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この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「薬剤師って副業していいの?」「ダブルワークと副業って何が違うの?」。こんな疑問を持つ薬剤師が増えています。
結論から言うと、一般の薬剤師であれば副業・ダブルワークは基本的に可能です。ただし、管理薬剤師は薬機法、公務員薬剤師は公務員法で制限があり、就業規則の確認も必須です。さらに、薬剤師として2か所で雇われる場合は労働時間が通算されるという、見落とされがちなルールもあります。
この記事では「副業できるかどうかの確認方法」から「おすすめの副業7選」「税金・社会保険・労働時間のルール」「ダブルワーク求人の探し方」まで、厚生労働省と国税庁の資料をもとに整理しました。
📋 この記事でわかること
- 「副業」と「ダブルワーク」の違い
- 副業できる薬剤師・できない薬剤師(管理薬剤師・公務員の法的制限)
- 就業規則で禁止されている場合、どこまで制限が認められるのか
- 薬剤師の資格を活かせるおすすめ副業7選と、資格不要の在宅副業3選
- 労働時間の通算・確定申告・社会保険という3つの落とし穴
- ダブルワーク求人の効率的な探し方
「副業」と「ダブルワーク」の違いを整理する
この2つは似ているようで、法律上の扱いが大きく異なります。記事を読む前に整理しておきましょう。
この違いは、単なる言葉づかいの問題ではありません。雇用契約を結ぶダブルワークでは、労働基準法の労働時間の通算というルールが適用されます。一方、業務委託で受ける副業には、このルールは適用されません。後ほど詳しく解説します。
私の周りの薬剤師は「副業」と「ダブルワーク」を混同して話していることが多いです。薬剤師の場合はダブルワーク(薬剤師として複数の職場で働く形)が最も手っ取り早く収入を増やせる方法ですが、業務委託の副業として別の分野に挑戦するのも長期的なキャリア形成には有効です。目的で選ぶのがいいと思います。
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まず確認|副業・ダブルワークができる人・できない人
薬剤師の副業は一般的には認められていますが、職種・立場によって法律や規則で制限されているケースがあります。自分がどのケースに当てはまるか、必ず先に確認してください。
❌ 副業・ダブルワークが制限されるケース
就業規則で禁止されていれば、絶対にできない?
ここは正確に理解しておく価値があります。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、裁判例上、企業が副業・兼業を制限できるのは限られた場合であるとされており、就業規則の規定を拡大解釈して必要以上に制限しないよう適切な運用を求めています。
モデル就業規則が制限を認めている場面として示されているのは、おおむね次のような場合です。
- 労務提供上の支障がある場合(長時間労働で本業に影響が出るなど)
- 企業秘密が漏えいする場合
- 会社の名誉や信用を損なう行為、信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により、会社の利益を害する場合
とはいえ、規定の解釈をめぐって職場と争うのは現実的な選択とは言えません。まずは就業規則を確認し、届出制なら正面から届け出るのが、結果として長く続けられる進め方です。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定・令和4年7月改定)
✅ 副業・ダブルワークがしやすいケース
- 民間の調剤薬局・ドラッグストアに勤務する一般の薬剤師
- 管理薬剤師の立場ではない薬剤師(就業規則で認められている職場)
- パート・派遣契約で働いており、契約上の制限がない薬剤師
- 管理薬剤師でも、薬事の実務にあたらない仕事(記事執筆・講師など)を選ぶ場合
管理薬剤師だから絶対ダメ、と思い込んでいる薬剤師が多いのですが、薬機法が制限しているのは「薬事に関する実務」です。記事執筆や講師業なら、この条文には引っかかりません。逆に、他店舗での調剤のヘルプは薬事の実務そのものなので、兼務の許可が必要になります。ここを混同しないでください。
薬剤師の資格を活かせるおすすめ副業7選
薬剤師の最大の武器は国家資格です。資格を活かすことで、一般的な副業より高い単価で働けます。おすすめの7つを比較表と詳細で解説します。なお、報酬水準は案件や地域によって幅が大きいため、公的統計で確認できるもの以外は具体的な金額を示していません。
① パート・派遣薬剤師(ダブルワーク)
薬剤師の副業として最も手軽で収入効率が高いのが、別の薬局・ドラッグストアでのパート・派遣です。週1回・月数回など柔軟なシフトで入れる求人が多いのが特徴です。
報酬水準の目安として、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査では、短時間労働者にあたる薬剤師の1時間当たり所定内給与額は2,540円となっています。実際の時給は地域・時間帯・急募かどうかで大きく変わりますが、一つの基準として使えます。
- 単発のスポット案件なら1日だけ試すこともできる
- 土日・祝日の案件が多く、本業の休日を活用しやすい
- 慣れた業務なので負荷が読みやすく、続けやすい
- 雇用契約なので労働時間が通算される点に注意(後述)
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
② 在宅薬剤師(訪問薬剤師)
在宅医療に対応する薬局で、患者宅を訪問して薬の管理・服薬支援を行う仕事です。経験そのものが本業でのスキルにもなるのが利点です。
- 訪問の予定に合わせて働くため、スケジュールを組みやすい場合がある
- 在宅の経験は、本業での転職の際にも評価されやすい
- 患者の状態変化に責任を持つ場面が多く、単発では入りにくいこともある
③ 学校薬剤師
小中学校・高校などに委嘱される役職で、年数回の環境衛生検査や健康教育が主な業務です。管理薬剤師が兼務する場合も都道府県知事の兼務許可が必要ですが、自治体の取扱要領で申請類型として明記されており、許可を得やすい代表例とされています。
- 地域の薬剤師会を通じて委嘱を受けるケースが多い
- 業務頻度が少なく、本業への影響が小さい
- 報酬は自治体が定めるため地域差が大きい。社会貢献の意味合いが強い
④ 専門学校・薬剤師国家試験予備校の講師
専門学校や予備校で薬学知識を教える仕事です。薬事の実務にはあたらないため、管理薬剤師でも兼務許可なく取り組めるのが大きな利点です。
- 授業準備に時間がかかるため、最初は時間あたりの効率が下がりやすい
- 定期の担当より、単発の特別講義から始めるほうが負担が軽い
- 教えることで自分の知識が整理されるという副次的な効果がある
⑤ 記事執筆・医療記事の監修
医療・薬学に関する記事の執筆や監修を行う仕事です。クラウドソーシングのサービスや、医療系メディアの募集から案件を探せます。在宅・隙間時間で始めやすく、管理薬剤師でも取り組める副業として人気があります。
- 薬剤師の監修は信頼性の裏づけとして求められやすく、単価が上がりやすい
- 最初は低単価でも、実績を積むほど条件を交渉しやすくなる
- 監修者として実名を出すかどうかは、事前に条件を確認しておく
⑥ 医薬品・治験関連の翻訳
英語の添付文書・治験資料・学術論文などを翻訳する仕事です。薬学の専門知識と語学力の両方を持つ人材は希少なため、条件のよい案件に出会える可能性があります。
- 実務的な読解力が求められるため、参入のハードルは高め
- 翻訳会社への登録やトライアル受験から始めるのが一般的
- 納期の管理が厳しく、本業との両立には計画性が必要
⑦ 健康セミナー・講演
薬の飲み合わせや健康管理に関するセミナーを、地域の団体や企業、学習プラットフォームなどで開催する副業です。
- 集客に時間がかかるが、実績が積み上がると依頼を受ける側になれる
- 個別の相談に応じる場合、診断にあたる行為は行えない点に注意する
- 薬機法上の広告規制にも配慮が必要(効果を断定する表現は避ける)
「すぐに収入を増やしたい」ならパート・派遣のダブルワーク、「将来の選択肢を広げたい」なら執筆やセミナーが合っていると思います。私自身も執筆系の副業を経験しましたが、最初は単価が低くても、薬剤師資格があると信頼されやすく、条件が上がるのは早かったです。
薬剤師資格不要で始められる在宅副業3選
薬事の実務は避けたい、在宅でできる副業を探しているという方向けに、資格が不要で薬剤師でも取り組みやすい選択肢を紹介します。いずれも管理薬剤師の兼務許可は不要です。
資格不要の副業は「すぐには稼げない」ものが多いですが、長期で見ると薬剤師という専門性が差別化につながります。発信を通じてキャリアの幅が広がった薬剤師を何人も知っているので、興味がある方は長い目で始めてみてほしいです。ただし、患者さんの情報は絶対に出さないこと。ここだけは徹底してください。
副業・ダブルワークの始め方4ステップ
「やってみたいけど何から始めればいい?」という方向けに、正しい順番で解説します。
ステップ1の就業規則確認が一番大事で、ここを飛ばして始めてしまう人が多いです。確認するだけなら5分でできるので、必ず最初にやってください。届出制なら正面から届け出たほうが、あとあと気が楽です。
見落とし注意|労働時間・税金・社会保険の3つのルール
副業を始めてから戸惑いやすいのが、この3つです。とくに1つ目は、薬剤師のダブルワークで頻繁に問題になります。
① 雇用されるダブルワークでは労働時間が通算される
これが最大の落とし穴です。労働基準法第38条第1項は「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と定めており、行政解釈ではこの「事業場を異にする場合」に事業主を異にする場合も含まれるとされています。
つまり、本業の薬局で1日8時間働いた日に、別の薬局で3時間働けば、その3時間はまるごと法定時間外労働の扱いになります。この場合、後から労働契約を結んだ側の職場に、36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要になります。
通算の考え方(厚生労働省ガイドライン)
- 所定労働時間は、先に労働契約を結んだ職場から順に通算する
- 所定外労働時間は、実際に行われた順に通算する
- 通算の結果、1日8時間・週40時間を超える部分は法定時間外労働になる
- 職場が労働時間を把握するのは、本人からの自己申告による
実務上、副業先に「本業でどれだけ働いているか」を正しく申告する必要があるということです。申告を怠ると、副業先が知らないうちに法違反の状態になってしまいます。なお、業務委託で受ける執筆や翻訳は雇用契約ではないため、この通算の対象外です。
もう一つ大切なのが健康です。労働契約法第5条の安全配慮義務は、副業・兼業を行う労働者を使用するすべての使用者が負っています。同ガイドラインでも、全体としての業務量や時間が過重であることを把握しながら配慮しないまま健康に支障が生じた場合が、問題となりうる例として挙げられています。無理のない範囲に抑えることは、自分を守ることでもあります。
出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説」
② 確定申告の「20万円」は、副業の形で判定が変わる
よく「副業20万円まで申告不要」と言われますが、副業が給与かどうかで判定の中身が変わります。国税庁の説明を整理すると次のとおりです。
ここが重要です。ダブルワークの場合は経費を引く前の「収入」で判定されるため、20万円のラインに達するのが早くなります。時給2,500円なら、年間80時間ほど働けば超える計算です。
また、20万円の特例はあくまで所得税の話であり、住民税にはこの特例がありません。所得税の申告が不要な場合でも、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要になることがあります。
出典:国税庁タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
③ 社会保険は「2か所勤務」の届出が必要になることがある
副業先でも社会保険の加入要件を満たす場合は、副業先でも加入することになり、年金事務所に「二以上事業所勤務届」を提出します。保険料は2か所の報酬を合算した標準報酬月額をもとに計算され、各職場の報酬額に応じて按分されます。
短時間労働者の加入要件は、現在おおむね次のとおりです。
- 従業員数51人以上の特定適用事業所に勤務していること
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 月額賃金が8万8千円以上であること
- 2か月を超える雇用の見込みがあること
- 学生でないこと
週1回程度の勤務でこれらを下回るなら、副業先での加入は不要です。ただし、2025年に成立した年金制度改正法により、月額賃金の要件は撤廃され、企業規模の要件も段階的になくなっていく予定です。今後は少ない勤務時間でも加入対象になる人が増えていきます。具体的な扱いは、勤務先または年金事務所にご確認ください。
労働時間の通算は本当に知られていません。「休みの日に別の薬局で働くだけ」と思っていても、週の合計が40時間を超えれば時間外労働です。副業先の面接では、本業の勤務日数と時間を最初に伝えておきましょう。あとから発覚すると、相手にも迷惑がかかります。
副業を職場に知られたくないときに知っておくこと
最初にはっきりお伝えしておきます。就業規則で禁止されているのに隠して副業を行うことは、おすすめできません。発覚すれば懲戒処分の対象になりうるうえ、隠し続ける負担も小さくありません。前述のとおり、企業が副業を制限できる範囲は限られているので、まずは正面から相談する道を探ってください。
そのうえで、仕組みとして知っておくべきことを整理します。副業の存在が職場に伝わる経路として最も多いのは住民税です。
一番現実的なのは「就業規則を確認して、認められる範囲でやる」ことです。隠すために気を使い続けるより、届け出て堂々とやるほうがストレスなく続けられます。どうしても現職で認められないなら、副業を認めている職場へ移るという選択肢もあります。
ダブルワーク向け薬剤師求人の効率的な探し方
パート・ダブルワーク系の副業を探す場合、薬剤師専門の転職支援サービスへの登録が最も効率的です。単発や週1回からなど柔軟な求人を、非公開のものを含めて紹介してもらえます。
相談する際は、「本業がある前提で、週◯回・◯時間まで」と最初に伝えるのがコツです。労働時間の通算があるため、条件を先に共有しておくと双方にとって話が早くなります。
よくある質問
まとめ|薬剤師の副業・ダブルワーク
✅ この記事のまとめ
- 一般の薬剤師の副業は基本的に可能。管理薬剤師は薬事の実務について都道府県知事の兼務許可が必要
- 公務員薬剤師は任命権者の許可が必要
- 就業規則の確認が最初の一歩。ただし企業が制限できる範囲は限られている
- 収入効率が高いのはパート・派遣。短時間労働者の薬剤師の1時間当たり所定内給与額は2,540円(令和7年賃金構造基本統計調査)
- 管理薬剤師でも取り組める副業:記事執筆・監修・講師・翻訳・セミナーなど
- 雇用されるダブルワークでは労働時間が通算される。副業先への正しい申告が必須
- 確定申告の20万円は、給与か業務委託かで判定の中身が変わる
- ダブルワーク求人は薬剤師専門の転職支援サービスへの相談が最も効率的
薬剤師は国家資格という強い武器を持っているため、副業・ダブルワークで得られる収入は高くなりやすい職種です。まずは就業規則の確認から始め、労働時間と体力に無理のない範囲で、自分の目的に合った形を選んでみてください。
ダブルワーク向けのパート・派遣求人を探すなら、薬剤師専門の転職支援サービスへの登録から始めるのが近道です。転職のメリット・デメリットも合わせて確認しておきましょう。
ダブルワーク・副業求人を探したい方へ
週1回から・単発の求人も相談できます。相談は無料です。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。法律・就業規則・報酬制度は変更される場合があります。副業を始める前に必ず最新の情報と就業規則をご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、税務・法務・投資に関する個別の助言ではありません。具体的な取り扱いは、税務署・年金事務所・労働局などの窓口や専門家にご確認ください。
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