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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「今の職場はストレスが多い。もっと働きやすい職場はないだろうか」。そう考えて転職を検討する薬剤師は少なくありません。けれど、職場によってストレスの種類は大きく異なり、自分が何にストレスを感じやすいかによって、合う職場は変わってきます。
この記事では、薬剤師の職場別のストレス要因を比較し、ストレスの種類別に働きやすい職場、自分に合う職場を見つける方法を、現役薬剤師の目線で整理します。
あわせて、あまり語られない軸もひとつ扱います。職場の「規模」です。厚生労働省の調査では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、50人以上で94.3パーセント、10人から29人では55.3パーセントと大きく開いています。小さな職場は人間関係が濃いだけでなく、支える仕組みそのものが薄い。ここを知っておくと、職場選びの精度が変わります。
- 職場ごとにストレスの種類が違う理由と、公的調査で見る全体像
- 職場別のストレス要因の比較
- 見落とされがちな「職場の規模」という軸
- ストレスの種類別に見る働きやすい職場
- 自分に合う職場を見つける方法と、面接で確認したいこと
薬剤師の職場ごとにストレスの種類は違う
ひとくちに「ストレスが多い」といっても、その中身は職場によってまったく異なります。人間関係に悩む人もいれば、体力的な負担や、責任の重さ、長時間労働に疲れる人もいます。どんなストレスを強く感じるかは人それぞれです。
まず、働く人全体の状況を数字で見ておきましょう。
厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで強い不安・悩み・ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は68.3パーセントでした。
その内容(主なもの3つ以内)は、仕事の量が43.2パーセント、仕事の失敗・責任の発生等が36.2パーセント、仕事の質が26.4パーセントの順です。
※出典:厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」(2025年8月7日公表)。ストレスを感じる労働者の割合は令和5年調査では82.7パーセントで、調査年による変動が大きい点にご留意ください。
注目したいのは、上位に来ているのが「量」と「責任」だという点です。人間関係は語られやすいテーマですが、実際に多くの人を苦しめているのは仕事の総量と、失敗できないという緊張でもあります。薬剤師の仕事は、この二つがどちらも大きい職種だと言えます。
大切なのは、ストレスのまったくない職場を探すことではなく、自分が特に苦手とするストレスが少ない職場を選ぶことです。どんな職場にも、何かしらのストレスはあります。だからこそ、自分が何にストレスを感じやすいかを知ったうえで、職場を比較することが重要です。なお、ここで紹介するのは一般的な傾向で、同じ職場でも環境によって差があります。
「ストレスのない職場に行きたい」という気持ちはよく分かりますが、残念ながらどこにもストレスゼロの職場はありません。大事なのは、自分が一番つらいと感じるストレスを避けること。人間関係が苦手な人と、体力に自信がない人では、選ぶべき職場が違ってくるんです。
職場の雰囲気や体制まで確認してもらう
スタッフの人数、離職の状況、休みの取りやすさ。求人票からは読み取れないところにこそ、ストレスの正体があります。代わりに確かめてもらえる相手を持っておくと安心です。
薬剤師転職エージェントの比較を見る職場別のストレス要因の比較
主な職場ごとに、感じやすいストレス要因を整理しました。あくまで一般的な傾向で、職場ごとに差があります。
※当サイトが一般的な傾向を整理したものです。同じ職場タイプでも環境によって大きく異なります。
こうして並べると、同じ「ストレス」でも種類が大きく違うことが分かります。調剤薬局や門前薬局は少人数ゆえの人間関係、ドラッグストアは体力面、病院は責任や勤務時間、企業は成果へのプレッシャーが、それぞれ感じやすい傾向です。同じ薬局系でも、調剤薬局とドラッグストアでは負担の質が大きく異なる点は、意外と見落とされがちなので意識しておくとよいでしょう。
同じ職場タイプでも、店舗や施設によって雰囲気は大きく変わります。表はあくまで一般的な傾向。「調剤薬局だから人間関係が悪い」わけではなく、良い職場もたくさんあります。傾向を参考にしつつ、最後は個々の職場をよく調べることが大切です。
見落とされがちな軸|職場の「規模」
職場タイプと同じくらい効いてくるのに、あまり語られない軸があります。その職場に何人いるかです。人数は、人間関係の濃さだけでなく、ストレスを支える仕組みがあるかどうかまで左右します。
※出典:厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」。事業所単位の集計です。
50人以上と10人から29人では、40ポイント近い差があります。小さな職場では、そもそも対策が用意されていないことのほうが多いということです。
ストレスチェックが義務かどうかも、人数で決まります
その背景には制度があります。労働安全衛生法にもとづくストレスチェックは、常時50人以上の労働者を使用する事業場に年1回以上の実施が義務づけられており、50人未満は当分の間の努力義務とされてきました。薬局の一店舗は50人に満たないことがほとんどですから、多くの薬剤師にとってストレスチェックは「あれば実施される」ものにとどまっているのが実情です。
ここは変わります
2025年5月14日に公布された改正労働安全衛生法により、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化されます。労働政策審議会で示された施行予定日は2028年4月1日です。厚生労働省は2026年2月に小規模事業場向けの実施マニュアルも公開しています。数年後には、小さな薬局でも年1回のストレスチェックが行われるようになる見込みです。
※出典:労働安全衛生法第66条の10、および労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(2025年5月14日公布)。施行日は労働政策審議会で示された予定であり、最新の内容は厚生労働省の案内をご確認ください。
職場選びの実務としては、義務ではない今の段階で、すでにストレスチェックや産業医面談の仕組みを整えている企業は、従業員の健康に投資している企業だと判断できます。法人全体で50人を超えるチェーンなら、本社が制度を持っていることも多いので、面接で聞いてみる価値があります。
少人数の職場は「アットホーム」と表現されることが多いのですが、裏を返せば逃げ場が少ないということでもあります。合えば居心地がよく、合わなければつらい。振れ幅が大きいのが小規模職場です。人数の少なさをメリットと感じるかどうかは、自分の性格と相談してください。
ストレスの種類別に見る働きやすい職場
自分が特に苦手とするストレスから、相性の良い職場を考える視点を整理しました。あくまで一例として参考にしてください。
- 体力的な負担が苦手 → 立ち仕事の少ない調剤薬局や企業など
- 夜勤や当直を避けたい → 日勤中心の調剤薬局やクリニック門前、企業など
- 患者対応のプレッシャーが苦手 → 患者と直接接しない企業の職種など
- 少人数の人間関係が苦手 → ある程度規模のある職場など
- 仕事の量に押しつぶされやすい → 処方箋枚数と人員のバランスが取れた職場
- 成果へのプレッシャーが苦手 → 成果主義の度合いが低い職場など
このように、自分が避けたいストレスを起点に職場を考えると、相性の良い選択肢が見えてきます。ただし、一つのストレスを避けると別のストレスが増えることもあります。たとえば人間関係を避けて大きな職場を選ぶと、今度は組織のルールや人数の多さに疲れることもあります。すべてを満たす職場はないと理解したうえで、優先順位をつけて選ぶことが大切です。
ストレスは「減らす」より「入れ替える」イメージが近いかもしれません。今のストレスを避けても、新しい職場には別のストレスがあります。だからこそ、自分が一番つらいものは何かを見極めて、それを避けられる職場を選ぶ。完璧を求めず、優先順位で選ぶのがコツです。
自分に合う職場を見つける方法
ストレスの少ない職場を見つけるための、具体的な進め方をまとめました。
- 今の職場で何にストレスを感じているかを書き出す
- 避けたいストレスに優先順位をつける
- 候補の職場の実態を、口コミや見学で確認する
- 転職エージェントに、職場の雰囲気や離職の状況を尋ねる
- 職場タイプの傾向と、個々の職場の実態の両方を見る
面接でそのまま使える四つの質問
「雰囲気はいいですか」と聞いても、いいと答えられて終わりです。数字や事実で答えが返る質問に変えると、実態が見えます。
最後の質問はとくに大事です。同じミスでも、個人を責める職場と、手順を見直す職場では、日々の緊張がまったく違います。「仕事の失敗、責任の発生等」がストレス要因の上位にあるのは、この差が大きいからです。
まずは、今のストレスの正体をはっきりさせることが出発点です。そのうえで、職場タイプの一般的な傾向を参考にしつつ、個々の職場の実態を口コミや見学、エージェントを通じて確認しましょう。傾向だけで決めず、最後は自分の目で確かめることが、後悔しない選択につながります。
今のストレスがつらいと、つい「とにかく今の職場を出たい」と勢いで動きがちです。でも、ストレスの正体を整理しないまま転職すると、似た環境を選んで同じ思いをすることも。一度立ち止まって、何が一番つらいのかを言葉にするだけで、次の選択がぐっと良くなります。
よくある質問
まとめ
- ストレスの種類は職場によって異なり、何を苦手とするかで合う職場が変わる
- 働く人全体では、ストレスの内容は仕事の量(43.2パーセント)と仕事の失敗・責任(36.2パーセント)が上位
- 調剤薬局は人間関係、ドラッグストアは体力面、病院は責任や勤務時間が要因になりやすい
- 職場の規模も大きな軸。メンタルヘルス対策の実施率は50人以上94.3パーセントに対し、10人から29人は55.3パーセント
- ストレスチェックは50人未満が現状努力義務。2028年4月1日から義務化される予定
- ストレスゼロの職場はない。避けたいストレスに優先順位をつける
- 面接では、スタッフ数と入れ替わり・処方箋枚数と人員・健康管理の仕組み・過誤への対応を数字と事実で聞く
職場のストレスは、種類を知って向き合えば、自分に合う環境を選ぶ手がかりになります。大切なのは、ストレスのない職場を探すことではなく、自分が一番つらいと感じるストレスを避けること。今の悩みの正体を整理し、職場の傾向と実態の両方を確認して、自分らしく働ける場所を見つけてください。
本記事で参照した主な出典
- 厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」(2025年8月7日公表)
- 労働安全衛生法第66条の10、および労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(2025年5月14日公布)
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。統計の数値は調査時点のものであり、調査年によって変動します。最新の公表値および法改正の施行日は、厚生労働省の案内をご確認ください。職場のストレスの感じ方には個人差があり、同じ職場タイプでも環境によって大きく異なります。心身の不調が続く場合は、無理をせず医療機関にご相談ください。職場の健康や労働環境については、各都道府県の産業保健総合支援センターでも相談を受け付けています。

