでなく、暮らしたい場所と通勤時間から逆算して、自分に合う職場を選んでいきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。年収・薬剤師数のデータは調査年や集計方法により幅があり、求人状況や待遇はエリア・職場・時期により異なります。詳細は各求人および各公的機関の公表資料でご確認ください。

