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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「関東で薬剤師として転職したいけれど、どのエリアや職場がいいんだろう」。関東は求人が豊富で選択肢が多い一方、都県によって年収や働き方の傾向が大きく異なるため、迷いやすいエリアでもあります。特徴を数字で押さえてから選ぶことが、後悔しない転職につながります。
この記事では、厚生労働省の統計をもとにした関東の薬剤師事情、都県別の傾向、年収の考え方、おすすめの職場の選び方、転職を成功させるコツを、現役薬剤師の目線で整理します。関東での転職を考えるときの出発点として使ってください。
- 関東は薬局も薬剤師も絶対数は全国最大。全国の薬剤師のおよそ4割弱が関東で働いている
- ただし人口あたりで見ると、東京以外の6県はすべて全国平均を下回る。関東は「薬剤師があふれている」わけではない
- 東京は届出薬剤師数が全国最多だが、その多くが企業や行政に勤務。企業へ進みたい人には関東が圧倒的に有利
- 年収を優先するか、通勤のしやすさを優先するかで、選ぶ都県が変わる
関東の薬剤師転職を数字で見る
まず、関東がどれくらい大きな市場なのかを公的な統計で確認しておきましょう。厚生労働省の令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計によると、全国の届出薬剤師数は329,045人です。このうち関東1都6県で働く薬剤師は約12万7千人で、全国のおよそ38パーセントが関東に集まっていることになります。
薬局の数も同じ傾向です。厚生労働省の令和6年度 衛生行政報告例では、全国の薬局数63,203施設に対し、東京都だけで7,215施設と全国最多。関東1都6県を合計すると2万施設を超え、全国のおよそ3割が関東に集中しています。求人数が多いと言われるのは、この母数の大きさが理由です。
人口あたりで見ると景色が変わる
ここからが関東を理解するうえでいちばん大事な点です。絶対数では圧倒的な関東ですが、人口10万人あたりに直すと、東京を除く6県はすべて全国平均を下回ります。つまり「人が多いから薬剤師も多いだけ」で、住民一人あたりで見れば薬剤師が潤沢なわけではないのです。
出典:薬剤師数は厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」(従業地ベース・令和6年12月31日現在)、薬局数は厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」(令和6年度末現在)より作成。
とくに注目したいのが、千葉42.9・埼玉44.2という薬局密度の低さです。これは沖縄に次いで全国で2番目・3番目に少ない水準で、1つの薬局が受け持つ人口が多い=1店舗あたりの処方箋枚数が多くなりやすいことを意味します。忙しい職場が多い一方で、人手を必要としている職場も多いという読み方ができます。
「関東は薬剤師が余っている」とよく言われますが、統計を見ると必ずしもそうではありません。人口10万人あたりで全国平均を超えているのは東京だけ。神奈川も千葉も埼玉も北関東も、実は平均以下なんです。私も首都圏の薬局を何店舗か見てきましたが、「求人はあるのに人が足りない」という声は都心でも普通に聞きます。イメージではなく数字で判断してください。
都県別の傾向と、詳しく読める記事
同じ関東でも、都県によって事情はかなり違います。大まかな傾向を整理しました。あくまで一般的な傾向で、職場ごとに差がある点はご承知おきください。
大まかには、都心に近いほど求人の絶対数が多く年収はやや控えめ、北関東に行くほど年収が高めになりやすいという構図です。通勤の便利さを取るか、年収を取るかで、選ぶ都県が変わってきます。それぞれの都県については、個別に詳しい記事を用意しています。
関東は通勤圏が広いのが最大の武器です。「都心に住んで郊外の高年収の職場に通う」「郊外に住んで近場で働く」など、住む場所と働く場所の組み合わせを自由に設計できます。私の周りにも、埼玉在住で都内の病院に通う人、都内在住で群馬の薬局に単身赴任した人、いろいろいます。都県のくくりにこだわりすぎず、「自宅から通える範囲」で線を引き直してみてください。
関東以外も含めた47都道府県の転職ガイドと、地方ブロック別のまとめ記事を一覧でご覧いただけます。関東と他地域を比べたい方はこちらから。
関東で年収を考えるときの視点
「都会のほうが給料が高い」というのは、多くの職種では正しい話です。厚生労働省の令和7年 賃金構造基本統計調査によると、一般労働者の賃金が全国計を上回ったのは東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の4都府県だけで、最も高い東京都は月41万8,300円と全国トップでした。
ところが薬剤師に限ると、この「都会ほど高い」という図式が必ずしも当てはまりません。理由は需給です。人口あたりの薬剤師数が全国1位の東京では、職場側が高い給与を提示しなくても人が集まります。一方、人口あたりの薬剤師数が関東で最も少ない群馬のような地域では、確保のために条件を上げる職場が出てきます。同じ関東の中で、一般的な賃金水準と薬剤師の年収水準が逆の動きをすることがあるわけです。
- 通える範囲の中で、より薬剤師が不足しているエリアを探す
- 管理薬剤師やエリア長など、役職手当の付くポジションを狙う
- 在宅対応や無菌調剤など、加算の取れる業務がある職場を選ぶ
- 調剤薬局・ドラッグストア・病院・企業と、業態そのものを変える
- 提示額だけでなく、住宅手当・通勤手当・賞与の回数まで含めて比べる
なお、都県ごとの具体的な年収相場については、東京・神奈川・埼玉・千葉について個別の記事で詳しく扱っています。数字を細かく確認したい方は、そちらもあわせてご覧ください。
年収の数字は、調査によって驚くほどばらつきます。同じ県でも「全国6位」と「全国20位」が並ぶことすらあります。だから私は、順位や平均額そのものより「その地域で薬剤師が足りているかどうか」を見るようにしています。足りていない地域は、放っておいても条件が上がっていきますから。
関東でおすすめの職場の選び方
求人が多い関東だからこそ、自分の優先順位に沿って絞り込むことが大切です。選び方の視点を整理しました。
- 年収を重視するなら、北関東や郊外のエリアまで範囲を広げる
- 通勤の便利さを重視するなら、都心近郊で沿線を基準に探す
- 職場タイプ(調剤・ドラッグストア・病院・企業)で先に絞る
- 企業の求人が多いのは関東最大の強み。企業への転職も現実的な選択肢になる
- 住む場所と働く場所の組み合わせをセットで考える
関東ならではの強みは「企業への道」
関東を選ぶ最大のメリットは、調剤や薬局以外のキャリアが現実的に選べることです。それを裏づける数字があります。東京都の届出薬剤師数は55,020人ですが、このうち薬局と医療施設で働く人は34,073人。差し引き約2万1千人が、製薬企業・医薬品卸・行政機関・大学など、薬局や医療施設以外の場で働いている計算になります(届出上の無職者を含みます)。
全国では、薬局・医療施設以外に分類される薬剤師は約6万8千人。その3割前後が東京都に集まっていることになります。製薬会社の本社や研究拠点、医薬品卸の中枢機能、行政の中央官庁がそろっているのが関東ですから、これは当然の結果とも言えます。「いつか企業で働いてみたい」と考えているなら、関東にいるうちに動くのは合理的な判断です。
企業への転職は、地方にいると求人そのものに出会えないことが多いんです。応募の土俵に立てるかどうかが住んでいる場所で決まってしまう。その意味で、関東にいることは資産です。すぐ動かないとしても「関東にいる間はこういう選択肢がある」と知っておくだけで、キャリアの考え方が変わってきます。
関東での薬剤師転職を成功させるコツ
関東で納得のいく転職をするためのコツをまとめました。
- 勤務できる範囲を、都県ではなく「通勤時間」で決める
- 年収と通勤のどちらを優先するか、応募前に順位をつけておく
- 求人が多い分、転職支援サービスを使って効率よく絞り込む
- 1店舗あたりの処方箋枚数と薬剤師の人数を必ず確認する
- 複数の職場を比較し、可能なら見学して実態を確かめてから決める
関東は求人が多すぎて、自分だけで探すと迷ってしまいがちです。だからこそ、エリアや条件を絞ったうえで探すのがおすすめです。希望のエリア・年収・職場タイプを具体的に決めておけば、条件に合う求人にたどり着くまでの時間が大きく短縮できます。
埼玉・千葉のように薬局密度が低いエリアでは、1店舗あたりの負荷が大きくなりがちです。年収の提示額だけで決めると、入ってから「思っていたより忙しい」となることがあります。求人票の金額と同じくらい、1日の処方箋枚数・在籍薬剤師数・残業の実績を確認してください。
関東は求人の数が多いぶん、一人で探すと情報の海でおぼれます。「このエリアで、この条件で」と絞って伝えるだけで効率がぐっと上がります。選択肢が多いのは関東の強み。上手に絞り込んで、その強みを活かしましょう。
よくある質問
まとめ
- 関東1都6県で全国の薬剤師のおよそ38パーセント、薬局のおよそ3割が集中している
- 人口10万人あたりで全国平均を上回るのは東京だけ。他の6県はすべて平均以下
- 千葉・埼玉は人口あたりの薬局数が全国最低水準で、1店舗あたりの負荷が大きい
- 一般労働者の賃金は東京が全国最高だが、薬剤師では都心ほど高いとは限らない
- 東京は薬局・医療施設以外で働く薬剤師が約2万1千人。企業志望なら関東が有利
- 求人が多い分、通勤時間で範囲を決め、優先順位をつけて絞り込むことが重要
関東は、薬剤師にとって選択肢が最も豊富なエリアです。一方で、求人が多いからこそ、自分の優先順位をはっきりさせて絞り込むことが、後悔しない転職の鍵になります。気になる都県の記事で地域の事情を確かめながら、自分に合った職場を見つけてください。関東以外のエリアと比べたい方は、薬剤師の都道府県別転職ガイドから47都道府県の情報をご覧いただけます。
- 厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」(令和6年12月31日現在)
- 厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例の概況」(令和6年度末現在)
- 厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査 結果の概況」
※本記事の統計数値は上記の公的統計にもとづき、2026年9月時点で確認したものです。求人数・年収・働き方の傾向はエリアや職場、時期によって異なります。年収に関する民間調査の数値は調査元によって大きく異なるため、本記事では傾向のみを記載しています。詳細は各求人や転職支援サービスにご確認ください。

