この記事を書いた人
くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。
「子どもがいながら転職活動なんてできるのか」「保育園が決まらないと動けないのでは」。育児中の転職は、独身のときとは詰まるところが違います。
先に結論をお伝えします。保活と転職は、どちらかを待たずに並行して進めるのが基本です。多くの自治体では求職活動中でも申し込めますが、就労中や内定済みに比べて点数が低くなります。だから転職活動を先に動かし、内定が出た時点で就労予定として申し込む。この順番がいちばん有利です。
そしてもう1つ。2025年4月から、子の看護等休暇の「入社6か月未満は対象外」という規定が廃止されました。転職直後でも子どもの発熱で休めます。この記事では、保活のスケジュール、職場の見極め方、面接での伝え方までを順に整理します。
この記事でわかること
- 動き出す前に決めておく2つのこと
- 保育園の選考で就労状況がどう扱われるか
- 4月入園から逆算した、保活と転職の月別スケジュール
- 両立しやすい職場の見極め方と、面接での伝え方
- 急な発熱への備えと、2025年に変わった制度
動き出す前に決める2つのこと
条件を並べる前に、この2つを数字で決めてください。ここが決まると、求人の見え方が変わります。
1つ目は、少し余裕を持たせてください。「これくらいはできるはず」で決めると、予定どおりにいかない日が続いたときに崩れます。できる上限ではなく、無理なく続けられる線で出してください。
2つ目は、自治体の窓口かホームページで確認できます。あわせて選考基準の資料ももらってきてください。この2枚があるだけで、あとの判断がすべて楽になります。
育児中は自分に厳しく見積もりがちです。でも急な発熱は日常茶飯事で、予定どおりにいかないほうが普通。最初から少し余裕のある設定にしておくと、あとで自分が助かります。
保育園の選考で、就労状況はどう扱われるか
認可保育園の入園選考は、多くの自治体で「保育の必要性」を点数化して行われます。就労の状況が大きく影響するため、自分がどの扱いになるかを先に確認してください。
ここから導かれる結論は1つです。申込書の締め切りより前に内定を取れるかどうかが、選考の結果を左右します。「保育園が決まってから転職活動」では順番が逆になります。
点数の基準や算定方法は自治体によってかなり違います。週何時間以上をフルタイムとみなすか、求職中に何点つくか、きょうだいがいる場合の加算はどうか。あと数時間増やせば区分が変わることもあるため、窓口で確認する価値があります。
「どちらが先か」で悩んで動けなくなるのが、いちばんもったいないです。保活も転職も情報収集はいつでも始められます。まず自治体の選考基準の資料をもらってくるところからで大丈夫です。
4月入園から逆算する月別スケジュール
自治体によって時期は前後しますが、全体の並びは共通です。保活と転職を左右に並べて確認してください。
見落としやすいのが最後の行です。入園直後は慣らし保育の期間があり、通常より早い時間に迎えが必要になります。入職日を4月1日にすると、最初の2週間が回らないことがあります。面接の段階で「入園後の慣らし保育があるため、4月中旬から通常勤務にしたい」と伝えておいてください。
就労証明書は発行に1週間から2週間かかることがあります。内定が出たその日に依頼するくらいでちょうどよいと考えてください。内定先に頼むのは失礼ではありません。企業側も対応に慣れています。
締め切りの直前に就労証明書を頼んで間に合わなかった、という話をよく聞きます。発行に時間がかかることを前提に動いてください。自治体の様式を一緒に渡すと早く進みます。
両立しやすい職場の見極め方
求人票の「働きやすい環境」という言葉は、どこにでも書いてあります。判断に使えるのは次の4点です。
1つ目が最重要です。薬局には処方箋の枚数に応じた薬剤師の配置基準があり、人数の少ない店舗では1人抜けると体制そのものを維持できないことがあります。急な休みが取りにくいのは気遣いの問題ではなく、構造の問題です。
3つ目は「制度はありますか」ではなく人数で聞いてください。どの会社も制度はあると答えます。使った人が何人いるかを聞くと、運用の実態が見えます。答えに詰まるようなら、前例がない可能性があります。
なお、薬剤師は届出上、女性が62.0パーセントを占める職種です。全産業の育児休業取得率も女性88.3パーセント、男性50.9パーセントまで上がっています。差がつくのは制度の有無ではなく、抜けた分を誰が埋めるかの部分です。
会社の規模ではなく、自分が働く店舗に何人いるかを聞いてください。大手でも、配属先が2人の店舗なら状況は小規模薬局と変わりません。聞く相手を間違えないことが大事です。
面接での伝え方と、条件の残し方
勤務時間に関わることは伝えたほうが安全です。黙って入職してシフトが組まれてから調整すると、双方が困ります。伝えるときは、事実と体制と意欲の3点をそろえてください。
伝え方の一例
「3歳の子がおり、保育園の迎えがあるため平日は18時までの勤務を希望します。土曜出勤は月1回から2回であれば可能です。発熱で早退をお願いする可能性はありますが、夫と役割を分けており、まず夫が対応する体制にしています。病児保育にも登録済みです。長く働きたいと考えています。」
この例のポイントは、できないことだけでなく、できる範囲を数字で示している点です。「残業はできません」だけだと柔軟性がないと受け取られます。「繁忙期に30分程度なら対応できます」と添えるだけで印象が変わります。
条件は記録に残る形で確認する
口頭の約束は、担当者が変わると消えます。次の項目は、書面か記録に残る形で確認してください。
4つ目は見落とされがちです。産前産後休業は勤続年数を問わず取得できますが、育児休業だけは労使協定で「入社1年未満」を対象外にできます。第2子以降を考えているなら、内定後に就業規則と労使協定を見せてもらってください。
就業規則は、内定が出たあと入職前のタイミングで見せてもらうのが角が立ちません。入ってから聞くと切り出しづらくなります。ここは遠慮しないでください。
急な発熱への備えと、2025年に変わった制度
両立が崩れるのは、たいてい想定外の場面です。先に整えておけば慌てずに済みます。
病児保育の事前登録は、必要になる前に済ませてください。熱が出た当日に登録から始めると間に合いません。薬剤師は当日の欠勤が店舗全体に響くため、ここを整えておくと精神的にかなり楽になります。
2025年の改正で使えるようになったこと
出典:厚生労働省コラム「2025年4月から、改正育児・介護休業法等が施行」。週の所定労働日数が2日以下の方は、看護等休暇について引き続き労使協定で除外できます。
以前は、転職して間もない時期に子どもが熱を出しても有給休暇を使うしかない職場がありました。いまは入社直後から看護等休暇を請求できます。転職の時期を判断するうえで、この変更は小さくありません。
転職活動そのものも育児と並行することになります。面接はオンラインに変更できないか相談してみてください。応じてもらえるかどうか自体が、その職場の姿勢を測る材料になります。
よくある質問
まとめ
育児中の転職を進めるための要点を整理します。
- 保活と転職は並行が基本。締め切りまでに内定を取り、就労予定で申請するのが最も有利
- 就労証明書は発行に時間がかかる。内定が出た日に依頼し、慣らし保育を入職日に織り込む
- 職場選びは制度より人数。配属店舗の薬剤師の人数と、当日欠勤の応援体制を面接で聞く
- 2025年4月から子の看護等休暇の「入社6か月未満は対象外」が廃止。転職直後でも休める
最初にやることは2つだけです。働ける時間の上限を数字で決めること、自治体の選考基準の資料をもらってくること。この2つがそろえば、いつまでに内定が必要かが決まり、動く順番が自然に見えてきます。
この記事で参照した公的情報
- 厚生労働省「2025年4月から、改正育児・介護休業法等が施行」
- 厚生労働省「令和6年医師・歯科医師・薬剤師統計」(男女構成)
- 薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令(薬剤師の配置基準)
- 厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」(育児休業取得率)、児童福祉法(病児保育事業)、育児・介護休業法
※本記事の情報は2026年9月時点のものです。保育園の選考基準・必要書類・病児保育の実施状況は自治体により異なるため、詳細はお住まいの自治体窓口でご確認ください。

