この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「愛媛で薬剤師として働きたい」「地元の愛媛にUターンして転職したい」と考える人は少なくありません。愛媛県は、県庁所在地の松山市に薬剤師と求人の両方が集中する一方、松山市を離れると条件が変わるのが特徴です。この構図を理解しておくことが、後悔しない転職につながります。
この記事では、愛媛の薬剤師転職市場の特徴、年収の傾向、働くメリットと注意点、エリア別の傾向、転職を成功させるポイントを、現役薬剤師の目線で整理します。愛媛での転職を考えるときの判断材料にしてください。
この記事でわかること
- 愛媛は薬剤師数がやや多め、薬局数はやや少なめという需給の構図
- 松山市に薬剤師と求人が集中し、郊外の方が年収が高めに出やすい理由
- 松山市・東予・南予それぞれの求人の傾向
- 愛媛で自分に合う職場を選ぶための考え方
愛媛県の薬剤師転職市場の特徴
愛媛の薬剤師転職を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「薬剤師数はやや多めだが、薬局数は少なめ」という点です。厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、愛媛県の人口10万人あたり薬剤師数は203.9人で全国12位。全国平均の202.6人をわずかに上回っています。一方、人口10万人あたり薬局数は48.3施設・全国36位で、全国平均の49.9施設を下回っています。
薬学部は1校あるが、松山市に薬剤師が集中
愛媛県内には薬学部のある大学が1校あります。県全体で見ると薬剤師の数自体は少なくありませんが、その多くが松山市に集中しているのが実情です。求人も松山市に多く出る一方、松山市を離れるほど薬剤師が手薄になる傾向があります。
松山市は求人が多いが、年収は全国平均以下になりやすい
松山市は求人数が最も多いエリアですが、薬剤師も集まりやすいため、年収は県内では控えめになりがちです。ある調査では、松山市の平均年収は全国平均を下回る一方、今治市など松山市以外の主要都市は全国平均を上回る結果が示されています。「求人の多さ」と「年収の高さ」が必ずしも一致しないのが、愛媛の特徴です。
| 人口10万人あたり薬剤師数 | 203.9人・全国12位(全国平均202.6人) |
| 人口10万人あたり薬局数 | 48.3施設・全国36位(全国平均49.9施設) |
| 需給の傾向 | 薬剤師数はやや多め、薬局数は少なめ。松山市に集中 |
| 県内の薬学部 | 1校 |
| 年収の傾向 | 調査によって幅がある。松山市は控えめ、郊外は高めとする調査が目立つ |
※人口10万対薬剤師数・薬局数は厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」「令和4年度衛生行政報告例」による。年収など他の数値は各社の公開データをもとにした傾向で、調査・時点・集計方法によりばらつきがあります。最新の状況は求人ごとにご確認ください。
愛媛は「県全体では薬剤師は少なくないのに、松山市に集まりすぎている」というのが本質です。松山市にこだわらなければ、条件のよい求人に出会える可能性が広がりますよ。
愛媛の薬剤師年収の傾向
愛媛の薬剤師年収は、調査によって示される水準に幅があります。ある調査では全国平均をやや上回る水準(全国23位前後)とされる一方、別の調査では全国平均を大きく下回る水準(全国37位前後)とされることもあります。共通しているのは、県庁所在地の松山市より、松山市以外の都市の方が年収が高めに出やすいという傾向です。
年収の傾向を左右する背景
- 松山市に薬剤師が集中/松山市は薬剤師が集まりやすく、年収は県内では控えめに出ることがある
- 郊外は薬剤師が手薄/今治市・四国中央市など松山市以外の都市では、人材確保のため条件が高めになる傾向がある
- 労働時間が影響しているとの指摘もある/月間労働時間が全国平均より長い年があり、年収が労働時間の長さで押し上げられている可能性も指摘されている
年収の数字は調査によって幅があります。全国上位とする調査もあれば、全国平均を下回るとする調査もあります。ひとつのランキングを鵜呑みにせず、求人票で労働時間や手当を含めた実質の条件を確認するのが確実です。
「年収が高い=労働時間が長い」というケースもあるので、愛媛で高年収の求人を見つけたら、額面だけでなく残業時間もセットで確認することをおすすめします。
愛媛で薬剤師として働くメリット
松山市集中という愛媛の特徴は、視点を変えれば働く側にとってのメリットにもなります。
愛媛で働くメリット
- 松山市は求人数が多く選択肢が豊富/都市機能が集中し、調剤薬局・病院・ドラッグストアと幅広い選択肢がある
- 郊外なら好条件の求人が出やすい/今治市・四国中央市など、松山市以外は年収が高めの求人が見られる
- 瀬戸内の温暖な気候/台風や豪雪の影響が少なく、比較的穏やかな気候で暮らせる
- 研修・スキルアップ支援がある/愛媛県薬剤師会が実務実習や多職種連携研修などの施策を行っている
- 生活コストを抑えやすい/地方のため家賃・物価が都市部より抑えやすい
松山市は求人の選択肢が豊富なので、まずは松山市内でじっくり比較するのもよい方法です。年収を重視するなら、通勤圏を少し広げて郊外の求人も見てみると選択肢が増えます。
愛媛で働く前に知っておきたい注意点
メリットがある一方で、愛媛ならではの注意点もあります。事前に知っておけば、入職後のギャップを防げます。
愛媛で働くときの注意点
- 松山市は年収が控えめなことも/求人が多い反面、薬剤師も集まりやすく年収は県内では低めに出ることがある
- 高年収求人は残業が多いこともある/年収の高さが労働時間の長さによるケースもあるため、求人票をよく確認する
- 郊外は車通勤が前提/松山市の中心部以外は、マイカー通勤が基本になる職場が多い
- 年収は調査でばらつく/全国上位とする調査もあれば下位とする調査もあり、額面だけで判断しない
「松山市を出れば年収が上がる」と単純に考えるのではなく、なぜその求人の年収が高いのか(人手不足なのか、残業が多いのか)を確認してから決めることが大切です。
愛媛県の地域別の傾向
愛媛県内は、松山市を中心とした中予、今治市を中心とした東予、宇和島市を中心とした南予に大きく分けられます。エリアごとの傾向を整理します。
松山市・中予(求人が多いが年収は控えめなことも)
県庁所在地の松山市は、求人数がもっとも多いエリアです。調剤薬局・病院・ドラッグストアと選択肢が幅広い一方、薬剤師も集まりやすいため、年収は県内では控えめになりがちです。ある調査では、松山市の平均年収は全国平均を下回る結果も出ています。都市部の利便性を重視する人に向いています。
今治市・四国中央市・新居浜市(東予)
今治市・四国中央市・新居浜市など東予エリアは、松山市と比べて薬剤師が手薄になりやすい地域です。ある調査では、四国中央市が県内トップの年収水準とされており、今治市も含めて全国平均を上回る結果が示されています。年収を重視するなら注目のエリアです。
宇和島市・八幡浜市(南予)
宇和島市・八幡浜市など南予エリアも、松山市から離れるほど薬剤師の不足傾向が強まる地域です。求人の数は限られますが、地域医療を支えたい人や、落ち着いた環境で働きたい人には選択肢のあるエリアです。
愛媛は「暮らしやすさ重視」なら松山市、「年収重視」なら東予、という選び方が基本です。松山市に固執せず、少しエリアを広げてみると選択肢が変わってきますよ。
愛媛で転職を成功させるポイント
① 松山市にこだわらず東予・南予も視野に入れる
松山市内は薬剤師が集まりやすく年収が控えめに出ることもあるため、年収を重視するなら今治市や四国中央市など東予エリアまで視野を広げるのがコツです。薬剤師が手薄なこれらの地域では、条件のよい求人が出やすくなります。
② 年収だけでなく労働時間もあわせて確認する
愛媛の高年収求人は労働時間の長さが影響しているケースもあるため、年収の額面だけでなく、月間の残業時間や休日数まで含めて比べることが重要です。求人票に記載がない場合は、面接や問い合わせで実際の残業実態を確認しましょう。
③ 複数の求人を比較して相場感をつかむ
愛媛は年収の調査結果に幅が大きいからこそ、実際の求人を複数比較することが特に重要です。同じ松山市内・同じ職種でも条件に差が出ることは珍しくないため、比較検討を丁寧に行うことが、愛媛の相場感をつかんで良い求人を見分ける近道になります。
なお、愛媛以外の四国エリアも視野に入れて検討したい方は、四国エリアの薬剤師転職ガイドもあわせてご覧ください。
地方は求人数そのものが都市部より少ないぶん、1つの情報源だけだと選択肢が偏りがちです。複数の求人サイトを見比べて、同じ愛媛の求人でも出てくる条件を比較すると、相場と良い求人の見分けがつくようになりますよ。
よくある質問
まとめ
愛媛県の薬剤師転職のポイントを整理します。
- 愛媛は人口10万人あたり薬剤師数203.9人(全国12位)とやや多めだが、薬局数は48.3施設(全国36位)とやや少なめ
- 薬剤師の多くが松山市に集中し、松山市は求人が多い反面、年収は県内では控えめになりやすい
- 今治市・四国中央市など東予エリアは薬剤師が手薄で、年収が高めに出やすい
- 高年収求人は労働時間の長さが影響していることもあるため、条件は総合的に確認する
- 松山市と郊外で年収の出方が違うため、複数の求人を比較するとよい
愛媛での転職は、松山市集中という背景を理解したうえで、自分の優先順位に合った職場を選ぶことが大切です。都市の利便性を取るか、郊外の条件を取るか、自分の希望を整理して転職活動を進めていきましょう。
※本記事の情報は2026年8月時点のものです。人口10万対薬剤師数・薬局数は厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」「令和4年度衛生行政報告例」を参照しています。求人状況や年収は時期・調査により変動するため、最新の内容は各求人でご確認ください。

