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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
結論から言うと、高知県は「最新の公的統計で薬剤師の平均年収が全国1位。しかも平均年齢は全国より若い」という、いま最も注目すべき県のひとつです。厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとにした集計で、高知県の薬剤師の平均年収は690万1,500円。全国平均566万7,900円を123万円以上も上回りました。
前回の令和6年調査では全国24位でしたから、1年で大きく順位を上げたことになります。この記事では公的統計をもとに、高知の転職市場を数字で読み解いていきます。
この記事でわかること
- 高知県の薬剤師の年収・薬剤師数・薬局数の最新データと出典
- 最新調査で年収が全国1位になった事実と、その読み方
- 薬剤師数は全国上位なのに薬局薬剤師は不足側という構図
- 高知市への58%集中と、エリア別の傾向
高知県の薬剤師転職データ早見表
まず、高知県の薬剤師をとりまく数字を全国と並べて確認します。いずれも公的統計、または公的統計をもとに算出された数値です。
出典:年収・平均年齢・月間勤務時間は厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」および「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(平均年齢・勤務時間は令和6年分)/薬剤師数は厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」の薬局・医療施設従事者(人口10万対)/薬局数は厚生労働省「令和5年度衛生行政報告例の概況」/偏在指標は厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標
高知が全国1位というのは、正直おどろきました。しかも平均年齢は全国より若い。ベテランが多いから平均が高い、というよくあるパターンとは違います。ここが高知の面白いところです。
最新調査で年収が全国1位に
24位から1位へ、全国平均を123万円上回る
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした集計で、高知県の薬剤師の平均年収は次のように変化しました。
出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」各年をもとにマイナビ薬剤師が算出したもの(きまって支給する現金給与額の12か月分に年間賞与その他特別給与額を加算)。令和7年調査の2位は岡山県655.2万円、3位は宮城県652.4万円
2位の岡山県655.2万円との差も35万円あり、高知が単独首位という結果です。全国平均が599.3万円から566.8万円へ下がるなかで高知だけが伸びており、際立った動きといえます。
平均年齢は全国より若い
年収が高い県では「平均年齢が高いから」という説明がつくことが多いのですが、高知は当てはまりません。令和6年調査での高知県の薬剤師の平均年齢は39.8歳で、全国の40.9歳より1.1歳若い。月間勤務時間も167時間で全国とまったく同じでした。
年齢構成でも労働時間でもなく、単価そのものが高い。これは高知の大きな特徴です。旧来「高知は薬剤師の平均年齢が高いから年収も高い」と説明されることがありましたが、賃金構造基本統計調査のデータで見るかぎり、その因果は成り立ちません。
ただし単年の順位に飛びつかない
とはいえ、都道府県別の年収データは抽出調査のため、母集団の小さい県ほど年によって大きく動きます。高知も1年で24位から1位へ動いており、来年も同じ順位とは限りません。
確実に言えるのは「高知は複数年にわたって全国平均を上回っている」という傾向のほうです。求人ベースの集計でも550.6万円・全国11位で四国4県のなかでは最も高いという結果が出ています。金額の絶対値は目安として受け止め、実際の求人の提示額で確かめてください。
「全国1位」は強い数字ですが、去年は24位でした。ランキングは母集団が小さい県ほど揺れるので、鵜呑みにはしないでください。それでも複数の調査で全国平均超が続いているのは事実です。
薬剤師は多いのに、薬局は「不足側」
薬局数は全国2位、薬剤師数も全国平均超
高知県の人口10万人あたりの薬局数は60.4施設で全国2位。1位の佐賀県64.5施設に次ぐ多さで、全国平均50.5施設を大きく上回ります。人口10万人あたりの薬剤師数も226.7人で、全国平均210.6人を16人上回る水準です。頭数の面では、高知は全国でも上位のグループに入ります。
それでも薬局薬剤師の偏在指標は全国平均以下
厚生労働省は、薬剤師の需給を地域ごとに比較するための「薬剤師偏在指標」を公表しています。単純な頭数ではなく、人口構成などから推計した業務量に対して薬剤師が足りているかを示す指標です。1.0より小さいほど足りていない状態を意味します。
出典:厚生労働省が公表した現在時点の薬剤師偏在指標(都道府県別)
高知の薬局薬剤師の指標は0.93で、全国の1.08を大きく下回ります。地域全体でも0.89と全国0.99以下。頭数は全国上位なのに、業務量で見ると足りていないという状態です。四国のなかでも、徳島1.03・香川1.09と比べて高知だけが明確に低い。
背景には高齢化があります。高知県は人口10万人あたりの病床数が全国最多水準で、高齢者の医療需要が大きい県です。1人あたりの業務量が重く見積もられるため、薬剤師が多くても指標は下がります。年収が全国1位という結果も、この需給の締まりと整合的です。
病院薬剤師の指標0.82は全国0.80をわずかに上回りますが、これは全国的に病院が不足しているなかでの相対評価です。病床数の多さから病院での求人自体は一定数あり、病院でキャリアを積みたい人にも選択肢のある県といえます。
「薬剤師が多い県だから条件が悪いのでは」と心配する必要はありません。業務量で割ると高知は不足側です。年収が全国1位になったのも、偶然ではなく需給が締まっているからだと考えると腑に落ちます。
県内薬剤師の58%が高知市に集中
高知の県内格差は、全国的に見てもかなり大きい部類です。厚生労働省の統計をもとにした従業地別の薬剤師数は次のとおりです。
出典:厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計」の従業地による市区町村別薬剤師数(総数)。当時の県全体は1,792人
県全体1,792人のうち高知市が1,046人で、割合にすると約58%。県内3位の四万十市はわずか74人で、高知市の14分の1以下です。県全体の「薬剤師が多い」という数字は、実質的に高知市の多さだということになります。
逆に言えば、高知市を離れたエリアでは人材の希少性が非常に高い。求人の母数は減りますが、条件面で交渉の余地が生まれやすいエリアです。
四万十市が県内3位で74人というのは、かなり少ない数字です。裏を返せば、そこで働ける薬剤師は本当に貴重ということ。条件の話をするときの材料になります。
県内に薬学部がなく、県外からの人材に頼っている
高知県内には薬学部・薬科大学がひとつもありません。それでも人口あたりの薬剤師数が全国平均を上回っているのは、他県で資格を取得した薬剤師が高知で働いているためです。県外からの転職者を受け入れる土壌がある県だといえます。
ただし、若手薬剤師を地元で育てられないという構造は変わりません。高知県薬剤師会は定期的な研修や薬学生の実務実習を実施し、県も薬学生向けの薬剤師インターンシップを通じて県内就業のきっかけづくりに取り組んでいます。人材確保が県として明確な課題になっている、という背景は押さえておきましょう。
高知県のエリア別の傾向
高知県は東西に細長く、高知市から離れるほど薬剤師が手薄になります。
高知市から四万十市までは車で2時間前後、室戸市までも2時間近くかかります。県内をまとめて通勤圏にはできないため、住むエリアを先に決めてから求人を探すのが現実的です。
高知で働くメリットと注意点
- 最新調査の平均年収690.2万円は全国1位。全国平均を123.4万円上回る
- 平均年齢39.8歳と全国より若く、年齢に頼らない高水準
- 薬局薬剤師の偏在指標は0.93で全国1.08を下回り、需給が締まっている
- 人口10万人あたり薬局数は60.4施設で全国2位。通える範囲に職場が多い
- 県内に薬学部がなく、県外からの転職者を迎える土壌がある
- 年収ランキングは1年で24位から1位へ動いており、単年で判断できない
- 県内薬剤師の約58%が高知市に集中し、市内は競争になりやすい
- 県内3位の四万十市でも74人と、市外の求人の母数は非常に少ない
- 高齢化で業務量が重く、1人あたりの負担が大きい職場もある
- 高知市中心部を除くと、車通勤が前提になる職場が多い
高知で年収・待遇を上げる4つのコツ
① 高知市にこだわらず西部・幡多も見る
県内薬剤師の約58%が高知市に集まっているぶん、市外では人材の希少性が跳ね上がります。四万十市・宿毛市・須崎市などまで視野を広げると、条件面で交渉の余地が大きくなります。求人数は限られるので、早めに情報を集めておくのがコツです。
② 業務量を数字で確認する
高知は薬剤師の頭数が多いにもかかわらず偏在指標が全国平均を下回る、つまり1人あたりの業務量が重い県です。応募前に、在籍薬剤師数、1日の平均処方箋枚数、直近数か月の平均残業時間、在宅訪問の件数の4点は具体的に確認しましょう。年収が高くても、この4点で働きやすさはまったく変わります。
③ 病院という選択肢も検討する
高知県は人口あたりの病床数が全国最多水準で、病院の求人は一定数あります。南国市には大学病院もあり、病棟業務やチーム医療の経験を積みたい人には現実的な選択肢です。調剤薬局だけに絞らず、病院も並べて比較してみてください。
④ 地域に強いエージェントを複数使う
高知の求人は総数が限られ、市外の好条件求人は非公開で動くこともあります。四国に強いエージェントを2社から3社登録しておくと、高知市と市外の求人を横断して比較でき、職場の内情まで確認しやすくなります。母数が少ない県ほど、情報量が結果を分けます。
高知は年収の面ではいま全国で最も注目される県です。ただし業務量は重め。年収と負担のバランスを面談でしっかり確かめてから決めてください。
よくある質問
まとめ
高知県の薬剤師転職のポイントを整理します。
- 最新調査の平均年収690.2万円は全国1位。全国平均を123.4万円上回る
- 平均年齢39.8歳と全国より若く、勤務時間も全国と同じ167時間
- 薬局数は全国2位だが、薬局薬剤師の偏在指標は0.93で全国1.08を下回る
- 県内薬剤師の約58%が高知市に集中し、県内3位の四万十市は74人
- 県内に薬学部がなく、県外からの転職者を迎える土壌がある
- 年収は高いが業務量も重め。在籍人数と処方箋枚数の確認が必須
高知は、いま年収の面で全国から注目される県になりました。ただし数字の裏には、業務量の重さと県内格差があります。この構造を理解したうえで、年収と働きやすさのバランスが取れた職場を選んでいきましょう。
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。年収・薬剤師数のデータは調査年や集計方法により幅があり、求人状況や待遇はエリア・職場・時期により異なります。詳細は各求人および各公的機関の公表資料でご確認ください。

