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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
薬剤師の転職先は、調剤薬局と病院だけではありません。ドラッグストア、製薬企業、医薬品卸、行政、大学、介護施設、学校まで、免許が活きる場所は想像以上に広がっています。ところが求人サイトを開くと目に入るのは調剤薬局の求人ばかりで、「ほかにどんな選択肢があるのか」を知らないまま応募先を決めてしまう人が少なくありません。
このページは、薬剤師の転職先を職場・職種の軸で一覧できるようにまとめた入口です。まず届出データで全体像をつかみ、そのうえで気になる職場の詳しい解説記事へ進めるように並べています。年収の細かい比較や、地域・年代で絞り込みたい場合の入口もあわせて案内します。
結論から言えば、薬剤師の主な転職先は薬局・病院・診療所・医薬品関係企業・衛生行政機関・大学・介護保険施設の7つに分かれます。厚生労働省の届出データでは、薬局が197,437人で全体の60.0パーセントを占め、病院が57,595人、医薬品関係企業が34,184人と続きます。この7区分のどこを選ぶかで、年収の伸び方も、身につく経験も、何歳まで働き続けられるかも変わります。
✅ このページでわかること
- 薬剤師が実際に働いている場所と、その人数の内訳
- 薬局・病院・企業・行政など職場ごとの特徴と代表的な記事
- 診療領域や専門業務で絞り込むときの入口
- 転職先を選ぶときに使える3つの判断軸
薬剤師の転職先の全体像|届出データで見る働き場所
厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計は、薬剤師法にもとづく届出をもとに、薬剤師がどこで働いているかを2年に1度集計しています。令和6年の届出薬剤師数は329,045人で、前回から5,355人、1.7パーセント増えました。主に従事している施設・業務の種別で見ると、内訳は次のとおりです。
出典:厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」表15・表16(令和6年12月31日現在)
厚生労働省の該当ページを開く
この表から読み取れることは3つあります。1つ目は、薬局が6割を占める一方で、残り4割は薬局以外に散らばっているということ。2つ目は、増えている職場と減っている職場がはっきり分かれていることです。薬局は前回から6,702人増、病院も1,010人増でしたが、医薬品関係企業は2,902人減、診療所も183人減っています。
3つ目は、職場によって年齢構成がまるで違うことです。病院の平均年齢は42.5歳と最も若く、診療所は58.4歳、介護保険施設は59.7歳と高くなっています。同じ免許でも、その職場に何歳まで在籍する人が多いかは大きく異なります。転職先を選ぶときは、今の条件だけでなく、そこに長く居続けている人がいるかどうかも見ておく価値があります。
病院の平均年齢が42.5歳というのは、私の実感ともよく合います。急性期にいたころ、40代後半以降の先輩は数えるほどでした。体力的な事情もありますが、多くは調剤薬局や企業へ移っていきます。逆に診療所や介護施設は60歳前後の方が中心で、定年後の受け皿としても機能しています。転職先を考えるときは「今の自分に合うか」だけでなく「10年後もそこにいられるか」を一緒に考えてみてください。
薬局・ドラッグストアで働く
薬剤師の6割が働く最大の職場です。同じ薬局でも、大型病院の前に立つ門前薬局と、複数の医療機関の処方箋を受ける面薬局では、扱う薬の幅も求められる知識も変わります。ドラッグストアは調剤併設が進み、市販薬の相談と調剤の両方を担う店舗が増えました。求人数が多く未経験でも入りやすい反面、業態ごとの違いを知らずに選ぶとギャップが生まれやすい領域でもあります。
薬局・ドラッグストアの詳しい解説
病院・診療所で働く
病院で働く薬剤師は57,595人で、全体の17.5パーセントを占めます。病棟業務や注射薬の調製、無菌製剤、チーム医療への参加など、薬局では経験できない業務が多いのが特徴です。ひとくちに病院といっても、急性期・慢性期・大学病院で忙しさも学べる内容も大きく変わります。当直や夜勤の有無、教育体制の厚みも施設ごとに差が出るため、病院の種類から絞り込むのが近道です。
病院の種類から選ぶ
診療領域・専門業務から選ぶ
病院を「病院」というひとくくりで探すと、まず失敗します。同じ地域の同規模病院でも、薬剤部の人数が2人違うだけで当直の回数も残業も変わりました。急性期か慢性期か、何床か、薬剤師は何人かという3点だけでも先に決めておくと、求人票の見え方がまるで違ってきますよ。
企業・研究・行政で働く
医薬品関係企業で働く薬剤師は34,184人。うち製造販売業・製造業が24,102人、店舗販売業が5,090人、卸売販売業が4,959人という内訳です。ここは前回から2,902人、7.8パーセント減っており、届出データ上は縮んでいる領域といえます。求人数そのものが限られるため、狙うなら早めに要件を確認しておく必要があります。
一方で行政の側は、衛生行政機関・保健衛生施設で6,906人が働いています。保健所や自治体の薬務担当として、薬局や医薬品販売業の監視指導にあたる仕事です。平均年齢43.1歳と病院に次いで若く、公務員としての安定性を求めて中途で移る人もいます。
製薬企業・医薬品卸で働く
公務員・行政で働く
在宅・介護・学校など地域で働く
介護保険施設に届出上いる薬剤師は1,217人と少数ですが、平均年齢は59.7歳と全区分で最も高く、長く働き続けられる場であることがうかがえます。ただし在宅医療に関わる薬剤師の多くは、施設所属ではなく薬局に籍を置いたまま訪問しています。届出データの人数だけを見て「在宅の仕事は少ない」と判断すると実態を読み違えるので注意してください。
学校薬剤師のように、本業を持ちながら委嘱される形の仕事もあります。働き方そのものを変えたい場合は、勤務先の業態ではなく雇用形態から探すという入口もあります。
在宅・介護・学校・働き方から選ぶ
転職先を選ぶときの3つの判断軸
職場の候補が出そろったら、次は絞り込みです。どれか1つの条件だけで決めると後悔しやすいので、年収・働き方・専門性の3つを並べて比べることをおすすめします。
職場別の向き不向き早見表
3つの軸を当てはめる前に、まずは大枠でどこが自分に近いかを確認してください。それぞれの職場について、向いている人の傾向と、応募前に確認しておきたい点を並べました。
① 年収は「平均」ではなく条件つきで見る
薬剤師の平均年収は566万7,900円です。これは厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査で、薬剤師の「きまって支給する現金給与額」の12か月分に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出した金額で、対象者の平均年齢は40.1歳、平均勤続年数は8.6年でした。前年の調査では599万3,200円だったため、1年で下がっています。
大切なのは、この566万円がどの職場にも当てはまる数字ではないという点です。役職の有無、勤務地、雇用形態で幅が出ます。求人票の想定年収を見るときは、平均との差ではなく「その条件で何年働けばいくらになるか」で比べたほうが実態に近づきます。
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」
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② 働き方は「1日」ではなく「1年」で考える
当直や夜勤の有無、土日の扱い、繁忙期の残業量は、1日の勤務時間よりも生活への影響が大きい要素です。病院なら当直の回数、薬局なら土曜出勤の頻度、ドラッグストアならシフトの組み方を、面接前に必ず確認してください。求人票に書かれていない場合は、書かれていないこと自体が確認すべきサインです。
③ 5年後に何を語れるかで選ぶ
病院の平均年齢が42.5歳という数字が示すとおり、多くの薬剤師は職業人生の途中で職場を変えます。だからこそ、次の職場は「そこで何が身につくか」で選ぶ意味があります。無菌調製ができる、在宅を回している、特定の診療領域を担当している。こうした具体的な経験は、その次の転職で交渉材料になります。
私が急性期から調剤薬局へ移ったとき、評価されたのは「病院にいた」ことではなく「抗がん剤の調製をしていた」ことでした。職場名は経歴になりますが、経験になるのは業務の中身です。今の職場で何を担当させてもらえるかは、次の転職先を広げるかどうかに直結します。
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よくある質問
まとめ
薬剤師の転職先を職場・職種の軸で整理しました。要点をまとめます。
- 届出薬剤師329,045人のうち、薬局が197,437人で6割を占め、病院が57,595人、医薬品関係企業が34,184人と続く
- 薬局と病院は増加、医薬品関係企業と診療所は減少しており、募集の出やすさに差がある
- 平均年齢は病院42.5歳、診療所58.4歳、介護保険施設59.7歳と職場ごとに大きく異なる
- 薬剤師全体の平均年収は566万7,900円だが、役職・地域・雇用形態で幅が出るため条件つきで見る
- 年収・働き方・5年後の専門性の3軸を並べて比べると、絞り込みの精度が上がる
どの職場が正解かは、その人が何を優先するかで変わります。気になる職場が見つかったら、そのまま個別の解説記事へ進んでみてください。年収の細かい比較は年収ガイド、地域で絞りたい場合は都道府県別ガイド、年代ごとの事情は年代別ガイドが入口になります。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。統計は公表時点の数値であり、求人・制度の状況は時期により変動します。最新の情報は各公的機関の発表および各求人にてご確認ください。

