神奈川の薬剤師転職ガイド|求人・年収の実態とエリア別の違いを解説

神奈川の薬剤師転職ガイド|求人・年収の実態とエリア別の違いを解説

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くらげ|現役薬剤師。急性期病院・一般病院・調剤薬局で管理薬剤師を経験し、現在も調剤薬局に勤務しながら転職情報を発信しています。

「神奈川で薬剤師として働きたい」と考える人は多いものです。神奈川は横浜・川崎を中心に求人が豊富で、東京にも近い人気のエリア。一方で「薬剤師が多いから年収は控えめ」とも言われます。公的統計で確かめると、それは正しいのですが、理由は薬剤師の多さだけではありません。

この記事では、厚生労働省の統計をもとにした神奈川の薬剤師事情、市ごとの本当の差、年収データの読み方、職場の選び方と年収アップのコツを、現役薬剤師の目線で整理します。神奈川での転職を考えるときの参考にしてください。

✅ この記事の結論
  • 神奈川の届出薬剤師24,212人・薬局4,267施設はどちらも全国3位の規模です
  • 薬剤師は人口比で全国平均を上回る一方、薬局密度46.3は全国で6番目に少ない
  • 医師密度233.3も全国平均を1割以上下回ります。需要が薄く供給が厚いという二重の構図です
  • 県内で最も飽和しているのは横浜市237.2。川崎211.9・横須賀205.1は相対的に薄い
目次

神奈川の薬剤師転職を数字で見る

まず、神奈川がどれくらい大きな市場なのかを公的統計で確認します。厚生労働省の令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計によると、神奈川県で働く届出薬剤師は24,212人。東京55,020人・大阪28,055人に次ぐ全国3位です。

薬局も同様に、厚生労働省の令和6年度 衛生行政報告例によると4,267施設で全国3位。求人が豊富だと言われるのは、この母数の大きさが理由です。ただし人口あたりに直すと、まったく違う顔が見えてきます。

指標
神奈川県
全国
届出薬剤師数
24,212人(全国3位)
329,045人
薬剤師数(人口10万対・総数)
262.5
265.8
うち薬局・医療施設で働く人(人口10万対)
223.6
210.6
薬局数
4,267施設(全国3位)
63,203施設
薬局数(人口10万対)
46.3(全国で6番目に少ない)
51.1
医師数(人口10万対・医療施設)
233.3
267.4
県内の薬学部
横浜薬科大学・湘南医療大学の2校(いずれも横浜市)
—

出典:薬剤師数・医師数は厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」(従業地ベース・令和6年12月31日現在)、薬局数は厚生労働省「令和6年度 衛生行政報告例」(令和6年度末現在)。

💬 くらげのひとこと

神奈川の記事はどこも「薬剤師が多いから年収が控えめ」で終わっています。でも表の下3行を見ると、話はそれだけではありません。薬局も医師も人口比では少ないんです。この組み合わせが何を意味するのか、次の章で説明します。

薬局も医師も少ないのに、薬剤師だけが多い

神奈川で年収が伸びにくい理由は、よく「薬剤師が多いから」と説明されます。それは半分です。統計を見ると、供給が厚いだけでなく、受け皿である需要のほうも薄いことが分かります。

薬局密度は全国で6番目に少ない

神奈川県の人口10万人あたりの薬局数は46.3。全国平均51.1を下回るだけでなく、沖縄39.4・千葉42.9・埼玉44.2・奈良44.4・福井45.3に次いで、全国で6番目に少ない水準です。首都圏は薬局の絶対数こそ多いものの、人口に対しては手薄な地域が並びます。

つまり神奈川は、全国平均より少ない薬局に、全国平均より多い薬剤師が集まっている状態です。1つの職場をめぐる競争が起きやすく、給与を上げなくても採用できてしまう。これが年収が伸びにくい本当の理由です。

医師密度も全国下位

医療施設で働く医師も人口10万人あたり233.3で、全国平均267.4を1割以上下回ります。埼玉189.1・茨城198.1・千葉213.3に続く全国でも下位の水準で、首都圏はもともと医師が人口比で少ない地域です。医師が少なければ発行される処方箋も相対的に少なくなります。

薬局が少なく、医師も少なく、薬剤師だけが多い。神奈川の需給は、この三重の構図で理解するのが正確です。

企業志望なら、勤務地は東京になる

もうひとつ知っておきたい点があります。神奈川の届出薬剤師は人口10万人あたり262.5、うち薬局・医療施設で働く人が223.6。差の38.9が製薬企業や行政機関など薬局以外で働く薬剤師にあたりますが、全国平均55.2を下回ります(届出上の無職者を含みます)。

この統計は「働いている場所」で集計されるため、神奈川に住んで都内の企業に勤める薬剤師は東京都に計上されます。企業内薬剤師を目指すなら、住まいは神奈川のままで勤務地は東京、というかたちが現実的です。神奈川県内で企業の求人を探すという発想だと、選択肢がかなり狭まります。

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💬 くらげのひとこと

「神奈川は薬剤師が余っている」とだけ言われると、なんとなく損をした気分になりますよね。でも実態は、薬局そのものが人口比で少ない地域なんです。だから1店舗あたりの処方箋は決して少なくない。年収は伸びにくいけれど、現場が暇なわけではない。ここは分けて考えてください。

市別で見る県内の差

神奈川のエリア差は「都市部は多い、郊外は少ない」と語られがちですが、統計から市ごとの数字を出すと、少し違う姿が見えてきます。

市
薬剤師(人口10万対・薬局と医療施設)
医師(人口10万対・医療施設)
横浜市
237.2(県内最多)
243.0
相模原市
225.4
218.9
川崎市
211.9
260.3(県内最多)
横須賀市
205.1(全国平均以下)
242.0
神奈川県平均
223.6
233.3
全国平均
210.6
267.4

出典:厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」の指定都市・中核市(再掲)の数値。掲載があるのは政令指定都市と中核市のみのため、厚木市・伊勢原市・藤沢市など掲載のない市は含まれていません。

県内で薬剤師が最も密なのは横浜市237.2で、県平均223.6を上回ります。ここは想定どおりです。意外なのはその先で、川崎市211.9と横須賀市205.1は県平均を下回り、横須賀にいたっては全国平均210.6も下回ります。

とくに川崎は、医師密度260.3が県内で最も高いのに薬剤師は211.9。医療需要が県内で最も厚いのに、薬剤師は県平均以下という組み合わせです。「都市部だから飽和している」という一般論は、川崎には当てはまりません。

年収を狙うなら、県西部の厚木・伊勢原といった郊外に加えて、川崎や横須賀も候補に入れる価値があります。どちらも横浜からの通勤圏で、住む場所を変えずに働く市だけ変えることができます。

神奈川を含む関東全体の求人事情や都県別の傾向については、関東の薬剤師転職ガイドでも詳しく解説しています。

💬 くらげのひとこと

川崎が県内でいちばん医師が多くて薬剤師が少ない、というのは正直に言って意外でした。イメージでは「川崎も横浜と同じ都市部」ですが、数字はそう言っていません。エリアを検討するときは、思い込みを一度リセットして数字を見るのがいちばん早いです。

年収データをどう読むか

神奈川の年収を「全国◯位」「◯◯万円」と示す記事は多くあります。その多くは、民間の求人サービスが厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに集計したものです。参考にはなりますが、扱いには注意が必要です。

同じ調査でも、年が変われば数字は動く

分かりやすい例があります。同じ賃金構造基本統計調査をもとにした薬剤師の全国平均年収は、令和6年調査では約599万円でしたが、令和7年調査では約567万円へと30万円以上下がっています。全国平均がこれだけ動くのですから、都道府県別の順位はさらに大きく入れ替わります。

また、同じ調査でも「所定内給与」で計算するか「きまって支給する現金給与額」で計算するかによって、年収は数十万円単位で変わります。求人サイトの集計は掲載求人という別の母集団を使うため、600万円台が並ぶこともあります。数字が違うのは、どちらかが間違っているのではなく、測り方が違うためです。

順位より需給を見る

より安定した判断材料は需給です。神奈川は、薬局密度が全国で6番目に少ないところに全国平均を上回る薬剤師がいるという構造で、これは年ごとに大きく揺れません。県全体で年収が伸びにくいのは、この構造から説明できます。

そのうえで、県内には川崎・横須賀のように県平均より薬剤師が薄い市があります。「神奈川は年収が低い」で終わらせず、県内のどこかまで踏み込むことが、条件を上げる現実的な道になります。

💬 くらげのひとこと

「神奈川は全国34位」といった順位を見たら、まず調査年と計算方法を確認してください。去年の数字が今年も通用するとは限りません。私は順位より、その地域で薬剤師が足りているかどうかを見るようにしています。そちらのほうがずっと安定した指標です。

働くメリットと注意点・職場の選び方

神奈川で薬剤師として働くメリットと、知っておきたい注意点の両面を整理しました。

メリット
  • 薬局4,267施設・薬剤師24,212人と母数が全国3位で、求人が途切れにくい
  • 鉄道網が発達し、住む場所を変えずに働く市だけ変えやすい
  • 東京に隣接し、都内の企業や病院も通勤圏に入る
  • 川崎・横須賀・県西部など、県平均より薬剤師が薄いエリアがある
  • 住環境が充実したエリアが多く、暮らしと両立しやすい
押さえておきたい点
  • 薬局密度が全国で6番目に少なく、1店舗あたりの処方箋が多くなりやすい
  • 薬剤師は人口比で全国平均超。応募者が多く、好条件求人は競争になる
  • 県内で企業の求人を探すと選択肢が狭い。企業志望なら勤務地は東京が現実的
  • 通勤ラッシュや家賃など、都市部ならではの負担がある
  • 年収データは調査年と計算方法で大きく変わる
✅ 神奈川での職場選び・年収アップのコツ
  • 年収を狙うなら、県西部に加えて川崎・横須賀も候補に入れる
  • 住む場所は変えず、働く市だけ変える組み合わせを検討する
  • 管理薬剤師など、役職手当の付くポジションを狙う
  • 在宅対応や無菌調剤など、加算の取れる業務がある職場を選ぶ
  • キャリアの幅を広げたいなら、都内の企業も視野に入れる
  • 提示額だけでなく、住宅手当・通勤手当・賞与の回数まで含めて比べる
⚠ 神奈川特有の見落としポイント

薬局密度が全国で6番目に少ないということは、1つの薬局が受け持つ人口が多いということです。年収が控えめでも忙しさは相応にある、という職場が混じります。1日の処方箋枚数・在籍薬剤師数・残業の実績の3点は必ず確認してください。加えて神奈川は家賃相場が高いため、住宅手当の有無で手取りの実感が大きく変わります。

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💬 くらげのひとこと

神奈川は鉄道網が細かいので、住まいを動かさずに働く市だけ変えるのが本当にやりやすいエリアです。横浜に住んだまま川崎や横須賀の職場に通う、という組み合わせも十分に現実的。「横浜で探す」と決め打ちせず、通勤時間で円を描いてみてください。

よくある質問

神奈川は薬剤師の年収が低いのですか?▼

伸びにくい構造にあります。神奈川県で薬局・医療施設に勤める薬剤師は人口10万人あたり223.6で全国平均210.6を上回る一方、薬局密度は46.3で全国平均51.1を下回り、全国で6番目に少ない水準です(厚生労働省の令和6年統計)。少ない職場に多くの薬剤師が集まるため、給与を上げなくても採用できてしまいます。なお具体的な年収の順位や金額は、調査年と計算方法で大きく変わるため注意が必要です。

神奈川県内で薬剤師が少ないのはどこですか?▼

統計に掲載のある市では横須賀市です。薬局・医療施設で働く薬剤師は人口10万人あたり205.1で、県平均223.6だけでなく全国平均210.6も下回ります。次いで川崎市211.9も県平均以下です。最も多いのは横浜市237.2。この数字は指定都市と中核市のみの集計なので、厚木市や伊勢原市など掲載のない市は含まれていません。

神奈川で年収が高いのはどのエリアですか?▼

薬剤師が薄い地域ほど条件は上がりやすくなります。従来から厚木市・伊勢原市など県西部が挙げられますが、統計で確認できる範囲では川崎市211.9・横須賀市205.1も県平均223.6を下回っており、候補に入れる価値があります。とくに川崎は医師密度260.3が県内で最も高いのに薬剤師は県平均以下で、医療需要に対して手薄な市です。逆に横浜市237.2は県内で最も薬剤師が密なため、交渉の余地は小さくなります。

神奈川に企業の薬剤師求人はありますか?▼

県内に限ると選択肢は多くありません。神奈川の届出薬剤師は人口10万人あたり262.5、うち薬局・医療施設で働く人が223.6で、差の38.9が企業や行政などにあたります。全国平均55.2を下回る水準です。ただしこの統計は勤務地で集計されるため、神奈川に住んで都内の企業に勤める人は東京都に計上されます。企業志望なら「住まいは神奈川、勤務地は東京」というかたちが現実的です。

神奈川に薬学部はいくつありますか?▼

2校です。横浜薬科大学と湘南医療大学薬学部で、いずれも横浜市戸塚区にあります。県内の薬学部は多くありませんが、隣接する東京都には12校が集まっており、そこで学んだ薬剤師が神奈川に流入しやすい環境です。県内の養成数が少ないにもかかわらず薬剤師密度が全国平均を上回るのは、この流入によるものと考えられます。

神奈川での転職はどう進めればいいですか?▼

まず「通える範囲」を通勤時間で決め、次に年収・働き方・職場タイプの優先順位をつけます。神奈川は鉄道網が細かいため、住む場所を変えずに働く市だけ変える選び方が有効です。年収重視なら川崎・横須賀・県西部、キャリアの幅なら都内の企業というように狙いを絞ります。応募前には処方箋枚数・在籍薬剤師数・住宅手当の3点を必ず確認してください。

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まとめ

✅ この記事のポイント
  • 神奈川の届出薬剤師24,212人・薬局4,267施設はどちらも全国3位
  • 薬剤師は人口10万対223.6で全国平均超。一方、薬局密度46.3は全国で6番目に少ない
  • 医師密度233.3も全国下位。需要が薄く供給が厚い構造が年収を抑えている
  • 県内で最も密なのは横浜市237.2。川崎211.9・横須賀205.1は県平均以下
  • 川崎は医師密度が県内最多なのに薬剤師は県平均以下という手薄な市
  • 企業志望なら「住まいは神奈川、勤務地は東京」が現実的

神奈川は、求人の多さと東京へのアクセス、住環境のよさという点で魅力の大きいエリアです。県全体では年収が伸びにくいものの、市を選び直すだけで状況は変わります。県平均の数字で諦めず、通える範囲の中でどの市を選ぶかを考えてみてください。関東の他都県と比べたい方は関東の薬剤師転職ガイド、全国と比べたい方は薬剤師の都道府県別転職ガイドもあわせてご覧ください。

参考にした一次情報

※本記事の統計数値は上記の公的統計にもとづき、2026年9月時点で確認したものです。市別の数値は同統計の指定都市・中核市(再掲)によるもので、掲載のない市は含まれていません。薬局・医療施設以外で働く薬剤師の値は公表値をもとに本記事で算出したもので、届出上の無職者を含みます。薬学部の設置状況は薬学教育協議会および日本薬剤師研修センターの公表情報にもとづきます。求人数・年収・働き方の傾向はエリアや職場、時期によって異なります。年収に関する民間調査の数値は調査元・調査年・計算方法によって大きく異なるため、本記事では特定の順位や金額を掲載していません。詳細は各求人や転職支援サービスにご確認ください。

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