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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
結論から言うと、香川県は「薬剤師も薬局も全国平均より多い充足県で、勤務時間は全国より月16時間短い。ただし年収データは調査年で大きく振れる」という3点で特徴づけられる県です。厚生労働省の薬剤師偏在指標でも、香川の地域全体の指標は1.00と全国の0.99を上回っています。
全国でいちばん面積の小さい県ということもあり、県内のどこに住んでも通勤圏を広く取れるのが香川の強みです。この記事では、公的統計をもとに香川の転職市場を数字で読み解き、どう職場を選べばよいかまで整理します。
この記事でわかること
- 香川県の薬剤師の年収・薬剤師数・薬局数の最新データと出典
- 年収ランキングが1年で12位から42位に動いた理由と、正しい読み方
- 月間勤務時間が全国より16時間短いという働きやすさの実データ
- 四国4県での位置づけ、エリア別の傾向、待遇を上げるコツ
香川県の薬剤師転職データ早見表
まず、香川県の薬剤師をとりまく数字を全国と並べて確認します。いずれも公的統計、または公的統計をもとに算出された数値です。
出典:年収・月間勤務時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」および「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(勤務時間は令和6年分)/薬剤師数は厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者(人口10万対)および届出薬剤師総数/薬局数は厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」/偏在指標は厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標
香川でいちばん注目してほしいのは月間勤務時間151時間という数字です。全国平均より16時間も短い。これは1日あたりに直すと45分ほど早く帰れている計算になります。年収の数字よりも、こちらのほうが日々の暮らしに効いてきます。
年収データは調査年で大きく振れる
1年で全国12位から42位へ
同じ厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした集計で、香川県の薬剤師の平均年収は次のように動いています。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を加算)
1年で102万円下がり、順位は12位から42位へ。香川の薬剤師の給与が実際に急落したという話ではありません。統計の性質によるものです。
平均年齢が1年で19.6歳も動いている
注目すべきは平均年齢です。令和6年調査では57.7歳、令和7年調査では38.1歳。1年で19.6歳も動いています。実態としてこんな変化は起こりえないので、調査対象に入った事業所の顔ぶれが入れ替わったと考えるのが自然です。
背景にあるのは標本の少なさです。香川県の届出薬剤師は2,410人と規模が小さく、賃金構造基本統計調査は抽出調査のため、母集団が小さい県ほど、たまたま調査対象になった職場の年齢構成で平均値が大きく動きます。ベテラン中心の年は高く、若手中心の年は低く出るというわけです。
香川の年収はどう判断すればよいか
結論としては、香川の都道府県別年収ランキングは判断材料にしないのが正解です。単年の順位を根拠に「香川は稼げる」「香川は安い」と決めつけると、どちらの方向にも大きく外します。
代わりに使うべきなのは、実際に募集されている求人の提示額です。香川は県内が狭く、県内全域の求人を現実的に比較できるという他県にない利点があります。3社から5社を並べて、基本給・賞与・手当を足した年間の実額で比べれば、統計より確実に自分の相場がわかります。
都道府県別の年収ランキングは、人口の少ない県ほど当てになりません。香川はその典型です。ランキングを見るのは楽しいですが、転職の判断は目の前の求人票でしてください。
勤務時間の短さは公的統計でも確認できる
月間勤務時間151時間、全国より16時間短い
令和6年賃金構造基本統計調査をもとにした集計では、香川県の薬剤師の月間勤務時間は151時間で、全国の167時間より16時間短いという結果でした。所定内実労働時間と超過実労働時間を合わせた数字なので、残業まで含めた実労働時間の比較です。
月16時間の差は、1日あたりおよそ45分。定時に帰れる日が多いかどうかは、この程度の差で体感が大きく変わります。香川で語られる「働きやすい」という評判には、公的統計の裏づけがあるということです。
背景にあるのは「充足県」という構図
厚生労働省は、薬剤師の需給を地域ごとに比較するための「薬剤師偏在指標」を公表しています。数値が1.0より小さいほど業務量に対して薬剤師が足りず、大きいほど足りている状態を意味します。四国4県で並べると次のとおりです。
出典:厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標(都道府県別)。全国の地域全体は0.99
香川の薬局薬剤師の指標1.09は全国の1.08を上回り、四国4県では最も高い水準です。薬剤師が足りている分だけ1人あたりの業務が分散しやすく、それが勤務時間の短さにつながっていると考えるのが自然です。
一方、病院薬剤師の指標は0.78で全国の0.80をわずかに下回ります。香川は「薬局は足りている、病院はやや手薄」という県です。将来時点の推計では薬局1.32、病院0.85まで上がる見通しが示されており、この傾向は長期的にも続くと国は見ています。
香川は「薬局志望なら競争、病院志望なら比較的入りやすい」県です。年収を優先するなら病院を含めて探し、働きやすさを優先するなら薬局、という考え方もできます。数字を見ると選び方が具体的になりますよ。
四国4県で見ると香川は3番目
「香川は薬剤師が多い県」と言われますが、四国のなかで見ると立ち位置が変わります。四国はもともと全国的に薬剤師の多い地域だからです。
出典:薬剤師数は厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者(人口10万対)/薬局数は厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」
四国4県はいずれも全国平均を上回り、香川はそのなかで3番目です。全国から見れば充足県、四国のなかでは中位というのが正確な位置づけになります。薬局数は57.6施設で全国8位と多く、通える範囲に職場がある点は強みです。
薬学部が高松駅前に移転した影響
県内唯一の薬学部である徳島文理大学香川薬学部は、2025年4月にさぬき市志度から高松駅に隣接する高松駅キャンパスへ全面移転しました。開学式は同年3月に行われ、香川県知事も出席しています。移転初年度の入学者は前年のおよそ1.6倍に増えたと報じられました。
薬学生が県都の中心部で6年間を過ごすようになったことで、中長期的には高松での就職がさらに増える可能性があります。高松市内で薬局への転職を考えている人は、数年先の競争環境もあわせて意識しておくとよいでしょう。
薬学部のキャンパスが県都に移るというのは、地味に見えて薬剤師の需給に効いてくる出来事です。実習先も高松周辺が中心になりますから、学生と職場の接点が増える。数年後の高松の採用市場は、いまより新卒が強くなっているかもしれません。
エリア別の傾向
香川県の薬剤師は高松市に集中しています。厚生労働省の令和6年統計では、県内で薬局・医療施設に従事する薬剤師1,972人のうち、高松市が911人。県内のおよそ46%が県都に集まっています。
令和4年の統計では、市町村別の薬剤師数は高松市1,205人、丸亀市237人、坂出市143人の順でした。高松市が突出している一方、それ以外の市町は数十人から200人台という規模です。
ただし香川は全国でいちばん面積の小さい県です。高松から丸亀、高松からさぬき市といった移動は現実的な通勤圏に収まります。住む場所を変えずに県内全域の求人を検討できるのは、香川ならではの大きな利点です。
香川で働くメリットと注意点
- 月間勤務時間151時間と、全国平均より16時間短い
- 薬局数は人口10万人あたり57.6施設で全国8位。通える範囲に職場が多い
- 全国最小の面積で、県内全域を通勤圏として検討できる
- 瀬戸内式気候で雪がほとんど降らず、冬の通勤リスクが小さい
- 県内に薬学部があり、若手の供給と研修体制が整いやすい
- 年収ランキングの振れ幅が大きく、統計を判断材料にしにくい
- 薬局薬剤師は充足しており、好条件の求人は競争になりやすい
- 薬局の偏在指標は将来1.32まで上がる推計で、長期では需給がさらに緩む
- 県内薬剤師の約46%が高松市に集中し、他エリアは求人の母数が少ない
- 病院薬剤師の偏在指標は0.78で全国平均をやや下回り、負担面の確認は必要
香川で年収・待遇を上げる4つのコツ
① 県内全域を最初から候補に入れる
香川最大の武器は県の狭さです。高松に住みながら丸亀・坂出・観音寺の求人まで検討できる県は、そう多くありません。高松市内だけで探すと競争の激しい求人しか見えませんが、中讃・西讃まで広げると条件面で余裕のある求人に出会える可能性が上がります。
② 統計ではなく求人の実額で比べる
香川では都道府県別ランキングが当てになりません。基本給・賞与・住宅補助・通勤補助を足した年間の実額で、3社から5社を並べて比較してください。県内全域を検討できるぶん、比較できる母数を確保しやすいのが香川の強みです。
③ 専門性と役職で差をつける
薬剤師が充足している県では、誰でもできる業務だけでは待遇が上がりにくくなります。在宅医療への対応、認定薬剤師の資格、管理薬剤師としての経験など、評価される材料を持っているほど交渉の余地が生まれます。病院薬剤師は薬局より需給が締まっているため、病院を選択肢に入れるのもひとつの手です。
④ 勤務時間の実態を数字で確認する
県全体では勤務時間が短くても、職場ごとの差は当然あります。応募前に、1日の平均処方箋枚数、在籍薬剤師数、直近数か月の平均残業時間、年間休日数の4点は具体的に確認しましょう。香川の平均である月151時間を上回るかどうかが、ひとつの目安になります。
香川は「年収を最大化する県」ではなく「時間と暮らしやすさを取りにいく県」だと思っています。年収だけを追うなら他県のほうが向いていますが、毎日45分早く帰れる価値をどう見るか。ここが判断の分かれ目です。
よくある質問
まとめ
香川の薬剤師転職のポイントを整理します。
- 月間勤務時間151時間は全国平均より16時間短く、働きやすさに公的な裏づけがある
- 年収ランキングは1年で12位から42位まで動いており、判断材料にしない
- 薬局薬剤師の偏在指標1.09は四国4県で最高。病院は0.78でやや手薄
- 四国4県のなかでは薬剤師数3番目。全国から見れば充足県、四国では中位
- 県内薬剤師の約46%が高松市に集中。全国最小面積を活かし県内全域を候補に
- 薬学部が2025年に高松駅前へ移転し、中長期の需給に影響する可能性がある
香川は、年収の高さより「時間」と「暮らしやすさ」に強みがある県です。統計の数字に振り回されず、県内全域の求人を並べて比較しながら、自分にとって何を優先するかを決めて選んでいきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。年収・勤務時間・薬剤師数のデータは調査年や集計方法により幅があり、求人状況や待遇はエリア・職場・時期により異なります。詳細は各求人および各公的機関の公表資料でご確認ください。

