この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
薬剤師は売り手市場が続いてきた職種のため、調剤薬局・病院・ドラッグストア・派遣と、いくつもの職場を経験している方が少なくありません。いざ履歴書を書こうとすると「職歴欄に入りきらない」「転職回数が多いのをどう見せればいいのか」と手が止まってしまいがちです。結論から言うと、職歴は省略せずすべて書き、書ききれない分は「まとめ書き」や「職務経歴書への委譲」で対応するのが正しい進め方です。
この記事では、複数の職歴を持つ薬剤師に向けて、職歴欄の正しい並べ方から、欄が足りないときの5つの対処法、派遣やパート・部署異動といったケース別の書き方までを、見本付きで解説します。履歴書の様式や年金・雇用保険の確認方法など、公的機関の情報は出典へのリンクを明記しています。履歴書全体の書き方や写真・資格欄については履歴書の書き方ガイドに譲り、ここでは職歴欄の書き方に絞ってまとめました。
この記事でわかること
- 複数職歴の基本の並べ方と「現在に至る」「以上」の使い分け
- 職歴欄が足りないときの5つの対処法
- 派遣・パート・部署異動・社名変更のケース別の書き方
- 転職回数が多い薬剤師の職歴の見せ方
薬剤師の職歴は原則すべて書く(複数職歴の基本ルール)
まず大前提として、履歴書の職歴は原則すべて記載します。転職回数が多くても、在籍期間が短くても、試用期間中に退職した職場でも、最終学歴以降の職歴は省略しないのが基本です。短期のつなぎのアルバイトを除き、経験した職場はすべて書きます。何年前の職歴であっても、この原則に例外はありません。古い職歴が多い場合は、省略ではなく後述する「まとめ書き」で行数を圧縮します。
「多いから」と職歴を省いてしまうと、入職後の社会保険の手続きなどで実際の職歴が判明し、経歴詐称と受け取られるおそれがあります。書ききれない場合は省略ではなく、後述する「まとめ書き」や「職務経歴書への委譲」で対応します。
薬剤師は職場が変わっても保険薬剤師の登録情報が引き継がれるため、実務上も職歴はごまかしにくい職種です。正直に全部書くことが、結果的にいちばん安全でスマートだと考えておきましょう。
職歴が多い薬剤師の基本の書き方(見本)
標準的な書き方は、1社につき「入社」と「退社」を別の行に記載する形です。まずは基本の並べ方を見本で確認しましょう。学歴を書き終えて1行空け、中央に「職歴」と記してから職歴を書き始めます。
職歴
令和2年4月 〇〇薬局株式会社 入社
令和4年3月 一身上の都合により退職
令和4年4月 医療法人〇〇会 〇〇病院 薬剤部 入職
令和6年5月 一身上の都合により退職
令和6年6月 株式会社〇〇ドラッグ 入社
令和6年6月 現在に至る以上
退職理由は原則「一身上の都合により退職」で問題ありません。契約期間の満了で退職した派遣・契約社員の場合は「契約期間満了により退職」と書きます。
「現在に至る」と「以上」の使い分け
2つの言葉は意味が異なります。「現在に至る」は、直前に書いた職場に今も在籍していることを表します。「以上」は、これで職歴の記載が終わりであることを示します。
- 在職中のまま転職活動をしている場合:最終職歴の次に「現在に至る」、その次の行の右側に「以上」(2つはセットで使う)
- すでに離職している場合:最終職歴の退職を書いた次の行の右側に「以上」のみ
- 退職日が決まっている場合:「現在に至る(令和〇年〇月末退職予定)」と補足する
行数が1行しか余らないときは、最終職歴のあとに「現在に至る」を左、「以上」を右に置いて同じ行にまとめても問題ありません。書き忘れがそのまま不採用につながることはありませんが、記載しておくほうが丁寧な印象になります。
職歴欄が足りないときの5つの対処法
職歴が多くて欄に収まらないときは、省略ではなく次の工夫で対応します。状況に応じて組み合わせて使いましょう。
① 入社・退社を1行にまとめる
標準は1社につき2行ですが、入社と退社を1行にまとめれば、必要な行数を半分に減らせます。この場合も会社名は正式名称のまま略しません。
令和2年4月 〇〇薬局株式会社 入社(令和4年3月 一身上の都合により退職)
② 職歴欄が広い様式を選ぶ
履歴書は様式によって職歴欄の行数が違います。職歴が多い場合は、学歴・職歴欄が広くとられた転職者向けの様式を選びましょう。日本産業規格の解説から履歴書の様式例が削除されたことを受け、厚生労働省が令和3年4月に新たに公表した様式例は、性別欄の任意化や通勤時間欄の廃止などとあわせて学歴・職歴欄も広めにとられており、転職回数の多い方にも向いています。表計算ソフトや文書作成ソフトのひな形を使えば、他の欄を詰めて職歴欄の行数を増やす調整もできます。
※出典:厚生労働省「履歴書の様式例の作成について」(令和3年4月16日 労働政策審議会安定分科会資料)
③ 職務経歴書に詳細を委譲する
履歴書は基本情報を確認するための要約書類なので、詳しい経歴は職務経歴書にまとめて構いません。履歴書には直近や応募先に関連する職歴を優先して書き、末尾に一文を添えます。
詳細については、添付の職務経歴書をご参照ください。
薬剤師の場合、処方箋の応需枚数・診療科・薬剤師数・管理薬剤師や一人薬剤師の経験といった具体的な実績は、職務経歴書のほうがしっかり書けます。履歴書の職歴欄は会社名と入退社の事実に絞り、中身は職務経歴書に集約すると読みやすくなります。
④ 古い・同業種の職歴はまとめ書きする
古い職歴や同じ業種の短期経験は、数社分を1行にまとめる方法があります。全体像を示しつつ、直近の重要な職歴にスペースを割けます。
平成〇年〇月〜平成〇年〇月 調剤薬局3社にて調剤・服薬指導業務に従事
⑤ 派遣・パートは正社員と分けてまとめる
正社員の職歴と、派遣・パートの職歴を分けて記載すると、経歴が伝わりやすくなります。派遣やパートの短期経験は、同種のものをまとめて書いてもよいでしょう。
手書きで職歴が多いときは、いきなり清書せず必ず下書きでレイアウトを確認してください。「あと1行足りない」で書き直しになるのは本当にもったいないです。行数に不安があるなら、最初から職歴欄が広い様式を選ぶのが一番の近道です。
ケース別の職歴の書き方(派遣・パート・部署異動・社名変更)
薬剤師のキャリアで起こりやすいケースごとの書き方をまとめました。
本文で応募先を指すときは、病院・クリニックなら「貴院」、調剤薬局やドラッグストアの法人なら「貴社」を使い分けると丁寧です。
転職回数が多い薬剤師の職歴の見せ方
薬剤師は人材の需要が高く、転職回数が多くても採用の可能性は十分にあります。とはいえ、書き方を工夫すると印象はさらに良くなります。ポイントは一貫性と正直さです。
- キャリアの筋を通す。「在宅医療の経験を広げるため」「専門性を高めるため」など、転職の背景に一本の軸があると、回数そのものより成長の過程として伝わりやすくなります
- 短期離職は簡潔に補足する。在籍が1年未満の職場が続くと理由を尋ねられやすいので、詳しい説明は職務経歴書や面接で前向きに伝えます
- 直近と応募先に関連する経験を厚めに。まとめ書きで古い職歴を圧縮し、応募先で活きる経験にスペースを割きます
やってはいけないこと
- 不利だからと職歴を省く。社会保険の手続きなどで発覚し、経歴詐称と受け取られるリスクがある
- 在籍期間を改ざんする。年金記録などと照合すれば食い違いが判明する
- 転職理由をすべてネガティブに書く。不満だけが並ぶと定着性を不安視される。前向きな表現に変換する
転職回数が合否にどう影響するか、面接でどう説明するかは、それぞれ専用の記事で掘り下げています。この記事では「職歴欄に事実を正しく・見やすく並べる」ことに集中してください。並べ方が整っているだけで、印象はぐっと良くなります。
よくある質問
まとめ
複数の職歴を持つ薬剤師の履歴書は、事実を正しく・見やすく並べることが何より大切です。書ききれないときも省略ではなく、まとめ書きや職務経歴書への委譲で対応します。
- 職歴は原則すべて記載。時系列・正式名称・和暦西暦統一が基本
- 在職中は「現在に至る」+「以上」、離職中は「以上」のみ。行が足りなければ1行にまとめてよい
- 欄が足りないときは、入退社の1行化・職歴欄が広い様式(令和3年公表の厚労省様式例)・職務経歴書への委譲・まとめ書き・正社員と派遣パートの分離で対応
- 派遣は派遣元、社名変更は旧社名と現社名を併記。転職回数が多くても一貫性と正直さで前向きに見せる
履歴書全体の書き方は履歴書の書き方ガイドで、職務経歴書の詳しい書き方は職務経歴書の書き方ガイドでそれぞれ解説しています。あわせて確認してみてください。
この記事で参照した主な公的情報
- 厚生労働省「履歴書の様式例の作成について」(令和3年4月16日 労働政策審議会安定分科会資料)
- 日本年金機構「ねんきんネット」(厚生年金の加入期間・事業所名の確認)
- ハローワーク「雇用保険被保険者証について」(雇用保険の加入期間の確認)
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。履歴書の様式や書き方の慣習は変わることがあり、応募先から指定がある場合はその指示を優先してください。

