薬剤師の転職後1年の振り返り|5項目で総括し次へ活かす

薬剤師の転職後1年の振り返り|5項目で総括し次へ活かす

この記事を書いた人

くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

転職してから1年。一通りの業務を経験し、職場にも慣れてきたこの時期は、立ち止まって振り返るのにちょうどいい節目です。「あの転職は正解だったのか」「この1年で何を得られたのか」を冷静に見つめ直すことで、次の一歩がぐっと明確になります。

この記事では、5つの視点での振り返り方に加えて、公的データを物差しにして自分の状況を客観的に測る方法までまとめました。感覚だけで判断せず、数字と照らし合わせることで、納得のいく総括ができます。

この記事の結論

1. 1年は季節ごとの繁忙も一巡し、感情に流されず職場の全体像を判断できる節目

2. 「休みが取りにくい」と感じても、転職1年目は有給が10日しか付与されないという制度上の理由がある。環境のせいだけとは限らない

3. 振り返りは過去を裁くためではなく、次の1年の目標とセットにして初めて意味を持つ

この記事でわかること

  • 転職後1年が振り返りに適している理由
  • 1年の振り返りでチェックしたい5項目
  • 公的データを物差しにした、客観的な自己点検の方法
  • 振り返りから得られる学びの活かし方
  • 次の1年・キャリアへのつなげ方と、振り返りシートの作り方
目次

なぜ転職後1年が振り返りのタイミングなのか

転職直後の数か月は、新しい環境に慣れることで精一杯で、冷静に評価する余裕がありません。しかし1年がたつと、季節ごとの繁忙期や年間行事も一巡し、職場の全体像が見えてきます。最初の緊張や不安も落ち着き、感情に流されずに「この職場でよかったのか」を判断できるようになります。

この節目で一度立ち止まって棚卸しをしておくと、惰性で働き続けることを防げます。良かった点は自信に変え、足りない点は次の目標に変える。振り返りは、後悔のためではなく、これからをよくするための作業です。

なお、入職して間もない時期の馴染み方については別の記事で扱っています。まだ数か月という方は、そちらから読むほうが役に立ちます。

💬 くらげのひとこと

1年というのは、転職市場でも一つの目安です。「最低でも1年は続けた」という実績は、次の転職を考えるときにも効いてきます。だからこそ、この節目での棚卸しには意味があるんです。

💡 振り返りの結果、選択肢を広げたくなった方へ

すぐ動かなくても構いません。他の職場の条件を知るだけでも、今の環境を評価する材料になります。

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1年の振り返りでチェックしたい5項目

次の5つの視点で、この1年を振り返ってみましょう。転職前に立てた目的と照らし合わせるのがポイントです。

チェック項目
見るポイント
① 転職の目的は達成できたか
年収・働き方・両立など、転職を決めたときの一番の目的は叶ったか
② 働き方は理想に近づいたか
残業・休日・通勤など、日々の働き方が想定どおりか
③ スキル・経験は増えたか
新しく身についた知識や、対応できるようになった業務
④ 人間関係・職場環境は良好か
周囲との関係や職場の雰囲気に、無理なく働ける土台があるか
⑤ 年収・待遇に納得しているか
実際の収入や評価が、自分の働きに見合っているか

すべてが満点である必要はありません。一番大事にしていた目的が叶っていれば、その転職はおおむね成功と言えます。逆に、最優先の目的が叶っていないなら、その点を次にどう改善するかを考えるきっかけになります。

なお⑤については、昇給や昇格のタイミングが職場によって異なるため、1年時点ではまだ判断材料が揃っていないこともあります。制度上どのタイミングで反映されるのかを確認したうえで評価しましょう。

💬 くらげのひとこと

頭の中で考えるより、紙やスマホに書き出すのがおすすめです。文字にすると、漠然とした不満や満足が整理され、「本当は何に納得していて、何が引っかかっているのか」がはっきりします。

数字で照らし合わせる|公的データを物差しにする

「休みが少ない気がする」「年収が思ったほど上がらなかった」。こうした感覚は、比べる基準がないと判断できません。公的データを物差しにすると、自分の状況を客観的に測れます。

休日と有給の全国平均

厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」によると、労働者1人平均の年間休日総数は116.6日、年次有給休暇の平均取得日数は12.1日、平均取得率は66.9%でした(出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」。全産業の数値で、薬剤師に限定した統計ではありません)。

今の職場の年間休日がこの水準を大きく下回っているなら、それは「慣れの問題」ではなく条件の問題かもしれません。逆に上回っているなら、休みにくさの原因は日数ではなく職場の雰囲気にある可能性があります。

転職1年目は有給が少ないのが制度上の前提

見落とされがちなのがこの点です。年次有給休暇は、入社から6か月継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した場合に10労働日が付与されます。その後は継続勤務1年ごとに日数が加算され、1年6か月で11日、以降12日・14日と増えていき、6年6か月以降は20日が上限です(出典:厚生労働省「スタートアップ労働条件」)。

つまり前職で20日あった人も、転職すれば10日からのやり直しです。「前より休めない」と感じるのは当然で、職場が悪いとは限りません。1年6か月を過ぎれば日数は増えていくため、この点だけで判断を急がないでください。

なお、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、そのうち年5日を取得させることが使用者の義務です。1年たっても5日すら取れていないなら、それは制度が守られていない可能性があります。

年収は「上がって当たり前」ではない

厚生労働省「令和7年雇用動向調査」によると、転職して入職した人の賃金は前職と比べて増加40.8%、減少31.0%、変わらない25.5%でした(出典:厚生労働省「令和7年 雇用動向調査結果の概要」。全産業の数値です)。

増えた人が最も多いとはいえ、約3割は減っています。年収が横ばいでも、それ自体は珍しいことではありません。年収以外の目的(働き方や経験)が叶っているなら、総合的には成功と評価してよい場合もあります。

💬 くらげのひとこと

有給の話は、相談を受けていていちばん誤解が多いところです。「前の職場のほうが休めた」と落ち込んでいた方に付与日数の仕組みを説明したら、表情が変わったことが何度もあります。制度を知るだけで救われることは、意外と多いです。

振り返りから見える「学び」

振り返りで大切なのは、良かった点と想定外だった点の両方を言語化することです。

良かった点から学べること

  • うまくいった理由を分析すれば、自分が職場に求める条件が見えてくる
  • 成功体験は、次の選択でも判断の軸になる

想定外だった点から学べること

  • 「事前に確認しておけばよかった」点は、次の転職のチェック項目になる
  • ギャップの原因を知れば、同じ失敗を繰り返さずに済む

この1年の経験は、たとえ理想どおりでなかったとしても、次に活かせる貴重な学びです。「何が良くて、何が違ったのか」を自分の言葉で持っておくことが、これからのキャリアの財産になります。

同じように転職1年の節目を迎えた薬剤師が、何を振り返り、何に気づいたのかは、転職体験談のまとめでも紹介しています。自分の言語化と照らし合わせる材料にしてみてください。

💬 くらげのひとこと

「想定外だった点」は、責める対象を探すためではなく、次のチェックリストを作るために書き出してください。犯人探しになると振り返りがつらくなるだけで、何も残りません。

振り返って「やはり合わない」と感じたら

1年たっても違和感が消えない場合は、その不満が「時間で解決するもの」か「根本的なミスマッチ」かを切り分けましょう。慣れの問題なら、もう少し続けることで景色が変わることもあります。一方、働き方や価値観の根本が合わないなら、無理に続けることが正解とは限りません。

切り分けの目安
  • 時間で解決しやすい|業務の手順に不慣れ、特定の人との距離感、繁忙期だけの負担
  • 解決しにくい|人員体制そのものの不足、方針や価値観のずれ、改善の話が出ても動かない
  • 待たずに動くべき|心身の不調が続いている、安全に関わるミスが増えている

職場が本当に合わないかどうかの見極め方は、合わないサインをまとめた記事で詳しく解説しています。再び転職を考える場合も、1年の経験で得た「次に確認すべき点」を活かせば、より納得のいく選択ができます。

心身に不調を感じるほどつらいときは、判断を急がず、まず休むことと相談することを優先してください。信頼できる人や、専門の相談窓口に頼ることは、自分を守るための大切な行動です。

💬 くらげのひとこと

「1年で辞めるなんて」と自分を責める必要はありません。合わない環境で消耗し続けるほうが、キャリアにとっては損失です。ただし判断は、心身に余裕があるときにしてください。

次の1年・キャリアにどうつなげるか

振り返りは、次の目標設定とセットにして初めて意味を持ちます。

  • 次の1年の目標を決める:身につけたいスキルや、挑戦したい業務を一つでも具体的に設定します
  • 中長期のキャリアを描く:管理薬剤師、専門分野、在宅など、目指す方向を意識すると日々の選択がぶれません
  • 学びを次の行動に変える:振り返りで見つかった課題を、具体的なアクションに落とし込みます

今の職場で目標が叶いそうなら、腰を据えて取り組む。難しいなら、次のステップを視野に入れる。どちらにせよ、1年の振り返りが土台になります。

なお「評価されていない気がする」という引っかかりがある場合は、評価制度そのものの透明性を確認してみるのも有効です。基準が示されないまま昇給の見通しが立たないなら、それは自分の努力だけでは変えにくい部分です。

💬 くらげのひとこと

目標は大きくなくて大丈夫です。「在宅に1件同行させてもらう」くらいの粒度でも、1年後の振り返りでは確実に差になります。書き出しておくことが何より大事です。

振り返りシートの作り方

実際に手を動かすときの型を示します。紙1枚、10分ほどで書けます。

項目
書くこと
転職時の目的
1年前、何を一番の理由に転職したか。当時の言葉で書く
達成度
その目的について、叶った・半分・叶わなかったの3段階で評価
数字の記録
年間休日数、取得した有給日数、月平均の残業時間、年収
できるようになったこと
1年前にはできなかった業務を3つ書き出す
想定外だったこと
事前に確認できたはずのこと、確認しようがなかったことに分けて書く
次の1年の目標
具体的な行動を1つだけ。期限も添える

ポイントは「数字の記録」を必ず入れることです。感覚だけの振り返りは翌年比較できませんが、数字があれば1年後に変化が見えます。また、この記録はそのまま職務経歴書の材料にもなります。

「想定外だったこと」を2つに分けるのも意味があります。事前に確認できたはずのことは次のチェック項目に、確認しようがなかったことは自分を責めなくてよい部分として、はっきり分けておきましょう。

💬 くらげのひとこと

私は入職月に毎年書くようにしています。去年のシートを見返すと「これはもうできるようになったな」と気づけて、地味に自信になります。完璧な文章にしなくて大丈夫です。

よくある質問

1年で再び転職するのは早すぎますか?▼

一概に早すぎるとは言えません。1年は最低限の在籍実績とみなされることが多く、明確な理由があれば転職は十分可能です。ただし短期離職が続くと懸念されやすいため、次は1年の学びを活かして慎重に選ぶことが大切です。心身がつらい場合は無理をしない判断も必要です。

前の職場より休めないのですが、条件が悪いということですか?▼

必ずしもそうとは限りません。年次有給休暇は入社から6か月継続勤務して10日が付与され、その後1年ごとに増えていきます。前職で20日あった人も転職後は10日からのやり直しになるため、「前より休めない」と感じるのは制度上自然なことです。まずは年間休日数という固定の条件で比べ直してみてください。

1年たっても年収が上がりません。失敗でしょうか?▼

失敗とは限りません。厚生労働省の雇用動向調査では、転職者のうち賃金が「変わらない」人は25.5%、「減少」した人は31.0%います。横ばいは珍しいことではありません。また昇給の反映時期は職場によって異なり、1年時点ではまだ判断できない場合もあります。転職の一番の目的が年収でなかったなら、そちらの達成度で評価しましょう。

振り返って後悔しかない場合どうすればいいですか?▼

後悔の中身を分解してみましょう。「業務には不満ないが人間関係が合わない」など、原因を特定すると次の対策が見えます。改善できる部分は今の職場で動き、根本的に合わないなら次を検討する。後悔も、原因を言語化すれば次への学びに変わります。ただし気持ちが落ち込んでいるときは、判断より休息を優先してください。

振り返りは具体的にどうやればいいですか?▼

本文で挙げた5項目(目的の達成・働き方・スキル・人間関係・待遇)について、紙やスマホに書き出すのが効果的です。あわせて年間休日数・取得した有給日数・月平均の残業時間・年収という数字も記録しておくと、翌年に比較できます。転職前に立てた目的と照らし合わせ、「叶ったこと」「想定と違ったこと」を分けて整理しましょう。

満足しているなら振り返りは不要ですか?▼

満足していても振り返りには価値があります。なぜうまくいっているのかを言語化すれば、自分に合う条件が明確になり、今後の判断軸になります。また、次の1年の目標を立てることで、満足を成長へとつなげられます。順調なときこそ、次を見据える好機です。

1年たっても有給を1日も取れていません。問題ですか?▼

年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、そのうち年5日を取得させることが使用者の義務とされています。1日も取れていない状態が続いているなら、制度が守られていない可能性があります。まずは上司に取得の相談をし、それでも進まない場合は労働基準監督署に相談することもできます。

振り返りを誰かに相談したほうがいいですか?▼

一人で整理できるなら不要ですが、行き詰まったら話してみる価値はあります。職場の外にいる人のほうが、業界の常識にとらわれずに聞いてくれます。転職を前提としない相談でも受け付けているエージェントもあり、市場から見た自分の位置を知る機会にもなります。

振り返りはいつ行うのがいいですか?▼

入職した月に毎年行うのがおすすめです。日付を固定しておくと習慣になり、前年のシートと比べやすくなります。繁忙期や、気持ちが大きく揺れているタイミングは避けましょう。落ち着いた時期に、静かな場所で30分ほど時間を取るのが理想です。

まとめ

転職後1年の振り返りのポイントを整理します。

  • 1年は職場の全体像が見え、冷静に総括できる節目
  • 目的の達成・働き方・スキル・人間関係・待遇の5項目で振り返る
  • 年間休日116.6日・有給取得率66.9%などの全国平均を物差しにする
  • 転職1年目の有給は10日。前職より休めないのは制度上自然なこと
  • 合わないと感じたら、時間で解決するか根本のミスマッチかを切り分ける
  • 振り返りは次の1年の目標設定とセットで初めて意味を持つ

転職後1年の振り返りは、過去を裁くためではなく、これからをよりよくするための作業です。この1年で得たものを土台に、次の一歩を自分の意志で選んでいきましょう。順調な人も、悩みのある人も、立ち止まって整理する時間がきっと力になります。

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。法令・統計データは変更される場合があります。心身に不調を感じる場合は、医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。

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