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くらげ|現役薬剤師。急性期・療養型の病院から調剤薬局まで経験し、薬局長も務めました。薬剤師目線で転職情報を発信しています。
「手術を支える薬の専門家として力を発揮したい」「医師や看護師と並んで治療の最前線に関わりたい」。そんな薬剤師にとって、外科系の専門病院は腕を磨ける職場です。近年は手術前後の薬の管理に薬剤師が深く関わるようになり、活躍の場が広がっています。
この記事では、外科系専門病院での薬剤師の仕事、周術期管理という専門業務、薬剤師の関与が広がった近年の動き、メリットと注意点、転職の進め方を、現役薬剤師の目線で整理します。
- 外科系専門病院とはどんな職場か
- 周術期管理という、外科ならではの薬剤師の仕事
- 手術前後の薬剤師の関与が広がった近年の動き
- 働くメリットと、転職前に知っておきたい注意点
- 向いている人と、求人の探し方
外科系専門病院とは
外科系専門病院とは、手術による治療を中心に担う病院です。消化器外科や心臓血管外科、脳神経外科、整形外科など、特定の領域に強みを持つ施設が多く、地域の手術を支える役割を果たしています。手術件数が多いため、薬剤師にとっては手術にまつわる薬の管理が仕事の大きな柱になります。
こうした病院で薬剤師が力を発揮するのが「周術期管理」です。周術期とは、手術の前から後までの一連の期間を指します。手術はからだへの負担が大きく、使う薬も複雑になるため、薬の専門家として一貫して関わることが求められます。
外科の病院というと「医師と看護師の現場」という印象があるかもしれませんが、いまや薬剤師は手術チームの大切な一員です。手術の成功と安全に、薬の知識が確かに貢献できる職場です。
周術期管理|外科の薬剤師ならではの仕事
周術期の薬剤師の仕事は、手術の前・最中・後の3つの場面に分かれます。それぞれで求められる役割が異なります。
術前|持参薬の確認と休薬の管理
手術前には、患者が普段飲んでいる薬を確認し、手術に向けて止めるべき薬がないかを見極めます。特に重要なのが、血液を固まりにくくする抗血栓薬の管理です。出血のリスクに関わるため、リスクを評価したうえで、医師の指示にもとづいて休薬や継続の説明を行います。入院前の外来や面談で薬剤師が関わる病院も増えています。
術中|手術室での医薬品管理
手術中は、手術室で使う医薬品を適正に管理します。麻薬やハイリスク薬の管理、注射薬の調製、長時間手術での抗菌薬の追加投与の計画などが主な業務です。アナフィラキシーなど緊急時に備えた薬の準備も、薬剤師が担う重要な役割です。
術後|疼痛管理と合併症の予防
手術後は、痛みをやわらげる疼痛管理が大きなテーマです。鎮痛薬の選択や投与量を患者の状態に合わせて提案します。あわせて、術後の感染を防ぐ抗菌薬の適正使用、吐き気や血栓、栄養状態の管理、止めていた薬を再開するタイミングの確認など、回復を支える幅広い管理を担います。
術前の休薬指導は、外科の薬剤師の腕の見せどころです。抗血栓薬を止めすぎても再開を忘れても患者さんのリスクになります。一つひとつの薬の特性を踏まえた判断が、安全な手術を支えます。
手術前後の薬剤師の関与が広がった近年の動き
周術期に薬剤師が関わる流れは、近年ますます強まっています。2022年度の診療報酬改定では、手術室の薬剤師が病棟薬剤師と連携して周術期の薬物療法を安全に行うことを評価する「周術期薬剤管理加算」が新設されました。あわせて、医師・薬剤師・看護師のチームで術後の痛みを管理する「術後疼痛管理チーム加算」も設けられています。
こうした評価の後押しもあり、手術を多く手がける病院では、周術期に専門的に関わる薬剤師を求める動きが続いています。外科の現場で薬剤師が活躍できる場は、着実に広がっているのです。
※診療報酬の評価内容や算定要件は改定により変わります。最新の内容は各年度の改定資料でご確認ください。
制度として周術期の薬剤師業務が評価されたことは、大きな追い風です。これから外科でキャリアを築きたい薬剤師にとっては、専門性を打ち出しやすくなった環境だといえます。
外科系専門病院で働くメリット・デメリット
専門性とやりがいが大きい一方、負荷の高さもあります。判断する前に、両面を確認しておきましょう。
- 周術期管理という外科特有の専門性が身につく
- 手術チームの一員として治療に深く関われる
- 休薬指導や疼痛管理など、高度な薬学知識を活かせる
- 制度的にも評価され、専門性を打ち出しやすい
- 手術の安全に貢献する大きなやりがいがある
- 手術件数が多い病院では業務の密度が高い
- 高度な薬学知識が求められ、学び続ける必要がある
- 大規模な急性期病院が中心で、当直や夜勤を伴う場合がある
- 病院によって薬剤師の周術期への関わり方に差がある
- 専門的な求人は数が限られる
「専門性をとことん追求したい」人に向く一方、負荷は高めです。応募前に、その病院で薬剤師が周術期にどこまで関わっているかを確認すると、入職後のギャップを防げます。
向いている人と求人の探し方
外科系専門病院は、薬の専門性を深く追求したい人、チーム医療の中で責任を持って関わりたい人、最前線で力を発揮したい人に向いています。病棟業務や注射薬の調製、チーム医療の経験があると、入職後に活躍しやすいでしょう。
求人は、手術を多く手がける大規模な急性期病院や専門病院が中心です。なお、周術期に専門的に関わるチームの薬剤師には、一定年数の薬剤師経験や周術期関連の経験、所定の研修が求められる場合があります。まずは病院薬剤師として経験を積み、周術期業務に関わりながら専門性を高めていくのが現実的な道です。薬剤師専門の転職エージェントに「外科・周術期に関わりたい」と伝えておくと、条件に合う求人を紹介してもらいやすくなります。
「周術期に関わりたい」と具体的に伝えることが大切です。求人票に書かれていなくても、病棟配属の中で周術期業務に関われる病院は少なくありません。面接で薬剤師の関わり方を具体的に確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
外科系専門病院は、手術を支える周術期管理に薬剤師として深く関われる、専門性の高い職場です。転職を考えるなら、次のポイントを押さえておきましょう。
- 外科系専門病院は手術が中心で、薬剤師は周術期管理が仕事の柱
- 術前の休薬指導、術中の医薬品管理、術後の疼痛管理が主な業務
- 周術期薬剤管理加算などの新設で、薬剤師の関与が制度的に評価されている
- 専門性とやりがいは大きいが、業務の密度が高く当直を伴う場合もある
- 求人は手術の多い病院が中心。周術期への関わり方を確認して選ぶことが大切
手術という大きな治療を、薬の力で支える。やりがいと専門性を求める薬剤師にとって、外科系専門病院は挑戦しがいのある選択肢です。まずは病院薬剤師としての経験を土台に、周術期の世界へ一歩踏み出してみてください。
※本記事の情報は2026年6月時点のものです。求人状況・診療報酬の評価内容・勤務体制は病院や年度によって異なり、変更される場合があります。最新の情報は各病院の公開資料や改定資料でご確認ください。

