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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「薬剤師は男女で年収に差があるの?」「あるとしたら、なぜ?」。統計を見ると、たしかに男女の平均年収には差があります。ただ、その中身を分解すると、資格や能力の違いではなく、年齢構成や役職、キャリアの積み方の違いから生まれていることが見えてきます。
結論から言うと、厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から算出すると、男性薬剤師の平均年収は約605.7万円、女性は約539.4万円で、差は約66万円です。この差は20代ではほとんどなく、30代後半から広がって、50代後半には約139万円に達します。
この記事では、最新の統計で見る男女差の実態、差が生まれる理由、年代別の広がり方、差を縮めるためにできることを、現役薬剤師の目線で整理しました。
- 令和7年の統計で見る薬剤師の男女の年収差(月給・賞与・勤続年数まで)
- 男女差が生まれる4つの理由と、統計を読むときの注意点
- 年代別に見た男女差の広がり方
- 差を縮めるために個人でできることと、2025年からの両立支援の制度
薬剤師の男女の年収差の実態
令和7年賃金構造基本統計調査(職種・性・年齢階級別、10人以上の事業所)の薬剤師の値から、「きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額」で年収を算出しました。
年収の差約66万円のうち、月給の差を12か月分にした約55万円が大部分を占め、賞与の差は約12万円です。月々の給与の段階で差がついていることが分かります。
差があるとはいえ、国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査では、給与所得者全体の平均給与は男性約587万円、女性約333万円でした。パートを含む数字なので単純には比べられませんが、女性薬剤師の年収は、他の職種の女性と比べて高い水準にあります。薬剤師全体の年収は職場別・年代別の薬剤師の年収で解説しています。
「約66万円の差」と聞くと大きく感じますが、これは全国の平均どうしを比べた数字です。同じ職場で同じ役職、同じ勤続年数なら、男女で給与表が変わることは基本的にありません。平均に差が出る理由を知っておくと、数字に振り回されずにすみます。
なぜ男女で年収差が生じるのか
統計から読み取れる理由と、一般的に指摘されている背景を4つに整理します。
なお、この統計の「一般労働者」には、所定労働時間が短いパートや時短勤務の人は含まれていません。つまり、フルタイムで働く人どうしで比べても、男女差は存在するということです。差の大きな要因は、働く時間の長さそのものより、勤続年数や役職など、キャリアの積み上がり方の違いにあると考えられます。
管理薬剤師の打診が来るのは、30代前半から半ばが多いと感じます。ちょうど出産や育児の時期と重なるため、打診を見送る女性薬剤師は少なくありません。その選択自体は大切なものですが、見送った数年の差が、50代の年収差として積み上がっていくことは知っておいてほしいと思います。
年代別に見る男女差の広がり方
年代別に見ると、男女差は一定ではなく、年齢とともに大きく変わります。
差は25〜29歳では約20.6万円と小さいものの、35〜39歳で約110.4万円に広がり、55〜59歳では約138.9万円と最も大きくなります。男性は55〜59歳まで年収が伸び続けるのに対し、女性は45〜49歳の約644.3万円が最も高く、その後は横ばいから緩やかに下がるためです。
女性の割合を見ると、25〜29歳では61%、50〜54歳では75%が女性です。薬剤師の現場を支える中心は女性であり、女性のキャリアが途切れずに続く職場かどうかが、年収にも働きやすさにも直結します。年代別の詳しい傾向は年代別の平均年収をご覧ください。
40代後半で女性の年収がピークを迎えるのは、子育てが一段落してフルタイムや責任ある役割に戻る人が増えるためだと考えられます。薬剤師は資格があるので、ブランクがあっても戻りやすい職業です。30代の数年間で差がついても、その後の選択次第で取り戻す余地は十分にあります。
男女の年収差を縮めるためにできること
個人でできること
2025年から広がった両立支援の制度
育児・介護休業法の改正により、2025年4月からは子の看護等休暇の対象が小学校3年生の修了までに、残業免除を請求できる対象が小学校就学前の子を養育する労働者に広がりました。2025年10月からは、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に向けて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置を5つのうち2つ以上講じることが義務になっています。
制度が整っても、実際に使えるかどうかは職場次第です。転職先を選ぶときは、制度の有無ではなく、直近で何人が育休や時短を使い、復帰後も働き続けているかを確かめましょう。具体的な確認の仕方は女性薬剤師が転職した体験談、女性の年収の全体像は女性薬剤師の平均年収で解説しています。
年収差を縮めるいちばんの近道は、長く働き続けられる職場を選ぶことです。育児中の薬剤師が何人いて、その中に管理薬剤師がいるかを聞いてみてください。その答えが、その職場で女性がキャリアを積めるかどうかの、何よりの証拠になります。
よくある質問
まとめ
薬剤師の男女の年収差について、要点を整理します。
- 令和7年の統計では、男性約605.7万円、女性約539.4万円で、差は約66万円
- 差の大部分は月給の差。勤続年数・役職・年齢構成・キャリアの中断が主な理由
- 差は20代ではほぼなく、30代後半から広がり、55〜59歳で約139万円に達する
- 役職への挑戦と、勤続を途切れさせない職場選びが、差を縮める近道
男女の年収差は、個人の能力ではなく、キャリアの積み方の違いから生まれています。自分に合った働き方を選びつつ、長く働き続けられる職場を見つけることで、差は小さくしていけます。

